【R#231】身体の「姿勢」〜いい・悪いより、何を知覚するかが大事

はじめに

みなさん、こんにちは!
東京・渋谷(恵比寿)でロルフィング・セッションと栄養・タロットカウンセリングを提供している大塚英文です。

身体の姿勢に「いい」「悪い」はあるのか?

私は、7年前(2015年6月)、ロルフィングのセッションを提供するために渋谷で開業して以来、身体の姿勢について考えてきた。
そもそも、皆さん、身体の「姿勢」といったら何を思い浮かべますか?
正しい姿勢、間違った姿勢、居心地の良い姿勢、悪い姿勢
猫背、骨が曲がっている、重力に影響を受ける、背筋が伸びている等。

それに対して、
「姿勢」には正しい、間違いということを考えること自体、間違っている。
と言われたらどうでしょう。
実は、
我々人間は、生まれ育った環境、接する人間、置かれている立場との関係やつながり
によって身体の「姿勢」が決まる。

現代科学は「姿勢」をどう見る?

一方で、
現代科学は「姿勢」についてどう見ている
のでしょうか?

私は、大学の研究室(生物系と医学系)で研究、博士課程を経て、博士研究員も経験。
製薬業界も含め、医療現場を外から見てきました。

そこで感じたことは・・・

現代科学の長所は、心と物質(身体)を分けて考えて、実体のない心にアプローチするよりも
目に見え、数値化できる物質に絞って、解明していくこと。
数値化できることは得意で、自分の身体(内臓)の状態を体感していなくても、
外部指標(レントゲン、血液検査、CT、MRI)を使って、客観的に見ることができる。
基本、分子(遺伝子)、原子、素粒子へどんどん細分化して見ていけば、人間の理解が深まる
ことが前提。

農業(遺伝子組み換え作物、化学肥料、農薬)医療を含め、様々な技術に繋がっていき、
70億人の人口を養うのに大きな貢献を果たしたと思う。
一方で、短所もある。

専門化が進みすぎてしまったため、
全体的に見ていく必要のある分野(温暖化、グローバル化、コミュニケーション能力、人間の心理、現代病(生活習慣病、がん、アレルギー)等)に対して、
「包括的にどのように見ていったら良いのか?」
について
科学が成果を上げられなくなっている。

身体の姿勢を見るには?〜分析と知覚のバランス

スマホ、火力発電、自動車等の機械は、部分を足したら全体になるが、人間は、部分を足していくと全体になるのではなく、部分自体が全体になる。このことから分析的な目だけではなく、直感を含めた全体的、知覚的な見方が必要だ。
実際、姿勢についても、
「一人一人には、正しい姿勢があり、解剖学や生理学によって細かく見ていけば、自分で答えが見つかるものだ!」
科学的には、このような見方になる。

現実は、
人間の姿勢は、環境(重力、人間関係、社会的地位、住んでいる場所、外傷、受けた教育)等
によって大きく影響を受ける。
このように分析的な見方だけではなく、関係性から見ていくことが必要だ。
面白いのは、
「脳は、環境に応じて、神経回路を書き換えて、姿勢を変化しながら適応しよう」
するらしい。

最近邦訳が出た、デイヴィッド・イーグルマンの「脳の地図を書き換える:神経科学の冒険(Livewired: The Inside Story of the Ever-Changing Brain)」には、人間の遺伝子は、20,000個しかないのに、神経細胞は、860億個から構成していること。生まれたての時は、神経回路が未完成のままスタートし、その後、経験によって神経回路を洗練させていくことを、具体例を挙げながら紹介している。

脳の神経回路は、繰り返し伝わる情報を優先させる

特に面白いのは、自分が五感を使って知覚した情報が、脳に伝わる際に起きること。
繰り返し伝わる情報は、重要だと脳は認識し、神経回路を優先的に強化、使われない回路は逆に退化していく。
これはまるで縄張り争いのように、競合的に働くらしい。そして夢は、視覚を衰えさせないため、他の知覚が競合しないために見るとも。

結局「姿勢」というのは、
自分以外の環境から得られる知覚との関係性によって決まる。
いわば
「答えは、自分の中にあるのではなく、外部との関係性、繋がりの中にある」
といっても良いのだ。

ロルフィングと身体の姿勢

ロルフィングが面白いのは、外部とのつながりを意識しながら、展開することだ。
10回にそれぞれテーマがあるが、最初の3回をみても
1回目・呼吸:空気との関係
2回目・足の土台:地球の大地との関係
3回目・前後のバランス:視覚の前後の関係
をそれぞれ意識することで「知覚」を変えていくことを行うのだ。
ぜひ、ロルフィングについてご興味のある方
ロルフィングZERO」のページ
をチェックくださいね!

この記事を書いた人

Hidefumi Otsuka