【R#14】Phase II(4)〜セッション1:呼吸を調える

本ブログで触れているようにロルフィングとは、身体の構造の中で主に筋膜に働きかけ、重力からの影響により身体が整っていくという方法である。それには段階があり、筋膜のより浅い表層筋から始まり、より深いところの深層筋へとタマネギを一枚一枚剥くように身体へアプローチしていく
筋膜というのは、「筋肉と、筋肉や身体中のあらゆるものを包み込み、互いに入り組んだ結合組織」である(下記の透明組織)。
fascia
下記の写真が示すように、一カ所でも筋膜の緊張があると、身体の構造に大きな影響を与える。このため、赤色のピンを一つずつ取っていく作業(すなわち筋膜を伸ばして緊張を解くこと)を行っていく。
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さて、人間の身体を大きな器(ロルフィングではcontainerという)と見立てると、上半身と下半身があることが分かる。ロルフィングでは歩行を観察しながら施術法を考えるが、歩行に重要なのは、下半身が地面をしっかりと受け止めて(重力とともに地に着いている状態)た上で、上半身の可動性を増す(方向としては上に向かう)こと。このような身体作りを通じて土台を築く。
Jumping on the beach
そのため、ロルフィングのセッション1は上半身、セッション2は下半身(詳細は、「セッション2:足の土台を調える」(本ブログで触れる))、セッション3は上半身、下半身の統合の順番で一つ一つ、表層にある赤色のピンをとって行き、身体を調えていく(詳細は、「【RolfingコラムVol.10】Training Phase II〜表層筋のセッション」参照)。
セッション1の上半身を調える際に用いるツールは「呼吸」である。1日にに28,800回に及ぶ呼吸は、人間が必ず行う反復運動の一つ。呼吸の広がりを観察することにより上半身の調え具合が分かるため使われる。
一番最初に呼吸に注目するのは興味深い。なぜならヨガでも呼吸に注目するからだ。ヨガはポーズを行うことで呼吸のしやすい姿勢を作り、より深い呼吸が出来ることで心が落ち着いてくるからだ。このヨガのポーズを筋膜を伸ばすことで行うと考えると分かりやすいかもしれない。しかも、ロルフィングの場合には解剖学用語がよく出てくるようにサイエンスがベースにあるので目的が明確だ。
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セッション1〜10を通じて変わらないことは、Teacher, Associate teacherの二人のデモ(外からクライアントを呼ぶ)を見た後、生徒同士でセッションを行う(生徒は一人の生徒を担当し、10回同じ生徒を担当する)こと。
セッション1の目的(goal)としては、

  1. 呼吸に関連する筋膜(例えば鎖骨、肋骨、胸骨近辺)の表層部分の緊張を解く
  2. 骨盤と胸郭(Thorax)との間を明確に分ける(上半身と下半身を明確に分ける意識を持たせるのが目的)
  3. 骨盤の可動域を股関節を軸に(hip axis)確保する

セッション1では、立位、歩行と座位の3種類の姿勢をみて、重力をどこで感じているのか?呼吸は浅い?深い?呼吸は胸式?腹式?呼吸を妨げているのは?等観察ポイント(body reading)をチェックしながら、施術を考える。
sun in hands
私自身、ロルフィングの生徒と話し合った結果、Body readingは以下のような傾向があることが分かった。

  • 呼吸の「吸うとき」に力を入れる傾向があり、胸骨の下に詰まり感がある。呼吸は、腹呼吸は出来ているが胸式呼吸が出来ていない。
  • 股関節が前に行く傾向があり、骨盤が後ろ向きに傾いている。
  • 膝に力が入っている。
  • 身体が前屈みになっている。歩行の足の使い方が前のめりになっている。

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第1回目の施術(ロルフィングではStrategy)は、この観察結果に基づいて、肋骨、背骨、肋骨弓(costal arch、肋骨の下の領域)、骨盤、腸脛じん帯(ITB)やハムストリングス近辺の筋膜を強弱をつけながら指、手の平、甲、肘等を使って緊張を解いていくこととなる。手による筋膜を広げる手法は不明な場合にはTeacherに聞くことで対処する。
施術を受けた結果、このセッション1だけでも余計な緊張が取れてきた。例を挙げると

  1. 呼吸が胸式呼吸と腹式呼吸の双方が意識できるようになり、「吸うとき」の力が入らなくなった。呼吸が深くなった。
  2. 足が地面について足場がしっかりとできるようになった。
  3. 身体の前後のバランスが明確になった。
  4. 脊柱から下の腰椎のカーブがより明確に意識できるようになった。

週に1〜2回のペースで、10回まで生徒同士で行うセッション。どのように身体が変化していくのか?楽しみだ。

この記事を書いた人

Hidefumi Otsuka