はじめに
渋谷を拠点にロルフィング®のセッションを行っている大塚英文です。

「やろう」と思っている。
むしろ、やらなければいけないことも分かっている。
それでも、動けない。
このとき私たちは、
「どこかにマインドブロックがあるのではないか」
「何かが自分の足を引っ張っているのではないか」
と考える。
そして、そのブロックを外そうとして、
思考や言葉を使って解決しようとする。
しかし、多くの場合、それでは外れない。
なぜならそのブロックは、
思考の中ではなく、身体の中に形成されているからである。
出来事は「身体の反応」として記録される
私たちは日々、さまざまな経験をしている。
その一つひとつは、単なる記憶ではなく、
身体の反応として積み重なっていく。
・呼吸が止まる
・身体が固まる
・胸や腹が縮む
こうした反応は、その場限りで終わるのではなく、
パターンとして身体に残る。
そして似た状況に直面したとき、
扁桃体がそれを参照し、
同じ反応を再び引き起こす。
つまり、
現在の「動けなさ」は、過去の出来事に対する身体の反応の再現である。
マインドブロックの正体
このとき私たちは、それを思考の問題として扱う。
「自信がない」
「不安がある」
しかし実際には、
身体が先に反応し、
その後に思考がそれを説明している。
つまり、
マインドブロックとは、身体に現れた反応パターンである。
身体は「止める」ようにできている
自律的に働く
自律神経系は、
私たちを守るために存在している。
そのため、
少しでも危険や不確実性を感じると、
・筋肉を固め
・呼吸を浅くし
・動きを制限する
という方向に働く。
このとき、
動けないのは当然である。
身体は「正しく」反応している。
必要なのは「身体の書き換え」
だからこそ、
変えるべきなのは思考ではない。
身体の反応そのものを変えていく必要がある。
ここで重要になるのが、
身体と重力との関係である。
重力に沿って、身体が立ち上がるとき
ロルフィングのセッションの中で、
非常に特徴的な変化がある。
それは、
身体が、重力に沿って立ち上がってくる感覚である。
無理に姿勢を正すのではなく、
自然に骨格が整い、支えが生まれる。
特に、
骨盤が立ち上がり、
下から支えられるようになると、
身体全体の在り方が変わる。
経験的にも、この状態に入ると、
身体の書き換えが一気に起きやすくなる。
内側から動き出す身体
骨盤が安定し、重心が整うと、
体幹は柔らかさを取り戻し、
内側にスペースが生まれる。
すると、
- 呼吸が広がり
- 内臓が動き出し
- 全身の流れが回復する
これまで止まっていたものが、
内側から動き始める。
ここで起きているのは、
単なる筋肉の変化ではない。
神経系の前提そのものが変わっている。
バランスは「取る」のではなく「現れる」
身体が動き始めると、
ある変化が起きる。
それは、
バランスを「取ろうとしなくてもよくなる」ということだ。
これまでは、
意識して整えようとしていたものが、
全身のつながりの中で、
自然に見つかっていく。
この状態では、
行動も同じように変わる。
努力して動くのではなく、
動くことが自然になる。
マインドブロックはほどけていく
このとき、
それまで強く感じていた「足枷」はどうなるのか。
消そうとしなくても、
いつの間にか弱まり、
やがて気にならなくなる。
それは、
無理に外したからではない。
身体が別の状態を学習したからである。
ロルフィングというアプローチ
ロルフィングは、
この一連の変化を意図的に起こしていく。
筋膜、姿勢、重力との関係を通して、
身体の構造を再編成する。
その結果として、
- 神経系が変わり
- 感覚が変わり
- 行動が変わる
変化は、外から与えられるものではなく、
身体の中から立ち上がってくる。
おわりに
動けないとき、
それは問題ではなく、状態である。
そして状態は、
思考ではなく、身体から変わる。
重力に沿って身体が立ち上がり、
内側から動きが回復するとき、
私たちは初めて、
無理に変わろうとするのではなく、
すでに変わり始めている自分に気づく。
