【R#333】AT(6)〜一人一人に合ったセッションを提供するには?フレームワークを理解する

はじめに

東京・渋谷でロルフィング・セッションと脳科学から栄養・睡眠・マインドの脳活(脳科学活用)講座を提供している大塚英文です。

先週(2025年4月8日〜)から、東京の市ヶ谷で日本ロルフィング協会主催のアドバンスト(上級)・トレーニング(AT)に参加している(講師は、Ray McCallと田畑 浩良さんの2名)。最初の4日間が終わり、週末を迎えた。

今回は、4日目の内容。一人一人にあったセッションを提供する際に、どのようなフレームワーク(枠組み)で考えるのか?を中心に学んだ内容の一部を紹介したい。

ロルフィングで大事なのは「観察力」〜どう身につけるか?

ロルフィングの基礎トレーニング(BT)で学ぶことは、1回目から10回目までのセッションを手順通り行うこと(Rayは、Formulaic approachと呼ぶ)。今回のATで学ぶことは、一人一人のクライアントの違いを認め、一人一人合ったセッションを提供することになる。

平均的な人間に対して、どのような手技を使うのか?BTでは、一通り手技を身につけることができる。このアプローチを念頭に、クライアントにセッションを提供し、手技を繰り返していくことで、徐々にロルフィング流の「身体の見方」を身につけていくことができる。

ロルフィングのBTは、一言でいうと、「「観察力」を如何に磨くか?」にある。実際、BTの大半は、「身体をどのように観察するのか?」に充てられると言ってもいい(詳しくは「「見る」とは?〜身体が動くことで身につく」参照)。

ロルフィングの創始者のIda RolfがBTを始めた頃、カルキュラムを2つの段階にわけていた。Auditing(観察者(知覚する)の段階)とPractitioner(施術者(施術経験)の段階)だ。

Auditingは、どのように観察するのか?を教える段階。身体を観察するところに力点がおかれている。施術することを一切しない。実際に施術者を繰り返し、繰り返し観察する。

「ロルフィングに必要な観察力」「何を観察するのか?」を身につけるまでそれが続くのだ。このような手法をSaturation method(Saturation=情報が飽和する)と呼ぶ。

目が「観察できる目」になり「身体に対する見る目」を養うまで情報を与え続けることで見る目を身につける。

この方法は、現在のロルフィングのカルキュラムにも活きていて、他の施術者を観察することに多くの時間を割いているというロルフィングのトレーニングの特徴となっている。

このように、原理原則を学ぶことで、次のステップである、一人一人にあったセッションを提供することができるのみならず、ロルフィングで学んだ枠組みを理解できるのだ。

アドバンスト・セッションをどう設計するか?

さて、ATでは、3回と5回のアドバンストセッションを学ぶが、いずれも目的は、身体を統合していくために、どのような戦略でセッションを決めていけばいいのか?を問いかけることだ。

以下の問いかけを通じて、戦略を立てる
1)What does the client want/expect?(クライアントが期待していることは何か?)
2)Which principle is lacking?(ロルフィングの原則から見て、クライアントに必要なことは?)
3)What is the appropriate taxonomy?(どのようなカテゴリーでセッションを展開するか?)

クライアントが期待していることは何か?

クライアントとの会話がすごく大事で、ロルフィングのセッションの成功には、何を期待しているのか?聴き取ること。そのためには、良い聞き手になり、身体の不調をうまく言語化することが必要となる。

原理原則から見てクライアントに必要なことは?

ロルフィングの原則には、全体性から見る(WHOLISM)、身体をサポートする(SUPPORT)、適応性(ADAPTABILITY)、二つの方向性(PALANTONICITY)、クロージング・終わりがある(CLOSURE)の5つがある(「5原則」参照)。

5回シリーズを設計していくためには、この原則から、今のクライアントに何が必要なのか?見ていくことで、戦略が立てやすくなる。

観察した上で、何のカテゴリーを選択し、セッションをするか?

観察した上で、どのカテゴリーを選ぶのか?エネルギーワーク(Energetic)、身体機能(Movement)、社会的・神経学的(Psycho-neuro biological)、構造的(Structural)、幾何学的(Geometric)でセッションを提供することができる。

エネルギーワークとしては、ソース・ポイント・セラピー(Source Point Therapy)、直傳靈氣、イールドワーク、クラニオ・セイクラル(Biodynamic Craniosacral therapy)等が含まれ、今回のRay McCall、田畑さんがその視点を持っている。

身体機能は、Rolf Movementが典型的で、ヨーロッパ・ロルフィング協会のトレーニングでRita Gerolia、France Hatt-Arnold、Aline Newton、Pierpaola Volpones、Giovanni Felicioni等がその視点を持っている。

社会的・神経学的は、ソマティック・エクスピリエンス(Somatic Experiencing)。ロルファーで言えば、ブラジル・ロルフィング協会のLael KeenやPedro Prado等がその視点を持っている。

構造的は、筋膜へアプローチするロルフィング10回シリーズで、Peter Schwind、Jan Sultan等がその視点を持っている。

大事なのは、クライアントがどのような環境に置かれていて、何が適しているのか?背景(文脈上)知ることで、何のカテゴリーからアプローチが必要なのかがわかる。

このフレームワークをベースに、外部クライアントとの5回セッションを開始。ATの3週間の間で提供する形になる。どのように進んでいくのか?エネルギーワークの側面で手技を磨いていく予定で、セッションの幅が広がることを期待している。

まとめ

今回は、10回シリーズ以外の、3回、5回のアドバンスト・セッションをどのように設計したのか?ATで学んだことを簡単にまとめた。

少しでもこの投稿が役に立つことを願っています。

この記事を書いた人

Hidefumi Otsuka