【R#274】脳と体の姿勢〜時間をかけて姿勢は整う

はじめに

こんにちは!東京・渋谷でロルフィング・セッションと脳科学から栄養・タロットカウンセリングを提供している大塚英文です。

ロルフィングと整体の違い

私は、2015年6月から、ロルフィングのセッションを提供している。かつて「整体・マッサージとの違い〜症状か構造か?」に、整体との違いについてまとめたが、一言でいうと、筋膜へアプローチするので、セッションの効果が持続。頻繁に整体に通う必要がない身体に変身するのだ。

脳は保守的、現状維持を善とする

もう一つ、ロルフィングでは注目していることがある。実は、こちらの方が人生にインパクトを与える。
身体の「動き」だ。前回のブログでは、脳の神経回路を書き換え、人生や価値観にも影響を及ぼすことについて書いた。

実は、脳の神経回路の書き換えは時間がかかる。というのも、基本、脳は保守的で、現状維持を善とするからだ。要は、肩こり、腰痛は、脳がそのような姿勢をとると、一番、現状維持に必要だと考えて、そのような姿勢になるのだ。

これを迫っていくためには、脳の使い方について知ることが大事だ。

そこで今回は、身体が姿勢を整える際に、3つの脳の使い方があることを考えてみたい。

「うさぎ脳」から「亀の脳」へ

実は、2017年〜2019年まで、Rolf Movementのトレーニングを受けていた時に、私の恩師の一人、Giovanni Felicioni先生に勧められた一冊の本がある。

Guy Claxton: Hare Brain, Tortoise Mind: How Intelligence Increases When You Think Less‘だ。残念トレーニング期間中に手にとった

この本には、人の脳(マインド)3種類があり、それぞれ使い分けていることを取り上げている。

1)瞬時に判断するマインド(unselfconscious, instantaneous reaction)→五感が関わっている

2)論理的に熟考(Deliberationと呼ぶ)するマインド→知性と呼ばれている(この本では、Hare Brain=「ウサギ脳」と表現)
*DeliberateのLiberateの語源は「バランスをとる」。計算しながら論理的に考える意味として訳している。

3)ゆっくりと考えるマインド(Contemplateと呼ぶ)(Tortoise Mind=亀の脳)
*Contemplateは、ラテン語 con-(一緒に)+templum(神殿;占いの儀式を行う場所)→temh-(切る)が語源になっている。「 世俗から切り離された場所で瞑想にふけること」という意味。ゆっくりと考えると訳している。

成果が求められるビジネスマンは、1)と2)、決断が求められる経営者は1)の能力が求められると考えるとわかりやすいかもしれない。実際、ビジネス書では、1)を強調しているのが「アート思考」、2)を強調しているのが「ロジカルシンキング」に該当する。

一方で、3)の「ゆっくりと考えるマインド」=「亀の脳」に注目を浴びることは少ない。複雑化した世の中、正解のない問題、身体の姿勢の問題を含め、ゆっくりとした思考を行うことで、物事が意外な方向に解決することが多いのだ。

実際、科学の発見は「うさぎ脳」よりも「亀の脳」が使われる傾向が強く、インスタントに解決策を求めるのではなく、じっくりと時間をかけて思考して、新しい発見に結びつけるか?がよく理解できるかと思う。

ロルフィングは、「亀の脳」を大事にする

ロルフィングも「亀の脳」の使い方を重視する。

ロルフィングのセッションでは、2週間に1回、時間をかけて、セッションの内容を消化する時間を作る。ほとんどの人は、1)と2)のマインドを使うことが圧倒的に多いので、すぐに解決法を知りたがる。

一方で、姿勢は、その人の長年の習慣、抱えた心理的なトラウマ、受けた教育、人間関係などによって長年積み重ねてきたもの。人間は保守的なので、なかなか変化しようとしないのだ。「亀の脳」は、あまり使わない分、実感がないと思うが、身体の感覚と変化のプロセスに時間をかけることで、少しずつの変化が、最終的に大きな変化をもたらすのだ。

特に身体の「動き」では、微細な動きをゆっくり、丁寧に、言語化しながら取り組むので、「亀の脳」を刺激する。

ぜひ、今までのマッサージ、整体を含め、姿勢を整えようと思っても、なかなかうまくいかない方。「亀の脳」にご興味のある方は、ぜひロルフィングの体験を受けていただくと、実感が湧くように思う。

まとめ

今回は、脳の使い方は、3種類ある、一方で、ゆっくりと考えるマインドの「亀の脳」が軽視されている現状と、ロルフィングで行っているセッションとの関係についてまとめた。

少しでも、この投稿が役立つことを願っています。

この記事を書いた人

Hidefumi Otsuka