2018年8月8日(水)、Rain Drop Technique(レイン・ドロップ・テクニック)を受講。「レイン・ドロップ・テクニック(1):ロルフィング・セッション10回の中に取り入れることで」に内容を書いた。
レイン・ドロップ・テクニックは、アロマとロルフィングの手技を組み合わせて、背骨を整えて行く方法の一つだ。
具体的な施術の内容に入る前に、アロマの歴史及びと日本の伝統的なお香についてまとめてみたい。
塩田清二さんの「<香り>はなぜ脳に効くのか:アロマセラピーと先端医療」及びEssential Oils – Desk Reference 7th editionによると、ペルシア人のイブン・シーナ(980年〜1037年、英語名:アヴィセンナ)がバラの花と金属を用いた実験(水蒸気で蒸留する方法)で、偶然バラの精油(Essential Oil)を抽出することに成功する。
原料になる植物を窯に入れ、水蒸気を通して植物からエッセンシャルオイル(精油)を放出。気化したオイルは水蒸気と共に冷却水で冷やすことで、液体となる。そこで、別の容器の中で移すと、比重の軽いオイルと比重の重い液体(ローラルウォーター)に自然と分離する。その、上部のオイルをとり出してろ過することで、精油が得られる。この一連の方法を水蒸気蒸留法という。
バラの精油を外科的手術に塗布したところ、治りが早いことを発見。その後、コリアンダー、ペパーミント、等いくつかの精油を作るようになり、薬効について「医学典範(アル・カーヌーン)」にまとめた。
イスラム圏内で活躍したイブン・シーナが確立した水蒸気蒸留と精油を使った医療が、ヨーロッパのルネサンスの時代に輸入される。
本格的に現代医療に応用されるようになったのが、19世紀後半〜20世紀初頭にかけて。
フランスの化学者、ルネ・モーリス・ガットフォセ博士(1881年〜1950年)はリヨンで香料会社を経営。様々な香水を販売していた。
1910年、実験室で爆発事故が発生。手に火傷を負ったガットフォセは、伝統的にラベンダー精油がよく使われていることを思い出して、ラベンダー精油に手を浸した。すると、傷の治りが早まり、精油の効果を実感。やがて、ラベンダー精油を使った石鹸販売や兵士の衣服、包帯の洗浄への応用へと繋がる。
1937年に成果を「アロマセラピー」にまとめ、アロマセラピーを体系化する。
参考に、アロマ(Aroma)とは芳香、香りの意味で、ギリシア語の香草、香辛料からきている。
バトンは、フランス軍医のジャン・バルネ(1920年〜1995年)へ。第二次世界大戦で抗生物質が不足する事態となった。その際、負傷兵の感染症に対して精油を活用。効果を発揮した。その後、二人のお弟子さんに仕事が受け継がれ、抗ウィルス、抗菌、抗カビ、防腐剤としての効能をまとめていった。
このような歴史的な背景があるため、フランス(及びベルギー)では、アロマセラピーが医療行為として認められている。又、フランスが香料の原料となる植物の一大生産地であることから広まっていった。
2005年に、生産地の一つ、南フランスのグラースを訪れたことがある。香水の30%は、グラースから生産されると聞き驚いたことがある。
一方で、日本も古代・中世から香りの効用についてよく知っていた。
595年、淡路島に漂着した香木(沈香(じんこう))が、聖徳太子に献上された事実があり、仏教伝来とともに、多種類の香木が伝来する。754年には、鑑真(がんじん)和上が32種類の香りを日本に伝えた。室町時代には、香りを鑑賞する「香道」が始まった。日本は高温多湿な機構のため、一般の人が生活する地域では、ひどい臭いの対策として、お香を活用。邪気を払うためにも使われたらしい。
2011年にお香教室Rinka主宰の香司、松下恵子先生の香道のワークショップへ参加したことがある。
そこでは、蜂蜜とお香を使ってオリジナルの香りを調合する経験をした。
仏前で、お香を焚くとリラックス効果がある。というのは、線香の中の芳香成分にはリラクゼーション効果があるからだ。
駆け足で、ヨーロッパのアロマと日本のお香について書いた。
次回は、脳と嗅覚について取り上げたい。