はじめに
こんにちは!東京・渋谷(恵比寿)でロルフィング・セッションと栄養・タロットカウンセリングを提供している大塚英文です。
2022年4月1日(木)の夜に「怪我なく、楽しんでヨガの練習をしていくための身体と心をつなぐ「筋膜」入門〜どのように重力を活かしていくのか?」を開催したので報告したい。
ロルフィングの基礎トレーニングでの気づき〜重力をどう活かすか?
ヨガを練習するようになってから15年。ボディワークの一つロルフィングの資格をとってから7年が過ぎました。
様々な流派のヨガに接しているとき、疑問に思ったのは、
「なぜ、怪我を抱えながら練習している人が多いのか?」
「せっかく、練習しているのに、なぜそのようなことが起きるのか?」
だった。
転機が訪れたのが、ミュンヘンでロルフィングの基礎トレーニングを受講していたときに学んだ「重力」の考え方だった。
「重力」を活かすことで、楽にヨガのポーズを取れるようになったのだ。
そこで「筋膜」のセミナー第二弾として
「「重力」とは何か?」
どのように活かしたら、怪我なくヨガのポーズを取れるようになるのか?
をテーマにセミナーを行った。
ロルフィングの基礎トレーニングでの気づき〜重力をどう活かすか?
胎児が子宮の中にいるときには、無重力の状態。
産道を通って、子供が誕生すると、真っ先に感じるのが「重力」
赤ちゃんが成人に発達していくにつれて、姿勢を整えていく。
姿勢を整えていく上で大事になるのが「重力」との「関係」づくりだ。
ロルフィングでは、重力について細かく学ぶのだが、その考えの一つをセミナーで紹介した。
重力の影響下で、働く2種類の筋肉〜持続性(Tonic)と一過性(Phasic)
「重力」に置かれると、重力に対抗するために筋肉が緊張する。
フランス人ロルファーのウベア・ゴダード(Hubert Godard)氏は、
「重力」に置かれると
1)一時的(Phasic)に働く筋肉(Muscle):Phasic Muscle
と
2)持続的(Tonic)に働く筋肉(Muscle):Tonic Muscle
の2つに分けて考えた。
Phasic Muscleは一過性に働く筋肉で、スプリント、ウェイトリフティング、物を持ち上げるときなどに関わっている。
努力して物を持ち上げる際に働き、ブドウ糖をエネルギー源にしている。このため疲労感が襲い、身体が疲れてくる。
Phasic Muscleは、α運動神経系に支配されている。
α運動神経系は、人間の脳によって働く神経系の一つであるため、脳が直接影響を及ぼすことができる。
αは、運動神経系の2/3を占める。日々のストレスによって身体に緊張が襲う場合にもPhasic Muscleが中心となって働く。
Tonic Muscleは、持続的に働く筋肉で、姿勢の維持に関わるといわれている。
酸素がエネルギー源。ゆっくりと持続的に働き、疲労感に襲われるということはあまりない。
Tonic muscleの特徴は、筋紡錘(spindle)が多く持つこと。
筋紡錘とは、筋肉のセンサーであり、筋肉の伸ぴ縮みを感知する感覚器官。
普段ヨガや瞑想で「身体を意識する」というのは、筋紡錘のスイッチを入れると考えてもいい。
重力によって筋紡錘は働くので、重力を意識しなくても筋紡錘の多いTonic Muscleが自動的に働くことができる。
γ運動神経系によって支配を受ける。
γは、運動神経系の1/3を占める。γ運動神経系の特徴は、小脳や延髄など習慣化された動きによって働き出すということである。
ヨガ・ピラティスやロルフィング等は
「如何にしてγ運動神経系を活性化して、身体内のエネルギーの効率の高いTonic muscleを最大限生かしていくか?」
という観点が重要になる。
では
「どのようにしたら、Tonic Muscleが活性化するのか?」
次に紹介したい。
Tonic Muscleの活性化①〜筋感覚を使えている状態
γ運動神経系を活性化するためには、筋感覚を使えている状態も大事である。
ロルフィングでは、Haptic/Papatoryとも呼ばれ、手、足、頭・顔を含めた外部感覚器官が外部情報をしっかりと受け取り、身体の内部に情報が伝えることができるかどうか?
にかかっている。
Tonic Muscleの活性化②〜2つの方向性、重力、空間
次に、重力の性質を知ることで、どのような工夫をすればいいのか?がわかる。
身体は「重力」を感じる時に、身体全体で「重さ」を感じるが、
身体が動いたり、姿勢(立位、座位)をとったりすると、「重さ」に偏りが生じる。
自然な動きをするためには、下半身は重力を感じる(下向き、重さを感じる部位)のと同時に、上半身はそれを土台に背筋が伸び、自由に動く(上向き、重さから比較的自由な部位)。この「下向き」と「上向き」の2つの方向性がある。
例えば、椅子に座る際も、足が地に着き、椅子で坐骨を支え(足と坐骨が下向き)、坐骨をベースに上半身を上に伸ばす意識(上半身が上向き)を持つと、もっとも適した動きになる。
注目したいのは、
「下向き」というのは、土台であること。英語では、Fixed Point(固定点)又はReference Point(参照点)。
「上向き」というのは、方向性を表すこと。英語では、Direction(方向)又Orientation(向き)。
とそれぞれ呼ぶ。
座位の場合、足と坐骨がFixed Pointとなることで、自由に上半身が動く=方向性(Direction)が決まっていく。
「重さ」というのは偏りを生じるのだが、身体に2つの方向性を持つことが意識できると、身体内に空間(Articulation)が生まれる。
空間を広げれば広げるほど、自由に動けるスペースが広まるので、重力をより活かすことができるのだ。
まとめ
今回のセミナーでは、重力とは何か?から始まり、重力によって働く筋肉には2つの種類があること、二つの方向性を意識し、空間の広がりを感じられれば感じられるほど、重力に対して動きやすくなることを紹介した。
重力の考え方の理解が深まると、筋膜の考え方の理解も深まると思う。
前回のテーマだった、ボディスキーマ(身体地図)(「怪我なく、楽しんでヨガの練習をしていくための身体と心をつなぐ「筋膜」入門 ・開催報告」参照)と今回の重力のことが理解できると、次回開催する「筋膜」の考えの理解が深まると思う。
「筋膜」については語りたいことが多いので(栄養学、身体との関係を含め)、いろいろな側面から紹介できればと考えている。