2017年6月30日。Peter Schwind先生(以下Peter)によるワークショップの初日を迎えた。Advanced Trainingの準備段階の位置づけで開催される本ワークショップ。Peterがどのような教え方をするのか?自分にとって知る上での絶好の機会。
ミュンヘンにヨーロッパ・ロルフィング協会の本部があり、ミュンヘンのみで80人近くのロルファーがいるといわれている。その中でも、Peterは、Robert Schreib先生と並んで有名。Phase IIのGiovanni Felicioni先生、SupervisionのPierpaola Verpones先生、日本でおなじみのKonrad Oppenheimer先生も実際に、Peterから学び、影響を受けている。
ロルファーとして約37年の経験があり、Feldenkreis methodやBarral Instituteの手法についても詳しい。そのため、ムーブメントの側面も学ぶことがありそうだ。
スイスから3名、イタリアから1名、オーストリアから1名、ドイツから6名、英国から1名、と私の合計13名が参加。相変わらず、様々なバックグラウンドの人たちに囲まれた会となった。
一人一人の自己紹介から始め、何年ロルフィングの経験があり、どういったことに興味があるのかをヒアリング。初日は五十肩(Frozen Shoulder)が最も多く、ついで腸腰筋。そのため、ワークショップはその2つを中心に行われることになった。
本コラムでは、まずどのようなことが語られたのか?について紹介したい。
Peterの教え方の特徴は、Sharon Wheeler先生同様、どのような経験を患者と共にしたのか?を語りながら、教えるということ。
違いは、Sharonは、より人間の心理的な闇の部分に目を向け、安全・安心な環境を整えた上で、
「どのようにしてその人の本来の自分に気づきをもたらすのか?」
「どのようにその人と向き合うのか?」
「Ida Rolfはどのように考えて、実際に施術を行ってきたのか?」
といった観点から語っていく。
対して、Peterはより技術に特化。
「どのようにして症状を治していくのか?」
「そのために、どのような技術を使ったらいいのか?」
「どのような経験を持って問題を解決していったのか?」
という、より臨床的な、問題解決のアプローチを持っており、正確性、細かさを持っている。
私のセッションでの取り組みは、Sharonのアプローチの方が近い。なので、Sharonから学ぶことの方が多いが、やはり、違ったアプローチも学ぶことが大事。特に、ロルフィングの基礎を解剖学や筋膜の科学的な側面から見るということを知りのは本当に役立つので、Peterから学ぶことは多いと思っている。
Peterは、20代の前半にはロルファーとなり、30歳前にはInstructor(先生)として活動開始。様々な先生と出会った。
最も影響を受けたのがJan Sultan先生。
「これをしてはダメ、これはいい、とはっきりとYES/NOをいう先生」
で、自分のセッションを組み立てていく上で、有用。50分から55分でセッションを終えるようにと時間管理の大切も教わったそうだ。
当初、Peterのセッションは、1時間程度。その考えを改めたのが、Ida Rolfの息子さん(ロルファーの一人で)との出会い。息子さんは、短いと15分程度で終えてしまうほど効率の良いセッションを提供していたらしい、その出会いを通じて、あまりにも多くの時間をかけると、かえって脳に大量の情報を教え込んでしまう可能性があるということに気づく。以来、45分程度でセッションを収めるようになっていったことを語っていった。
Peterにとっても、意図を明確にして、組み立てるために、手の触れ方(タッチ)の質をどのようにしてあげていくのか?身体の使い方をどのように施術する側が楽になるのか?という観点で説明していくのでわかりやすい。テーブルベッドは上下にする理由。なぜ、今のテーブルベッドは問題があるのか?等、細かい。
そして、メリハリのあるセッションを心がけることの大切さや、時にはIntenseに時にはソフトタッチの必要性などについても話した。印象的だったのは、Feldenkreisの方法論を語った際の、タッチの質について。Ida Rolfのタッチも相当強いという話だったが、Feldenkreisが身体へアプローチした際に、それに匹敵するタッチの仕方でアプローチしていたというのだ。Intenseもソフトタッチの双方を知ることによって、初めてセッションは多様性を持たせることができるというのは興味深かった。
次回は、ワークショップのより具体的な内容や、Advanced Trainingについて書きたい。