今は仕事や生まれ故郷から離れ、全く違った環境や違った脳(能力)を使うロルフィングのトレーニングに専念できている。初心者であり、全くなにもないところから新たに建物を作っているというイメージが強い。この気持ちをうまく伝えているのは、禅師の鈴木俊隆の「Zen Mind, Beginner’s Mind」の言葉だと思う。
In the beginner’s mind there are many possibilities, in the expert’s mind there are few.
初心者の心には多くの可能性があるが、専門家の心には可能性がほとんどない。
という。
ロルフィングのトレーニングでも何度かこの言葉が使われるが、ロルフィングの勉強は、相手のスペースの意識を広げるのみならず、自分のスペースを広げる意識も大事になる(ロルフィングのスペースについての考えは「【RolfingコラムVol.16】力を抜くこと(2)」参照)。そのスペースを広げるためにはある程度、心が開いていることが望ましいと思う。
今、ロルフィングの手技を学んでいるが、うまくいかないこと(例、力を入れすぎる、指や手を痛める、力加減がよく分からない等)が多い。それが許される環境で、学ぶというのは、実際に仕事の場合には難しいと思う。試行錯誤を通じてしか上手くなれないというのはわかっていてもだ。そして、ある程度知識や専門的な見方ができると、ある基準を持って判断や分析が働くようになる。
その点について鈴木師は、
As soon as you see something, you already start to intellectualize it. As soon as you intellectualize something, it is no longer what you saw.
何かを見ると、知性が働き始める。知性で考えると、実際見るものと違うものになる。
という。ロルフィングの場合には、目で見るのみならず、身体で感じることが求められる(「【RolfingコラムVol.17】目で見ること、身体で感じること」参照)。おそらく、今この瞬間をキャッチするのは、五感をフル動員して行うことが重要だからなのでしょう。
初心者の気持ちは、仕事から離れて旅を通じて、大事だということに気づいた大切な考え方でもある。この気持ちはこれからも大事にしていきたい。