【B#357】ロルフ・ムーブメント3/5回シリーズ─ 動きの質を高め、自分の身体と再びつながるために

ロルフ・ムーブメントとは?

ロルフ・ムーブメントとは、ロルフィングに「動作」を取り入れ「動きの質」を探究するボディワークです。

目的は、動作や姿勢の“矯正”ではなく、身体と重力、空間との関係性を整え、より自然で調和の取れた動きを取り戻すことにあります。

私たちは日々、立つ・歩く・座るなどの動作を無意識に行っていますが、その背後には過去の習慣や感情、緊張パターンが蓄積されています。ロルフ・ムーブメントでは、こうした無意識の癖に気づき、丁寧に再学習することで、身体の可能性を再び引き出していきます。

このアプローチは、単なる運動療法やエクササイズではなく、感覚の再教育と神経系の再構築を通じて、身体の内側から変化をもたらします。

ロルフ・ムーブメントは、「身体を変える」のではなく、「身体の使い方が変わることで、自分との関係が変わっていく」体験を提供するものです。

ボディスキーマとボディイメージ──感覚と動作の基盤

ロルフ・ムーブメントでは、 ボディスキーマ(body schema)とボディイメージ(body image)という2つの身体認識の仕組みを重視します。

  • ボディスキーマとは、脳や神経系が無意識に保持している身体の「地図」のこと。 立つ、歩く、手を伸ばすといった動作を自動的に制御する、神経生理学的な枠組みです。
  • ボディイメージとは、自分の身体に対する意識的なイメージ。感情や記憶、文化的な価値観にも影響を受けます。

ロルフ・ムーブメントの試みは、「ボディスキーマを書き換えることで、ボディイメージを変える」というものです。

そして、ボディイメージが変われば、 動きそのものが変わり、身体の感じ方・在り方も変わっていきます。

Pre-movement(動作前の動き)とPhoric Touch(方向性を含む触れ方)

ロルフ・ムーブメントでは、Pre-movement(動作前の動き)の視点を重視します。 これは、実際の動きが起きる“前”に、身体がどのように「動作」しているのかを観察する考え方です。

たとえば、「立つ姿勢」から「座る姿勢」に移行する瞬間。 この時、身体のどこに力が入り、どこが解放されているか? その前兆に、身体の癖や無意識のパターンが現れます。

また、Phoric Touch(方向性を含む触れ方)では、 **動きの中の安定点(reference point)と方向性(orientation)に注目し、 身体がどこに向かい、どこを起点に動いているのかを丁寧に伝えていきます。

トニックファンクションとは?─Hubert Godardの視点から

ロルフィングの動作改善に大きな影響を与えたフランス人のロルファー、Hubert Godard(ユベール・ゴダール)は、 「トニックファンクション(Tonic Function)」という概念を提唱しました。

これは、身体が重力との関係の中でどのように安定し、協調しながら動くかを示す理論です。

  • トニック筋(Tonic):姿勢の保持や呼吸など、無意識に持続的に働き、疲れにくい筋肉。重力と調和するように身体を支えます。
  • フェイジック筋(Phasic):瞬間的・意図的に活動し、すぐに疲れやすい筋肉。動きやパフォーマンスに関与します。

現代人の多くはフェイジック筋ばかりを使いすぎており、 その結果として肩こりや腰痛などが慢性化しやすくなっています。

ロルフ・ムーブメントでは、本来無意識で働くべきトニック筋の感覚と機能を回復させることで、 「がんばらないのに安定している」という、自然な身体のあり方を取り戻します。

感覚と動きをつなぐ6つの視点(実践アプローチ)

  1. 1. 内臓・関節・筋骨格の連携(Visceral × Articular × Musculo-skeletal) 背骨や内臓の動きと、関節のスペース、筋骨格の構造を一体的に扱い、深層からの自然な動きを導きます。
  2. 2. 身体の地図を再構築する(Proprioception) 手足や関節の位置を感じにくい人には、固有感覚(Proprioception)を刺激し、 身体の位置感覚や動作の自覚を育てます
  3. 3. 身体に奥行きをつくる(Volume × Vector × Coordination) 背骨や頭部など身体内部の空間(volume)を感じ、 二方向性(vector)と協調(coordination)で、身体に奥行きと広がりを取り戻します。
  4. 4. 安心できる方向性をもつ(Orientation) 空間へのはっきりとした方向性(orientation)を動きに取り入れることで、 安全性や境界線の感覚が整います。
  5. 5. 身体周囲の空間との関係(Peripersonal Space) 手足を通して、身体の周囲の空間に対する認識と関係性を高めます
  6. 6. 「自分の身体」という感覚を育てる(Sense of Belonging) 安心できる動きと環境を整えることで、 身体が「自分のものである」という感覚を再構築していきます。

こんな方におすすめです

  • 1. 自分の身体の使い方を根本から見直したい方
  • 2. ヨガ、ダンス、武道など身体技法を探求している方
  • 3. 慢性的な姿勢の癖や身体の硬さが気になる方
  • 4. 呼吸や歩行、動作をもっと「楽に」したいと感じている方
  • 5. ロルフィング10シリーズを終え、さらに身体の統合を深めたい方

ロルフ・ムーブメント3/5回シリーズのご案内

  • 対象者:身体の使い方を見直したい方、ヨガ・ダンス・武道などの実践者、慢性的な緊張や姿勢の癖に悩む方
  • 目的:動きと感覚のつながりを深め、より自由で効率的な身体の使い方を身につけること
  • 期待される効果:動きのしなやかさ、バランスの向上、無意識の緊張パターンの解放、身体感覚の目覚め
  • 料金:15,000円/回(税込)、66,000円/5回(一括払い・税込)、40,000円/3回(一括払い・税込)

ロルフ・ムーブメント3/5回シリーズは、感覚の再教育と動作の質の向上を目的とした、継続型のプログラムです。
3回シリーズでは基本的な動きの再認識を、5回シリーズではより深い動きの統合と神経系の再調整を目指します。ロルフィング10シリーズとの併用や、単独での受講も可能です。

最後に

動きの質が変わると、身体の在り方が変わり、人生の質も変わります。 ロルフ・ムーブメントは、身体と空間の関係を丁寧に再構築しながら、「もっと自分らしく動ける」という感覚を取り戻すセッションです。

ご興味のある方は、ぜひお問い合わせください。

この記事を書いた人

Hidefumi Otsuka