【R#344】「エネルギーワーク」と「身体意識」の関係〜AT Phase 1の総括④〜AT-1(17)〜

はじめに

東京・渋谷でロルフィング・セッションと脳科学から栄養・睡眠・マインドの脳活(脳科学活用)講座を提供している大塚英文です。

2025年4月8日〜25日の最初の3週間(各週4日間、火曜日〜金曜日、合計12日間)、東京の市ヶ谷で日本ロルフィング協会主催のアドバンスト(上級)・トレーニング(AT)が終わった(講師は、Ray McCallと田畑 浩良さんの2名)。

ATの総括〜ニュートラルについて7回の連載

ATの前半のトレーニングを振り返ってみて、最も学んだことは、セッションの中で「ニュートラル(Neutral)」になるとは何か?だった。

今回、ATを総括する意味で、7回に分けて、以下のタイトルで「ニュートラル」についてまとめたい。

今回は、ロルフィングにおける「エネルギーワーク」と「身体意識」の関係について、ATで学んだことを含め、深掘りしていきたい。

「エネルギーワーク」とは何か?

ロルフィングを含めたボディワークにおける「エネルギーワーク」とは、単に「氣」や「エネルギー」を扱う特別な手法を意味するわけではない。

ここでの「エネルギーワーク」とは、

  • 身体のより微細な情報にチューニングを合わせること
  • 目に見える構造(筋骨格)を超えた、動的な場(フィールド)を感じ取ること

を指す。

要は、
「筋膜の硬さ」や「身体の構造」だけを見てセッションをするのではなく、身体を取り巻く「フィールド」として感知するということだ。

「エネルギーワーク」が育む「拡張された身体意識」

「エネルギーワーク」を使ったアプローチは、プラクティショナー自身の「身体意識」を大きく広げることにつながっていく。

具体的には、

  • 自分の中心(肚、Hara)から、空間全体へ意識を広げる
  • クライアントとの間にある「場」の質を感じ取る
  • 身体内部だけでなく、身体と空間の関係性を聴き・読み取る

こうした拡張された身体意識こそが、本質的な変容(transformation)を可能にする。

「エネルギーワーク」と「ニュートラル」の深い関係

「エネルギーワーク」に取り組むとき、プラクティショナーには「ニュートラル」であることが求められる。

  • 意図的に「何かを起こそう」としすぎると、場(フィールド)が乱れる
  • 逆に、無関心すぎると、クライアントとの繋がりが失われてしまう

そのバランスが重要で、
「ニュートラル」な意識=手放しながら関わる意識
が必要となる。

「エネルギーワーク」とは、「ニュートラル」な状態に留まりながら、より広いフィールドに「同調(チューニング)」していく練習そのものである。

「エネルギーワーク」での身体意識の育て方

実際にセッションでエネルギーワーク的なアプローチを育むためには、どうしたらいいのか?ATを通じて学んだのは、以下の通りだった。

「肚(Hara)」に意識を置く

Haraは、身体の中心。まずは自分自身の肚に意識を置き、そこから静かに周囲を感じ取る姿勢を持つこと。

背後のスペース(Back Space)を感じる

身体の前方ばかりに意識が向いていると、全体的に見えにくくなる。背後のスペースを感じることで、より深い・立体的な身体意識が育まれる。

フィールドに同調(Tuning)する

クライアントの皮膚や筋膜だけでなく、その「周囲」に存在するフィールドに耳を澄ませる。
ときには、言葉にできないほど微細な「動きたがっている力」や「空間の質」の変化を感じ取れる。

エネルギーワークは「聴く」技術である

エネルギーワークの本質は、「する(do)」というよりも「聴く(listen)」ことにあるのではないかと思う。

  • クライアントの身体が何を語ろうとしているのか、聴くこと
  • どこに開かれたスペースがあり、どこに制限があるのか
  • どんな可能性が、今、芽生えつつあるのか

これらを「ニュートラル」な「プレゼンス」の中で静かに聴き取る。そのとき、プラクティショナー自身の「場」もまた、より深く整えられていくような感じになる。

まとめ

  • エネルギーワークとは、身体と空間全体をフィールドとして感知する実践である
  • それによって、施術者の拡張された身体意識が育まれる
  • エネルギーワークには、ニュートラルなプレゼンスが不可欠
  • 本質は「する」のではなく、「聴く」ことである

「エネルギーワーク」は、クライアントだけでなく、プラクティショナー自身もまた、より自由で開かれた存在へと育んでいくプロセスと言ってもいい。

この記事を書いた人

Hidefumi Otsuka