【R#330】AT(3)〜3つの問いかけ、在り方、知覚、自己調整

はじめに

東京・渋谷でロルフィング・セッションと脳科学から栄養・睡眠・マインドの脳活(脳科学活用)講座を提供している大塚英文です。

2025年4月8日から、ロルフィングのアドバンスト・トレーニング(AT)に参加中。昨日、2日目を無事終えた。講師は、アメリカ人のRay McCall(以下Ray)と田畑 浩良さんの2名だ。

前回のブログでは、初日を迎え、ATを行う意味について歴史的な経緯を含めて紹介した。今回は、Rayと田畑さんのメンターであるJeff Maitlandが提唱した「3つの問いかけ」についてまとめたい。

参考に、コーチングに臨む際にも参考になる考え方で、ボディワークのみならずコーチにも有用だと思っている。

Jeff Maitlandの考え方〜3つの問いかけ

初日の午後は、Jeff Maitlandの考え方を象徴的に表す「3つの問いかけ」をホワイトボードにシェアすることからスタートした。
1)Where do you start?(どのようなアプローチ(考え方)で(セッションを)開始するか)
2)What do you do next?(次に何をするのか?)
3)When are you done?(いつ終わりを判断するか?)

どのような方法でセッションを開始するのか?その結果として次のアプローチするが、どのような判断で行うのか?セッションを終わったと実感するのはどうしたらいいのか?と言う3つの考え方だが、興味深いのは、1)だ。

最初に、どのような「知覚」状態におけばいいのか?

どのようなアプローチ、考え方で、セッションに臨むのか?という問いかけについて、Rayが大事にしているのは、クライアントが安心・安全(People feel safe)を感じるような「知覚」状態に置くことだという。

その結果、クライアントがその人に必要なリソース(resource)に繋がれる。結果的に、非言語によるコミュニケーションが可能となり、クライアントが、施術者(コーチ)から話を聞いてもらったという感覚が無意識的に芽生えることへとつながる。

身体は「自己調整」が可能という考え

安心・安全な状態を「知覚」の側面で言語化すると
「相手の身体は自己調整すること(Body is self-organizing)ができると信じること」
になる。

Rayと田畑さんの二人は「柔らかめのタッチ(light touch)」を大事にしているように感じる。実際、そこに至るまでどのような歴史を辿ったのか?Rayが紹介している。

Ida Rolfがロルフィングの手技を開発した頃は、筋膜へアプローチする際、手技を使って物理的な圧力を加えると効率的に身体が整っていった。しかし、この欠点は痛みが伴うことだ。

1980年代にオステオパシーのBiodynamic Craniosacral therapyをロルフィングの手技に取り入れるようになる。この考え方により、light touchと適切な在り方(proper presence)によって、物理的な圧力を加えなくても、効果的にセッションが行われるという。

在り方〜Presenceとは〜身体軸とLINE

特に、在り方(presence)がポイントで、自分の身体がバランスよく整う、身体軸(LINE、センタリング)の線が通った「知覚」状態とクライアントとの「関係性」を意識していくことが秘訣となるという。

Rayは、エネルギーワークの一つSource Point Therapyを実践しているが、仙骨付近で集中的にアプローチすると、最大限効果が発揮され、身体軸が整っていくという。それを、クライアントさんの身体軸が自ずと浮かび上がっていく(evoke)と表現している。

田畑さんは、極力重心が低くくなる状態(腹(HARA))で力(筋肉の張力(tonus))がちょうどバランスのいい状態だと言語化していたが、ATでは、自分の身体を使って、身体軸をどのように整えていくのか?練習も行った。

関係性を築くこと

「関係性」も奥深い。ロルフィングに限らず、コーチングでも言えることだが、Rayはセッションに臨むにあたって、以下の3つの問いかけも重要だという。
1)Things don’t exist – relationships do.(もの(身体軸を含む)は存在しない、関係性だけだ)
2)When you touch a body – what are you touching(身体を触れる際、何を触っているのか?)
3)change happens in unexpected ways(変化は予期せぬ方向へ起こる)

1)を施術者とクライアントとの「関係性」で、非言語を含めたコミュニケーションをとることで2)身体へ必要な箇所へアプローチする。そのことで、変化は予期せぬ方向へと起こっている。いずれにせよ、如何にクライアントとの関係性を作り上げるかが肝となる。

田畑さんは、「関係性」の大切さを気づかせるワークとして、石庭ワーク(Rock Garden Work)を紹介。一人一人の立ち位置によって、身体がどのような変化が起きるのか?居心地いい空間・場はどのような状態なのか?体感するワークとなった。

ニュートラルとは?

ATの期間中、何度か「ニュートラル(Neutral)」が大切だよ!ぜひ、Neutralと書いて、丸をつけるようにとRayから教えられた。実際、関係性を築く上でも、身体軸を整えていく手段としても、Neutralになることがすごく大事になってくる。

実際、2日目には、Neutralについて深掘りした説明を受けることになる。非常に理解が難しく、質問も多く、Ray自身、説明するのに言葉を選んで行っていた。次回は、Neutralについて触れたい。

まとめ

今回は、Rayと田畑さんが影響を受けたJeff Maitlandの「3つの問いかけ」についてまとめた。どのような在り方でセッションに臨むのか?関係性、知覚状態、身体軸などのキーワードを使って説明した。

コーチングに臨む際にも参考になる考え方で、今後自分自身もセッションの中でも取り入れようと考えている。

少しでもこの投稿が役立つことを願っています。

この記事を書いた人

Hidefumi Otsuka