2017年6月30日。Peter Schwind先生(以下Peter)によるワークショップの初日を迎えた。Advanced Trainingの準備段階という位置づけで開催される本ワークショップ。Peterがどのような教え方をするのかを知る、絶好の機会になる。
ミュンヘンにはヨーロッパ・ロルフィング協会の本部があり、ミュンヘンだけで80人近くのロルファーがいるといわれている。その中でもPeterは、Robert Schleip先生と並んで有名である。Phase IIのGiovanni Felicioni先生、SupervisionのPierpaola Volpones先生、日本でおなじみのKonrad Obermeier先生も、実際にPeterから学び、影響を受けている。
Peterは1980年にボルダーのRolf Instituteでロルファーとして認定され、1985年からロルフィングのインストラクターとして基礎クラスを教えている。1991年からはアドバンスト・クラスのアシスタントと共同指導にあたり、1999年にアドバンスト・インストラクターとして認定された。ロルファーとして37年になる。
Feldenkrais Methodにも詳しく、オステオパスのJean-Pierre Barralには30年以上にわたって師事している。Barralのクラスでは数年間テーブル・アシスタントを務め、Barral Instituteで内臓マニピュレーションを教えてきた。そのため、ムーブメントの側面についても学ぶことがありそうだ。
スイスから3名、イタリアから1名、オーストリアから1名、ドイツから6名、英国から1名、そして私を含めて合計13名が参加。相変わらず、さまざまなバックグラウンドの人たちに囲まれた会となった。
本コラムでは、まずどのようなことが語られたのかについて紹介したい。
Peterの教え方の特徴は、Sharon Wheeler先生と同様、どのような経験を患者と共にしたのかを語りながら教えるということである。
違いは、Sharonがより人間の心理的な闇の部分に目を向け、安全で安心な環境を整えた上で、どのようにしてその人が本来の自分に気づくのか、どのようにその人と向き合うのか、Ida Rolfはどのように考えて実際に施術を行ってきたのか、といった観点から語っていくところにある。
対してPeterは、より技術に特化している。どのようにして症状を治していくのか。そのためにどのような技術を使ったらいいのか。どのような経験を持って問題を解決していったのか。より臨床的な、問題解決のアプローチを持っており、正確さと細かさがある。
私のセッションでの取り組みは、Sharonのアプローチのほうが近い。だからSharonから学ぶことのほうが多いのだが、やはり違ったアプローチも学ぶことが大事だと思う。特に、ロルフィングの基礎を解剖学や筋膜の科学的な側面から見ることを知るのは本当に役立つので、Peterから学ぶことは多いと思っている。
Peterは20代の前半にロルファーとなり、30歳前にはInstructorとして活動を開始した。そしてさまざまな先生と出会う。
最も影響を受けたのがJan Sultan先生である。これをしてはダメ、これはいい、とはっきりYESとNOを言う先生で、自分のセッションを組み立てていく上で有用だったという。50分から55分でセッションを終えるようにと、時間管理の大切さも教わったそうだ。
当初、Peterのセッションは1時間程度だった。その考えを改めたのが、Ida Rolfの息子さんとの出会いである。息子さんもロルファーの一人で、短いと15分程度で終えてしまうほど効率の良いセッションを提供していたらしい。その出会いを通じて、あまりにも多くの時間をかけると、かえって脳に大量の情報を教え込んでしまう可能性があることに気づく。以来、45分程度でセッションを収めるようになっていったことを語っていった。
Peterにとっても、意図を明確にして組み立てるために、手の触れ方(タッチ)の質をどのようにして上げていくのか、施術する側が楽になるには身体をどのように使うのか、という観点で説明していくので分かりやすい。テーブルを上下させる理由。今のテーブルのどこに問題があるのか。細かいところまで話が及ぶ。
そして、メリハリのあるセッションを心がけることの大切さや、ときにはIntenseに、ときにはソフトタッチが必要になることについても話した。
印象的だったのは、Feldenkrais Methodの方法論を語った際の、タッチの質についての話である。Ida Rolfのタッチも相当強かったという話だったが、Feldenkraisが身体へアプローチした際にも、それに匹敵するタッチの仕方をしていたというのだ。Intenseとソフトタッチの双方を知ることによって、初めてセッションは多様性を持たせることができる、というのは興味深かった。
次回は、ワークショップのより具体的な内容や、Advanced Trainingについて書きたい。
2026年8月の注記
この3日間で決めたことがある。Peterのアドバンスト・トレーニングを受けるのをやめる、ということだった。
このワークショップは、その準備段階として開催されたものである。受けるつもりで来ていた。それが、初日から3日目までのあいだに、自分の向かう先とは違うという判断に変わった。
理由は、この記事に自分で書いている。Peterは技術に特化している。どのようにして症状を治すのか、そのためにどの技術を使うのか、どのような経験で問題を解決してきたのか。臨床的で、正確で、細かい。テーブルを上下させる理由にまで話が及ぶ。そして、私のセッションでの取り組みはSharonのアプローチのほうが近い、と書いてある。
違うと感じたのは、質の問題ではない。Peterは1980年にIda Rolfの存命中に認定を受け、Jan Sultan、Peter Melchior、Michael Salveson、Emmett Hutchins、Jim Asher、Tom Wing、そしてIdaの息子のRichard Demmerleという第一世代のほぼ全員から学んでいる。オステオパスのJean-Pierre Barralには30年以上師事し、著書も出している。教えられていた内容は、どれも確かなものだった。
理解はできる。ただ、自分が向かいたい方向ではなかった。
11年経って、この判断は良かったと思っている。相性というほかない。
8年後の2025年、実際に受けたアドバンスト・トレーニングは、Ray McCallと田畑浩良さんによるものだった。24日間で最も学んだのは、ボディワーカーとしての在り方だった。Neutral、Kind Indifference、Right Action。効率よくセッションを進める技術ではなく、施術者がどうあるかを扱う課程である。
Peterのトレーニングを受けていたら、まったく違うものを受け取っていたはずである。どちらが優れているという話ではない。ただ、2017年の自分が向いていた方向と、2025年に受け取ったものは、同じ側にあった。
そしてこの記事には、時間についての対照が書かれている。Peterは当初1時間程度でセッションを行っていたが、Richard Demmerleとの出会いを通じて、時間をかけすぎると脳に大量の情報を教え込んでしまうと気づき、45分程度に収めるようになった。Jan Sultanからは50分から55分でと教わっている。
その5か月前、シアトルでSharon WheelerのCranio Workを受けている。デモ・セッションは3時間近く、自分が受けた側のセッションは3時間半だった。同じロルフィングで、これだけの差がある。待つことに時間が要ると考えるか、与えすぎないことに注意が要ると考えるか。
この二つを、半年のあいだに東西で受け取っている。そして、近いと感じたのはSharonの側だった。
認定の後は、誰から学ぶかを自分で選べる。選べるということは、受けないと決められるということでもある。18単位という要件はあっても、どの講師のどの課程で埋めるかは決まっていない。この3日間で得たのは手技よりも、自分がどちらへ向かうのかについての判断だった。
準備のためのワークショップが、受けないという結論を出すために役立ったことになる。





