【R#285】身体が整うと、重力により自ずと身体は自己治癒へ向かう

はじめに

東京・渋谷でロルフィング・セッションと脳科学から栄養・睡眠・マインドの脳活(脳科学活用)講座を提供している大塚英文です。

私は、2015年6月から、ロルフィングのセッションを提供している。過去に「整体・マッサージとの違い〜症状か構造か?」に、整体との違いについて書いた。要は、整体との違いは「筋膜」へアプローチすること。それが決め手となり、バランスが整い、効果が持続するということだ。

実は、ロルフィングは「筋膜」以外にもう一つ、注目していることがある。「重力」だ。

ロルフィングの創始者(Ida Rolf)は、

When the body gets working appropriately, the force of gravity can flow through. Then, spontaneously, the body heals itself.

(意訳:身体が適切に働き出すと、重力は流れ出す。やがて、自然と身体は自己治癒に向かう)

を書き残している。

今回は、この重力について、まとめたい。

重力との関係が深まれば、自己治癒力も高まる

胎児が子宮の中にいるときには、無重力の状態。
産道を通って、赤ちゃんが誕生すると、まず、真っ先に感じるのが「重力」なのだ。

あたかも「重力」があることを予測するかのように、赤ちゃんは、うまく関係性を築くことができる。

成人に成長していくプロセスで、失敗を恐れず、試行錯誤を繰り返しながら、いつの間にか四つん這いから二足歩行への姿勢へ変化させることができる。このように姿勢を整えるのを可能なのは、「重力」との「関係」づくりを、無意識に行うことができるからだ。

人間は、「重力」との関係を築くことができれば、自己治癒力も進むし、環境に対して、安心・安全を感じることができるのではないかと感じている。

重力の影響下で、働く筋肉〜2種類

「重力」に置かれると、人間は「無意識」に、重力に対抗するために筋肉が働くと考えられる。

sky hook

以前、パリに行った時に、お世話になったフランス人ロルファーのウベア・ゴダード(Hubert Godard)さんは、

「重力」に置かれると2種類の筋肉が働くという「トニックファンクション」の理論を用いると、ロルフィングによる重力の治療効果が説明できると考えた。

2つの筋肉とは、
1)一時的(Phasic)に働く筋肉(Muscle):Phasic Muscle

2)持続的(Tonic)に働く筋肉(Muscle):Tonic Muscle
の2つだ。

「一時的」に働く筋肉〜疲労感がある

「一時的」に働く筋肉は一過性に働く筋肉で、スプリント、ウェイトリフティング、物を持ち上げるときなどに関わっている。

努力して物を持ち上げる際に働き、エネルギー源(ブドウ糖)を必要とする。このため疲労感が襲い、身体が疲れやすい。日々のストレスによって身体に緊張が出る時、肩こり、腰痛などは、Phasic Muscleが活発に動いていると言ってもいい。

身体の外側(表層)に多く存在しており、肩こりや腰痛は、外側の筋肉が緊張していることが多い。ストレスやデスクワークの多い世の中では、これらの筋肉が緊張状態に置かれている。

「持続的」に働く筋肉(Tonic Muscle)〜疲れ知らず

「持続的」に働く筋肉は、姿勢の維持に関わっている。エネルギーをほとんど必要とせず(酸素のみ)、ゆっくりと持続的に働くため、疲労感に襲われにくい。本来ならば、この筋肉が働いてほしいが、身体の内側(深層)に多く存在。表層の筋肉が緩んでいないと、働かない。

ヨガやピラティスを練習しても、肩こり、腰痛が良くならない場合には、表層の筋肉が緩んでいないため、インナーマッスル(深層筋肉)に意識が向かない。

この筋肉には、
「筋紡錘(spindle)が多く持つこと」
が知られている。

筋紡錘とは、筋肉のセンサーであり、筋肉の伸ぴ縮みを感知する感覚器官として知られている。

例えば、
ヨガや瞑想で
「身体を意識しなさい」
と指示されることがあるかと思う。
その時に、スイッチが入るのが筋紡錘。

身体が重力を探知すると、筋紡錘のスイッチが入るため、
重力を意識しなくても筋紡錘の多い持続的に働く筋肉が無意識に動くこと
ができると考えられている。

「持続的」に働く筋肉:コーチングの要素

興味深いことに、ウベア・ゴダードは、「トニックファンクション」の考え方を、身体の構造、心、考え方まで広げていく。

何と、「持続的」に働く筋肉は、4つの要素によって影響を受けるというのだ。
具体的には、
1)身体的な構造(身体の姿勢や構成、重力等)(structure)
2)身体全体がどう共同して動くのか?(coordination)
3)世の中をどう見るのか?(perception)
4)どのように世の中に対して意味づけを行なっているのか?(meaning)

3)や4)は、人の在り方(Being)に近い考えであり、まさに、コーチングの領域。1)と2)のロルフィングと組み合わせれば、相乗的に「持続的」に働く筋肉を働かせることができるのだ。

もし、ご興味がありましたら、ご体感いただくのが一番。ロルフィングのセッションにお越しいただければと思う。

まとめ

今回は、ロルフィングの中でも「重力」との関係について、どのような筋肉が働き、身体を整えるのに、なぜ大事なのか?コーチングが役立つ理由についても少し触れた。

少しでも、この投稿が役立つことを願っています。

 

この記事を書いた人

Hidefumi Otsuka