はじめに
東京・渋谷でロルフィング・セッションと脳科学から栄養・睡眠・マインドの脳活(脳科学活用)講座を提供している大塚英文です。

私は、2025年4月8日から、東京の市ヶ谷で日本ロルフィング協会主催のアドバンスト(上級)・トレーニング(AT)に参加している(参加の動機については「参加を決意〜アドバンスト・ロルフィング研修・2025年4月〜7月」にまとめた)。
ATに参加するためには、認定ロルファー(Rolfer)として、3年〜7年セッションの提供を行いつつ、ロルフィングのインストラクターから継続研修を18単位(1単位は1日の研修)を修めることが必要だ。
ATで、お世話になる講師は、アメリカ人のRay McCall(以下Ray)と田畑 浩良さんの2名だ。私は、欧州ロルフィング協会からロルフィングの手技を学んでいたが、2名から学ぶのは初めて。違った視点から参加者12名と共にロルフィングを学べることを期待している。
今回は、初日を終えた段階で、ATはなぜ行われるのか?その意味を基礎トレーニング(BT)との違い、カルキュラムはどう変わっていったのか?を含め紹介したい。
アドバンス・トレーニング(AT)と基礎トレーニングの違い
ロルフィングの手技を提供するためのトレーニングとしては、基礎トレーニング(BT)とATの2つのトレーニングがある。Rayからは、BTとATの違いを歴史を踏まえつつ紹介した。
ATの歴史と5回シリーズ
ロルフィングの創業者のIda Rolfは、ATを4回行った後に、愛弟子のPeter Melchior(ピーター・メルチャー)とEmmett Hutchins(エメット・ハッチンス)にATのトレーニングを依頼することになる。当時教えられていたのが、5回で完結するアドバンス・シリーズだったそうだ。
余談になるが、2017年1月にSeattleでSharon Wheelerのワークショップを受けた時に、Ida RolfがATを提供する経緯について伺う機会があった。Ida Rolfから直接指導を受けたSharonによると、ATは、生徒の理解度の低い人を対象に補講という意味合いが強かったらしい。
ATが始まった当初、SharonはAdvanced Trainingが受けられる!と喜んで受けようと思ったら、「それはいらないよ!」とIda Rolfに言われる始末だったらしい(「セッションで何を心がけて行ったらいいのか?」参照)。
Jeff Maitlandの影響と手順のない形式へ
Sharonの話をさらに触れると、1989年にRolf Institution of Structural Integration(RISI)がMichael SalvesonとJan Sultanを中心とするRISIとメルチャーとエメットを中心としたGuild for Structural Integration(Guild)の2つの団体に分裂していく。
分裂の要因は政治的だったこと。分裂した当初、GuildもRISIもカルキュラムに差がなかったらしい。Guildとの差別化の必要性からRISIでは、Jeff Maitlandの哲学を含め幾つかの内容をトレーニングに加わっていったそうだ。
一番最初のBTは、Auditing(観察者(知覚する)の段階)とPractitioner(施術者(施術経験)の段階)の2段階だった。それが、Practitionerの段階をPhase Iから取り入れ、Phase II(生徒同士の練習)、Phase III(外部クライアントとの練習)へと形式が変わる。
Rayと田畑さんは、Maitlandの哲学の影響を受けている。今回は、Maitlandの哲学を知る貴重な機会になりそうだが、Maitlandの影響から、1990年代以降、RISIでは、アドバンス・シリーズから、手順にとらわれない形式(Rayは、non-formulaticと表現)へと変貌する。
BTとATは同じ技術を使い、教えるのだが、違いはどこにあるのか?一言で言えば、BTは、一人一人が同じような平均的な人間として手順を教えるのに対し、ATは、一人一人の独自性を尊重した上で、クライアントに合わせてセッションを提供していくことになる。
例えていうならば、庭のために土壌を準備し、基礎的なアプローチをとるのがBT、手順にとらわれない形式は、ジャズ・即興演奏みたいなものだ。
まとめ
今回のブログでは、ATは何のために行われるのか?その歴史とBTとの違いを中心にまとめさせていただいた。
少しでもこの投稿が役立つことを願っています。