ヨーロッパのトレーニングではPhase IIとPhase IIIとの間(2014年11月27日〜2015年2月2日の間)にメンタリング(Mentoring、Mentorは指導者の意味)と呼ばれるセッションを2回受ける必要がある。2014年11月27日〜2014 年12月2日の英国滞在中に1回目はKeith Grahamに、2回目はAlan Richardsonに受けることにした。今回は、Alan Richardsonのメンタリングセッションについて取り上げる(Keith Grahamとのセッションについては「【RolfingコラムVol.47】Mentoring Session〜英国での体験(1)」参照)。
Alan Richardsonは、90年代に、4年間日本に滞在した経験がある。日本でロルフィングに出会い英国に戻ってきてロルファーとして開業している。Alanによると、現在英国には35人のロルファーがいて年々増加傾向にあるとのこと(参考に日本は100人以上、スイスは50人のロルファーがいる)。1998年、コロラドのボルダーで取得して2003年にはCranio Sacral Therapyのプラクティショナーの資格も取得した。
実際に話を伺っていると、Keithとは違って質問が細かく論理立って話していくところがある一方で、施術を受けると感覚が研ぎ澄まされた印象があった。
今回は学んだ点について触れたい。
ロルフィングには10回セッションがあることは本ブログで触れてきた。1回目は「呼吸を調える」ことであり、呼吸はいわば関係構築を作る過程でもある。導入セッションということで、2回目のセッション以降身体をどのように調えていくのか?について話しながら進むと、次回以降にクライアントが再び施術を受けに来たくなるということを述べていた。ある種のマーケティングだが、理にかなった方法だと思う。
もっとも学んだ点はタッチだ。ボディワークをする際に、相手に対して敬意を払うことが大切。身体は一つの知性をもった存在。Alanがいうには、突然施術にはいるのではなく、相手の身体に触れる前に、自分の身体を整え、相手が迎え入れるのを準備するまで時間をかけることが大切だという。Alanの身体に触れる前に足のつま先に触れるまで手を100センチ話して触れながら、少しずつ距離を狭めて受け入れる雰囲気が整うまで20分近く時間をかけて行った。実際のセッションではこれよりも短くなるが、準備というのはどういうものか?身体を通じて理解できた。
Alanによると身体には各層(Layer)がありロルフィングは少しずつ、Layerの筋膜を緩めながら施術を行っていく。しかし、最初はクライアントは心を受け入れる準備ができていないので、慎重にアプローチが大切となる。身体に触れる前に時間をかけてその準備状況を確認していくとタイミングがわかってくるのが興味深い。そして、タイミングがわかって受け入れ態勢が整った後、今度は実際に施術を実体験していただくために、積極的に身体内へアプローチしていく(Alanはここである程度イニシアティブをとる意味でBossyという言葉(Boss=ボス)をつかった)。
ヨガやタイ古式マッサージについても言えることだが、クライアントの身体内への信頼がなければ相手も緊張し、施術効果も半減する。自分の施術に対して自信を持って進んでいいのだということも学べたと思う。
実は、ロンドンではマッサージのセラピストに出会うことができたが、タッチは、
生卵を割ることなく黄身に向かってタッチしていくように研ぎ澄ませることが大切
と言っていた。
これからも、ロルフィングを受けるに当たって手技も重要だが、タッチに入る前の準備も大事にしていきたい。