前回、本コラムで「働くこと」について触れた(【旅コラムVol.172】参照)。今回は、「人と会うこと」について書きたい。
最近頻度を高めて人に会うようにしている。自分の世の中に対する考え方を広めるというのが一つの大きな動機であり、結果としてロルフィングに興味を持っている人と出会えればいいと考えている。
2012年の正月頃に本ブログ(「人との出会いから学んだこと〜ライブ感覚と雑談の大切さ」)にて、5年間にわたって自分の世界観を広げようと、いろいろな事柄に興味を持つようになった。2008年のスキューバ・ダイビングから始まって、ヨガ、心理学から派生してきたNLP、CTIのコー・アクティブ・コーチング、 茶道、書道、タロット、中国語、ジャズ鑑賞や読書会などに関心を示すようになった。
関心の輪を広げるのは大事だが、いい人を引き寄せるには「誘われやすい人間になる」ということが重要だと思う(本ブログの「広い考え方を持つには〜最初の誘いを断らない」参照)。
それは単純なことで、新たな友人と出会ったとする。今後、仲良くしていきたいと思った場合
次の誘いは、断らない。
ということだ。
これが結果的に、人とのつながりが飛躍的に増えることになる。個人的には友達の多寡で物事を決めるのはどうかと思うが、多くの人と出会うことで、自分の考えを広げるのに一助となったのは間違いない。
更にその考えに加えて、世界一周から帰ってきて「信頼を得る」ということの大切さを日感じるようになってきている。きっかけを与えてくれたのはミュンヘンのPhase IIのロルフィング・トレーニングで受けたGiovanni先生だ(【旅コラムVol.44】参照)。
Giovanni先生の相手への距離感の取り方が絶妙で、人に対して指導するときに、
「このような見方をしているんだね。それも素晴らしいが、このような見方をしてみたらどうか?」
といった相手の考えを信頼した上での提案型。悩みを抱えている時には、サポートに入り、場を和ませる。自分の技術を信じること、失敗することは学びの一つのプロセスであること。努力は報われていくことを見本でもって示す等、信頼を得ることで能力は磨かれていくようなクラスの雰囲気があった。私も、ロルフィングの能力が開花したのは、間違いなく彼のトレーニングに対する姿勢が大きい。
「信頼」を考えることで、人には大きく分けて2つのタイプがあることに気づくようになった。友人との会話の中で生まれた言葉だが、その人から何かを得ようと考えながら、打算的に動く「交換型の人間」と、見返りを求めず自分のできる限りのものを与え、循環して、最終的に自分のところに戻ってくるという「循環型の人間」だ。
会社という営利組織に所属していていた関係上、「交換型の人間」と接する時間が自ずと長くなる。一方で、旅というのは、年齢や肩書き関係なく、他人の目を気にせずに相手を「こういう人間なのだ」と判断することなくOPENに接するようになる。逆に打算ではなく、その人が信頼できるか否かで判断されるといってもいい。信頼の上で、お互いに自分のものを与え合うので、旅や仕事から離れている期間中は「循環型の人間」の人間と接する機会が自ずと増えていった。
【RolfingコラムVol.27】で触れたが、コーチングというのは、
人の話を聞いて、その人のポテンシャルを上げるためにどうしたらいいのか?を考える一つの手段。
その中で、DOINGとBEINGを分け、BEINGにfocusする。
DOING=何をするか?
BEING=自分がどうあるべきか?
そして、BEINGという無意識になりがちな価値観に働きかけることによって、意識に上るDOING が自然に変化するというのがコーチングの本質だ、ということを書いた。
この視点で考えると、「交換型の人間」はDOINGに力点、「循環型の人間」はBEINGに力点をそれぞれ置いていると思う。
このような視点から考えると、人というのはどちらかに分類されるというわけではなく、どちらの割合が大きいのか?そのバランスを身につけていくことが大切。
以前、ロルフィングにおける施術する前に相手が持っていた古いパターン(old pattern、古い動きの習慣)と施術後の新しいパターン(new pattern、施術の結果として生まれた新しい動きの習慣)があり、それには善悪がないということを述べた(【RolfingコラムVol.34】参照)。ということは、「交換型」であれ「循環型」であれ、一種のパターンであると考えると、善悪というものはないようにも思う。
人に対する見方というのは様々。今回は、あくまでも一つの考え方として紹介した。