
ロルフィングを仕事にして(第2回)
開業から2年までは、口コミで順調に人が来ていた。けれども、2017年の秋に流れが止まった。
「2017年9月から半年間は、お客さんが一巡したということもあり、開業して初めて、想定通りにお客さんが集まらなかったことを経験させていただいた。」全く来なくなったわけではなく、後で振り返れば恵まれている方だった。それでも、開業して初めての経験だった。
この半年に何を試し、何が効いたのか。そして、その後に来たテレビ取材が、集客と説明の言葉をどう変えたのかを書いておきたい。
今までのやり方が通用しない
2017年は、料理のイベント、人の話の聞き方の講座、外部の講師を招いたセミナー、読書会など、さまざまなイベントを開いた年でもあった。集客や価格の決め方について、多くを学んだ。
一方で、ロルフィングのセッションと一部のイベントは、思った通りに人が集まらなかった。「今までうまくいってたと信じていたことがことごとく崩れ、どのように立て直したらいいのか?一から見直す日々だった。」
最初の2年でうまくいったやり方が、そのままでは通用しなくなっていた。一度うまくいくと、やり方を変えるのは難しい。
答えを、外に探した
最初に疑ったのは、サロンの空間だった。毎日、整理整頓と掃除をし、植物を増やした。効果が出るときもあったが、出ないときもあった。
次に、いろいろな人からアドバイスを聞き、試した。スピリチュアルに関する本も手に取った。けれども、悪戦苦闘している時には、人のアドバイスが気になり、どうしても自分の大切にしていることや判断軸が疎かになってしまう。
答えは、自分の中にあった
2017年の年末には、お客さんの数が想定通りに戻ってきた。振り返って、集客に効いたのは単純なことだったと書いている。
「サロンの環境の場や他人からのアドバイスに解決策があるのではなく、自分の中にあるということ。そして、自分で解決すると覚悟し、決意すること。」
ただ、2018年の初めの時点では、まだ腑に落ちていなかった。本格的に変わったのは、2018年2月の終わりごろである。手元にあったスピリチュアルの本をいったん手放し、「自分はどう考えるのか、何をしたいのか?」を軸に動くようにした。
いちばん気をつけたのは、使っている言葉だった。「集客が難しい」「新規のお客さんを獲得するのが難しい」「何もかもうまくいかない」と口にすると、そのように物事が動いてしまう。そうした言葉を使ったら、否定するのではなく、リセットするようにした。
そして、人に会った。過去に逆境に立ったとき、いちばん効いたのは、とにかく人と会うことだった。話を聞き、勧められた本を読み、考え方を変える。同じ問題をすでに乗り越えた人を周りに持ち、その人から影響を受けることも助けになった。この年の2月からは、異業種交流会の立ち上げにも関わるようになった。
2018年4月には、さまざまなお客さんが来て、再び活気が戻ってきているという実感があった。
セッションの見方も変わった
この1年で、セッションに向き合う姿勢も変わった。
開業した当初は、トレーニングで学んだ知識を使って、一人一人のセッションをどう成り立たせるかという目で人を見ていた。一人の人間として見る余裕はなかったと思う。知識に頼ると、視線は人ではなく知識に移り、お客さんとの間に、望んでいない上下の関係ができてしまう。
2017年には多くのトレーニングを受けていたが、その目的も、どんな知識を身につけるかから、お客さんの目線でどう役立つかへ変わっていった。知識は、セッションの後に振り返るための道具として使い、自分がぱっと気になったところからセッションを始めることが増えた。そのほうが、セッションの質が高まる実感があった。
一本の電話
流れが戻ってきた2018年4月4日、フジテレビから電話があった。金曜日の特別番組でロルフィングを取り上げたい、という話だった。番組の放送作家が、ロルフィングに興味を持って調べ、たどり着いたのだという。
このとき、個人で好きなことを続けていると、こうした幸運が舞い込んでくるのだと感じた。と同時に、自分で発信することの大切さも知った。
収録は4月11日だった。その日の前後に入っていた予約は、ことごとくキャンセルになった。放映は5月4日、ゴールデンウィーク中の夜の枠である。問い合わせが増えることを見込んで、ゴールデンウィークに予定していたロルフ・ムーブメント(Rolf Movement)のトレーニングは取りやめ、ホームページのサーバーの契約も上のプランに切り替えた。
放映の後
ホームページへのアクセスは、放映の時間から普段の10倍強になり、1週間は高いままだった。放映の最中にも問い合わせがあった。「おかげさまで、今月は過去最高の体験セッションの申し込み数だった。」それでも、対応できる数の問い合わせだった。
Google Analyticsで調べると、アクセスの8割がスマートフォンで、Googleからの検索が50%近くを占めていた。検索された言葉は「渋谷」「ロルフィング」が最も多い。一方、Facebookからは18%で、予想以上に少なかった。違う媒体を使う必要があると考え、TwitterとInstagramを積極的に使うことにした。
2分半に凝縮された説明
収録は15〜20分ほどだったが、放送では2分半に凝縮されていた。短い時間でどう伝えるかを学び、「姿勢をよくする」=「姿勢矯正」という言葉を意識して、セッションを説明するようになった。体験から10回に進む人の割合も、増えていったように感じた。
ホームページの言葉も見直した。開業の当初は、トレーニングで学んだことを正しく書こうとして、学術色が非常に強かった。お客さんから見ると、ロルフィングとは何かが伝わりにくい。
そこで、Structural Integration(構造的身体統合法)という言葉はやめ、ロルフィングを受けて何が得られるかを伝える「楽な姿勢」=「負担のない姿勢」という言葉に変えた。特徴も3つに整理した。
- 終わりがあること(全10回)
- 「楽な姿勢」は自分で見つかる
- 「身体」から「心理的」な変化を促す
その年の10月11日、10回を終えた人が100人目を迎えた。
まとめ
お客さんが一巡したとき、答えを外に探しても見つからなかった。効いたのは、自分で解決すると決めること、使う言葉を変えること、人に会うことだった。流れが戻ったところにテレビ取材が来て、その反響は、説明の言葉とホームページの言葉を変えるきっかけになった。
1年後、この時期をこう振り返っている。「逆に、早めに集客の悩みを抱えるようになったのが幸運だったかもしれない。」
このシリーズの記事
12年の集客と事業の記録は、ロルフィングを仕事にして──集客と事業の記録にまとめている。
- 第1回 宣伝をしていないのに、人が来た
- 第2回 集客が止まった半年、何が効いたのか(この記事)
- 第3回 4回の移転と、最初から考えていたレンタル
- 第4回 コロナ禍の資金と、事業の組み直し
- 第5回 記事を移したら、検索から消えた
