2016年8月6日(土)、セッション・ルーム ZERO にて、Total Treatment Center『つじ鍼灸院』の辻敦志院長(京都在住)をお招きし、「ヒモトレの向こう側〜ヒモトレを通じて視えてきたものをヒモなしで実現」を開催した(ヒモトレとは、ヒモのトレーニングの略)。
最近懇意にさせていただいている、米国認定アスレティックトレーナーの一原克裕さんからの縁で実現した企画である。当初は埼玉で開催する予定だった。しかし一原さんから、ロルフィングに非常に近いものであり、
「セッションにプラスになるよ!」
ということを伺い、ぜひ ZERO で開催してほしいということで、幸運にも実現することができた。一原さんには本当に感謝したい。
あいにく午後1時以降の応用編にのみ参加となってしまったが、学ぶことの多いワークショップだった。
まず辻さんから、身体には元々自己治癒力があるが、余計なことをするためになかなか本来の動きに戻らない、という話からスタートした。
ヒモ1本を使うことで、身体の可動域がどのように変化していくのか。足から、腹回り、胸回り、頭回りと色々な箇所で試みたが、ヒモ1本使っただけなのに身体の可動域が広がっていることに驚かされた。
もっと驚くのは、ヒモを緩めて腹に巻いた方が、きつく巻くよりもさらに可動域が広がるという点である。「本来のバランスに戻っただけ」ということなのだが、非常に面白い体験だった。
面白いのは、下半身を緩めることで上半身が緩むということを、ヒモを通じて見ることができた点だ。これはロルフィングに似ている部分もあり、セッションにも応用できる。
ヒモ1本の可能性を感じることができたのだが、考案者はバランストレーナーの小関勲さんである。一原さんの記事によると、偶然から考案されたという。
実際に何度かやっていただいたが、ヒモを身体に結ぶことで緩んでいくことは、何度も目撃することになった。人間の身体の奥深さを感じさせられた。
小関さんが書いた『ヒモ付き 締めるとカラダは動き出す! ヒモトレ』という本に、結び方の詳細が載っているという。この本とヒモトレに必要なヒモを購入したので、機会を見つけて、ロルフィング・セッションでも使っていきたいと思っている。
他にも、広背筋のうつ伏せの姿勢からの伸ばし方、腸脛靭帯の簡単な緩め方等も学び、ロルフィングの手技のレパートリーも増えた。
また鍼治療については、今まであまり見たことがなかったのだが、鍼の治療の奥深さもデモを通じて拝見することができた。ロルフィングとは違った世界が見えてよかった。
今回、遠方からお越しいただいた辻敦志さん、並びに参加者全員に感謝したい。
2026年9月の注記
この回の最後に、機会を見つけてロルフィング・セッションでも使っていきたい、と書いている。
9年経って、たまに使う程度である。主要な手技にはなっていない。
それでも手放してはいない。そして2025年3月、日本ロルフィング協会の総会の後に、考案者である小関勲さんご本人を迎えたワークショップが開かれ、そこに参加している。
同じヒモが、2016年には他流の紹介として入ってきて、9年後にはロルファーの継続教育の場に置かれていた。間に入っていた人が変わり、場所が変わり、そして考案者本人から直接聞くことになった。
継続トレーニングで学んだもののうち、主要な道具になったものと、たまに使うものがある。ヒモトレは後者だった。それは失敗ではないと思っている。
似た形が他にもある。ソマティック・エクスペリエンシングは2021年に初級を12日間受けたが、中級以降には進まなかった。専門的な領域に入っていくことが見えたためである。ところが数年後、通訳として同じ領域に戻ることになった。体系を最後まで積み上げなくても、その人の中に残るものはある。
もう一つ、この回で見ていたものについて書いておきたい。
緩く巻いた方が、きつく巻くよりも可動域が広がる。下半身を緩めることで上半身が緩む。
この2つは、2年後に別の言葉で戻ってきた。Rolf Movement のトレーニングで扱う Pre-movement である。動作を行う前に身体を安定化させるために、どこに力が入っているのか。Aline Newton先生による定義だ。
Part 2 のトレーニング中、クライアント・セッションで肩や胸の力が抜けなかったとき、Rita Geirola先生から、尾骨を含めた骨盤底の力を抜くような意識を持って取り組むと変化する、という指摘を受けた。実際にやってみると、背骨が伸びる感覚が出て、肩に対する働きかけ抜きに肩の可動域が広がった。
下を緩めると上が緩む。ヒモで見たことと、同じである。
ヨガのバンダについても同じことを書いた。締め付けるという理解のまま力を入れると、背骨が下に引っ張られ、胸の幅が狭まり、肩の可動域が狭くなる。締めるほど動かなくなる。ヒモを緩く巻いた方が可動域が広がるという話と、同じ構造をしている。





