【R#289】瞑想と坐法〜長時間「座る」ためのヨガの活用とロルフィング

はじめに

東京・渋谷でロルフィング・セッションと脳科学から栄養・睡眠・マインドの脳活(脳科学活用)講座を提供している大塚英文です。

私が、ヨガ(アシュタンガ・ヴィンヤーサ・ヨガ)を日々、練習するようになってから18年(2006年頃)。一番最初に学んだことは、
「ヨガの目的は、身体の負担のかからない形で、20分間継続して座れるためにある」
ことだった。

ヨガは長時間座るための身体の使い方の叡智が詰まっている

瞑想は、長時間座ることが重要で、ヨガはその準備体操の一つなのだ。しかし、長時間、座る姿勢を取ることが意外と難しく、デスクワークの方は、すぐに肩凝ってしまうのだ。長時間座るための身体の使い方が試される。興味深いことに、ヨガのポーズは、アーサナ=坐法と呼ばれ、いかにして長時間座れるようになるか、考案された方法なのだ。

一方で、私はヨガのポーズだけでは、肩こり、腰痛や長時間座ることを含め、なかなかうまくいくことなく、最終的に、ロルフィングを含めたボディワークと出会うことで、改善していった。今回のブログ記事では、私自身の取り組みや、ロルフィングの考え方について紹介できればと考えている。

ヨガの目的は、骨と骨との間のスペースを広げること

ロルフィングの創始者、Ida Rolfは、ヨガが西洋で流行る前の1920年代、Yoga(当時はYogと呼ばれていた)を学んでいた。ボディワークの観点から、ヨガを以下のように見ていたことを書き残している。

The principle aim of yoga asanas is to increase the space at bony interfaces (joints). That is to say, the assumption of yoga is that bodies need to lengthen, and the means by which this length is achieved are positions in which opposing body parts pull or twist each other.

ヨガのアーサナ(ポーズ)の主要な目的は、骨と骨との間のスペースを広げること(スペースとは関節のこと)。すなわち、ヨガというのは、身体が延びる必要があり、身体の両側が引っ張りあうか、回転するかによって実現する。

と。具体的に何を意味しているのか?もう少し説明したい。

2つの方向性の意識がスペースを広げる

骨と骨に筋肉・関節が付着し、筋肉が動くことで骨同士が動く。骨と骨との間にスペースがあるということは、関節・筋肉がお互いに引っ張り合いスペースが広がるということだ。筋肉・関節を輪ゴムに例えて言うならば、左右の2方向に力を与えると、骨と骨との間についている、筋肉や関節のスペースが広がるといえばわかりやすいかもしれない。

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逆に、骨と骨との間にスペースが狭いと、筋肉・関節が収縮し、姿勢に大きな影響を与えることになるのだ。

輪ゴムに例えて紹介したが、身体には2つの方向性(輪ゴムで言えば、左右で引っ張り合う)を持つということを意味する。例えば、歩行を考えてみよう。下半身は重力を感じて(下向き)、上半身は、それを土台に背筋が伸び、自由に動くという姿勢になると、最も自然で、身体に負担のかからない姿勢で、歩行ができる。

椅子に座る際も、2つの方向性を意識することができる。足が地に着き、椅子で坐骨を支え(足と坐骨が下向き)、坐骨をベースに上半身を上に伸ばす意識(上半身が上向き)を持つと、背骨が伸び、楽な姿勢になる。

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座ることを少し詳しくみると、足が地につき、椅子で坐骨を支えることで、身体に土台ができる。問題なのは、多くの人が、デスクワークによって、骨盤が前傾しているか、後傾していて、骨盤が真っ直ぐに立つのが難しくなっていることだ。骨盤が立つためには、股関節の可動域が広がる、足の内側の筋肉(内転筋)に意識がいくといったことが重要になる。

土台がしっかりとしていると、背骨は自ずと延び、肩や腰への負担が軽減され、楽な姿勢になっていく。一方で、背骨の一つ一つのスペースも広げていくことができていないと、背筋が延びる感覚が生まれない。肩や胸の可動域も重要な要素となる。

実はヨガにより骨と骨とのスペースが縮まる傾向がある

私自身、ヨガを始めて、週4〜5回、練習をしてきたが、骨と骨との間のスペースが広がるところか、縮まるという感覚の方が強くなり、
「体軸がずれていく」
ように感じるようになった。

しかも、慢性的な首の痛みや肩こりがなかなか改善できない。関節の可動域もこれ以上広がらない等。そこで、身体の使い方に目が行くようになり、最終的にロルフィングと出会った。そこで出会った骨と骨とのスペースを意識することで、大幅に柔軟性が増すことになる。

面白いのは、Idaはヨガのポーズには一長一短があることを理解していたのだ。
それは以下の言葉から伺える。

Slowly she realized that the asanas did not achieve length and separation of the joints, that in too many cases there was actual contraction of the joint surfaces

徐々に彼女は、ヨガのアーサナが身体を伸ばし、関節を広げるということを実現していないことに気づく。というのも、関節の表面を収縮させるケースの方が多いことがわかったからだ。

筋膜へアプローチ〜骨と骨との間のスペースを広げる

そこで登場するのは、筋膜へアプローチするロルフィングだ。骨と骨との間には筋膜があり、手技を使ってそのスペースを広げていくと、自ずと、姿勢が整っていくのだ。

日頃からヨガを練習しているが、西洋で発達したボディワークの一つロルフィングと出会うことで、ヨガのポーズとの相乗効果を発揮できるようになった。

最終的に、ロルフィングとヨガと組み合わせることで、座る姿勢が安定し、瞑想も深まった。

まとめ

今回は、深く瞑想入るための座る姿勢について、ヨガやロルフィングが果たす視点や役割について紹介させていただいた。

ぜひ、ヨガのポーズの改善や瞑想を深めたいと考えている方、ロルフィングの体験も行なっていますので、ぜひお越しください。

 

この記事を書いた人

Hidefumi Otsuka