はじめに
東京・渋谷でロルフィング・セッションと脳科学から栄養・睡眠・マインドの脳活(脳科学活用)講座を提供している大塚英文です。
先週(2025年4月8日〜)から、東京の市ヶ谷で日本ロルフィング協会主催のアドバンスト(上級)・トレーニング(AT)に参加している(講師は、Ray McCallと田畑 浩良さんの2名)。3週間にわたって、火曜日〜金曜日に行われ、6日目(4月16日)を終えた。

5日目(4月15日)は、外部クライアントとのセッション、6日目は、クライアントがなく、統合の評価として重要なSeated bench workを練習する時間に当てた。
今回は、トレーニングが2週目(2025年4月15日〜18日)を迎え、Rayは、5日目と6日目の午前のレクチャー・質疑応答でJeff Maitlandの考え方について触れた。その内容が面白かったので、紹介させていただいた。
脱構築と原理・原則
Jeff MaitlandはPurdue大学の哲学科で教鞭を取っていたロルファーであり、禅(禅宗・臨済宗)にも造詣が深い。Jeffは、ロルフィングに現代思想の一つ現象学(Phenomenology)や学術的な要素を持ち込むことになる。
Jeffの役割はIda Rolfが提唱したロルフィング10回シリーズの脱構築(deconstruction)をし、原理・原則を持ち込んだことだった。
基礎トレーニング(BT)では、全体性から見る(WHOLISM)、身体をサポートする(SUPPORT)、適応性(ADAPTABILITY)、二つの方向性(PALANTONICITY)、クロージング・終わりがある(CLOSURE)の5つがあると学ぶ(「5原則」参照)。
Rayによると、CLOSURE以外はJeffの用語であり、CLOSUREはロルファーのPedro Pradoと共同で提唱し、最終的に5つなったとのことだ。
10回セッションを終えた後のアドバンスト5回シリーズは、Ida Rolfの愛弟子のPeter Melchior(ピーター・メルチャー)とEmmett Hutchins(エメット・ハッチンス)によって手順が決まっていたのだが、Jeffによって脱構築を進めていく。
アドバンスト5回シリーズの手順としては
1)身体軸(LINE)に戻る
2)身体をZポジション(位置)に置く
3)身体をCポジションに置く
4)膝・肘・肩などのHINGEのワーク
5)クロージング(どのような変化を起こすのか、許容する)
だった。
「一人一人に合ったセッションを提供するには?フレームワークを理解する」に書いたが、手順から原理・原則のフレームワークを使い「身体を統合させる」という目的でセッションを提供する(Non-Formulaic、手順なし)という手法へ変化していく。
大きな理由は、上記の手順は難しく、クライアントに負担をかける可能性が高いとのこと。実際に、デモで身体の位置を見たが、やりにくそうだった。
「観察すること」をどう養う?
Ida Rolfは「観察すること」が得意で、生徒は「見ることを養うこと」が最も重要だと考え、BTの中に取り込む。当初のBTは、Auditing(観察者(知覚する)の段階)とPractitioner(施術者(施術経験)の段階)の2段階だった。
Rayによると、観察する(SEEING)という言葉自体、誤解を招く表現だという。なぜなら、seeing with our own eyes(我々の目で見ること)では、自分の目で見ることへつながり、違ったものを見ている可能性があるからだ。
Jeffは、Getting information through somatic sensorium(感覚器官を総動員して見ること)が重要で、そのことで「観察することを」養っていくことへつながっていくと考えた。Auditingは、セッションを見るだけのトレーニングとなるが、それだけでは、観察力を養うのは厳しい。
更に、Practitionerの段階のトレーニングでは、月・水が外部クライアント、火・木に生徒同士による練習をするのだが、情報量が多すぎて消化不良を起こす可能性が出てくる。
このようなことがあり、Rolf Institution of Structural Integration(RISI)のBTでは、2段階から3つPhaseでトレーニングすることへ変貌し、Phase IとPhase IIで生徒同士の練習、Phase IIIで外部クライアントという形へ変わっていった。
Taxonomyと「観察する力」との関係
Jeffは哲学者として知られており、独特な用語を使う。例えば、ロルフィングの中では、Taxonomyという用語は、普段使わない言葉で、カテゴリー、分類を意味する哲学用語だ。
観察した上で、どのようなカテゴリーを選ぶのか?エネルギーワーク(Energetic)、身体機能(Movement)、社会的・神経学的(Psycho-neuro biological)、構造的(Structural)、幾何学的(Geometric)の分類をTaxonomyと表現。
Rayは、観察する力を助けるためのカテゴリーとしてTaxonomyという言葉を使ったと話しており、その点、なるほど!と思った。
まとめ
トレーニングが2週目(2025年4月15日〜18日)を迎え、Rayは、5日目と6日目の午前のレクチャー・質疑応答でJeff Maitlandの考え方について触れた。その内容が面白かったので、紹介させていただいた。
少しでもこの投稿が役立つことを願っています。