【R#282】世界に対する見方を変える〜身体から心へのアプローチ

はじめに

東京・渋谷でロルフィング・セッションと脳科学から栄養・睡眠・マインドの脳活(脳科学活用)講座を提供している大塚英文です。

ロルフィングを含め、ボディワークを使って身体を整えていくと、徐々に世界に対する見る目が変化する。

要は、他人軸で物事を見ていたのが、自分軸で物事を見れるようになる。

なぜ、このようなことが起きるのか?今回はこの点についてご紹介できればと思う。

知識で物事を見ること〜初心者と経験者

そもそも、物事を見ること、観察するということ、って我々はどのように学ぶのか?観察力を教える学校があれば、ぜひ私も入学したいと思うのだが、
「あるがままに物事を見る訓練」
って学校で取り上げることはない。

どちらかというと、知識を覚えて、そのレンズで物事を見る教育を受けている人の方が多いのではないかと思う。

鈴木俊隆さんの「禅マインド ビギナーズ・マインド(サンガ新書)」には、以下の文言がある。

In the beginner’s mind there are many possibilities, in the expert’s mind there are few.
初心者の心には多くの可能性があるが、専門家の心には可能性がほとんどない。

As soon as you see something, you already start to intellectualize it. As soon as you intellectualize something, it is no longer what you saw
何かを見ると、知性が働き始める。知性で考えると、見るものと違うものになる。

西洋の考え方vs東洋の考え方〜知識で見るか?直接見るか?

全世界的に言えることだが、小学校と中学校では、科学的なものの見方を学び、そのレンズで世界を見ることを身につける。対照的に、東洋では、瞑想、公案、身体の動き(ヨガ、呼吸法)を使って、直接、正解を見ることを大事にする。

要は、
「東洋は直接モノを見ることを大事にする」
のに対し、
「西洋は知識でモノを見ることを大事にする」
と考えていいかもしれない。

裏を返すと、科学的な知識を使うと、世界を支配できるので、それをコントロールしていこうという生き方に繋がるし、東洋では、逆に、あるがまま、自然と一体になって、共生する生き方につながっていく。

西洋の考え方の東洋化と現象論

実は・・・、20世紀に入り、西洋のモノの見方が東洋のモノの見方に近づいている。
ロルフィングの基礎トレーニングにも登場するのだが、現象学(フッサール、メルロ=ポンティ、ハイデッカー)の創始者たちは、東洋思想に近い「自然的な思考」=「生きている自然」をベースとした哲学を展開するようになるのだ。

彼らの共通点は、
モノを見るときに、
「「知性」で見ること」
ではなく、
「「直接体験したこと」を見ること」
を使って世界観を考えることだった。

「身体図式」とパソコンのOS

人間というものは、主観や客観で分けられない「身体図式」(ボディスキーマ、スキーマとはフレームワークや図式のこと)という世界を見る目を持つため、一人一人、個性を持つことができる。

「身体図式」って言われても、よくわからないよ!となると思うので、少し説明したい。

身体は、「視覚情報」「筋骨格系」「触覚情報」から絶えず情報収集を行なっているが、その情報を「脳」に伝えることで、
「世の中に対する見方」=「パソコンのOS」
の情報が更新される。

「世の中に対する見方」のことを、メルロ・ポンティは「身体図式」(別の言葉で言えば「身体地図」)と表現した。

例えば、「皮膚」「関節」「筋肉」「内臓」からの感覚の流れによって絶えず最新情報を入手。脳に情報を送ることで、パソコンのOSのように、日々、情報が更新されている。その上「身体図式」は、身体からの感覚を無意識(自動的)に処理されているのだ。

興味深いことに「身体図式」は、育った環境(学校教育、職場環境、顧客)、文化(国)、精神的なトラウマ体験による影響を受ける。

身体へのアプローチは「身体図式」を変えること

ロルフィングを使って、身体の「筋膜」にアプローチすることは、「皮膚」「関節」「筋肉」「内臓」からの感覚の流れを変化させる。結果的に、パソコンのOSの働きに変化。身体図式が無意識的に処理される。

今まで、知識で物事を見ていたのが、知識という、外から(教育によって、もしくは世間から)与えられた判断軸=他人軸を手放すことが可能になる。結果的に、自分で物事を判断できる判断軸=自分軸で判断できるようになるのだ。

だからこそ、世の中に対して新しい見方ができ、物事を決断しやすくなる、直感を使えるようになる、身体感覚を養うのにつながっていくと思う。

まとめ

身体にアプローチするということは、自分のパソコンOSのバージョン(身体図式)を更新こと。結果的に、身体感覚を養う、直感が使える、自分軸で物事を判断するにつながっていく。

少しでも、この投稿が役立つことを願っています。

この記事を書いた人

Hidefumi Otsuka