Rolf Movement – Part 2(1)〜自分の身体の状態がセッションに反映される

2018年1月24日(水)。羽田、福岡、羽田、パリ経由でミュンヘン入りし、1時間半遅れでRolf Movement Trainingに参加することができた。

2017年7月7日から、ヨーロッパ・ロルフィング協会(European Rolfing Association、ERA)が主催するRolf Movement Trainingに参加している。Part 1からPart 3までの3つの段階があり、合計で6度ミュンヘンでワークショップに参加することになる(「どのようなカルキュラムで進んでいくのか」参照)。

今回のミュンヘンでは、Part 2の初日を迎えた。

Part 1の先生としても登壇されたRita Geirola先生(以下Rita)が、Instructorとして再登壇。Rolf Movement Instructorであり、フェルデンクライス・プラクティショナーとしても活躍中のイタリア人である。

Assistantとして、スイスのFrance Hatt-Arnold先生、米国のAline Newton先生、イタリアのNicola Carofiglio先生の3人が参加。前回とはまったく異なる構成のメンバーとなった。

何といっても、昨年観光で東京を訪れたAline Newton先生(以下Aline)とERAで再会できたのは驚きだった。AlineはHubert Godard先生に直接教わった経験が何度もあるので、Tonic Functionを含めたGodardの考えを学ぶ上で役立ちそうだ(Tonic Functionについては「疲れる筋肉と、疲れない筋肉〜姿勢を支えるTonic Function」参照)。

ERAのカリキュラムは、さまざまな先生から学ぶ機会が提供される。ロルフィング協会(Rolf Institute of Structural Integration、RISI)の規定では4名のRolf Movement Instructorから学ぶことが決まっているが、すでに7名の異なる先生から学ぶことができているところが素晴らしいと思う。

並行して、ロルフィングの基礎トレーニングのPhase Iも別の部屋で同時開催されていた。Pierpaola Volpones先生がアシスタントとして参加しているので、再会することができた。Phase Iのメンバーの中にも知り合いがいることが判明し、和気藹々とした形でクラスに臨めそうだ。

参加者は合計で15人。ベルギー1名、スウェーデン1名、ドイツ5名、ポーランド1名、ロシア1名、チェコ1名、スイス1名、英国2名、オランダ1名、日本1名からなる、国際性豊かなメンバーになった。

Part 2は合計10日間(2018年1月24日から2月4日、1月27日と31日は休み)。1人のクライアントに対して3回(1月26日、30日、2月3日)、生徒1人に対して3回(1月25日、29日、2月2日)、合計2名にRolf Movementのセッションを行う予定である。Rolf Movementの3回シリーズを組み立てるというスキルを磨く、絶好の機会となる。

午前10時半にERAに入り、休憩を挟んで11時から、ロルファー2人で組んでのセッションを行った。Part 1で学んだ手技を中心に、筋膜へのアプローチを行わず、Active Movement Participation(AMP)やγタッチなど、ムーブメントのみを用いたセッションを40分実施した(AMPについては「身体の気づきを促すために:ゆっくり、丁寧、言語化」参照)。

パートナー選びは興味深い方法で行われた。ロルファー役とクライアント役が二手に分かれ、クライアント役がロルファーを選ぶ。そのことで、異なるロルファー同士の組み合わせによるセッションが行われた。

セッション中、InstructorやAssistantから合図があった。クライアントから離れ、自分の身体を整える時間を一時的に作りなさい、というものである。その場合はセッションから一時離れ、自分の身体の状態を見つめる時間をとった。

普段のセッションでは、そういった時間を取ることなく、手早く済ませることが多かった。そのため、自分の身体の状態を把握することの重要性を感じることができた。

Ritaによると、ロルファーがセッションを行っていく上で重要なのは次のことだという。自分の身体の状態、使い方、習慣や癖は、そのままセッションに現れる。だから、いかにしてそれを自分で把握するか。

具体例として、初日の最後に行った身体観察のワークがある。まず自分の身体の状態を知る。身体軸を整え、自分の中にスペースを作った上で、クライアントからの身体情報を身体を通じて感じながら受信する、というアプローチをとった。

目で見るよりもはるかに多くの情報を入手することができるが、主観に陥りがちでもある。現に、5人一組で1人の身体を4人で観察したところ、それぞれ違った箇所を感じていた。

Ritaによると、それはそれでよい。最終的にクライアントとロルファーのあいだで、コミュニケーションを通じてその齟齬が埋まっていけば、セッションとしてうまくいくと伝えていた。

午後一番に行われたEmbodimentも興味深かった。重力に対して2方向性をゆっくりと実感させるためのワークや、5人1組で4人が1人を囲み、身体を4人に委ねながら重力を感じるワークも行った(Embodimentについては「身体感覚〜Embodimentとは何か」参照)。

残り9日間。帰国後はRolf Movement単独のセッションも取り入れたいので、しっかりと学んでいきたい。

2026年8月の注記

この回にRitaが語ったことが、そのまま9年後の主題になった。

自分の身体の状態、使い方、習慣や癖は、そのままセッションに現れる。だから、いかにしてそれを自分で把握するか。

そして、それを訓練する仕組みがあった。セッションの最中に、Instructorから合図が来る。クライアントから離れ、自分の身体を整える時間を作りなさい、と。

施術を中断させている。

当時の自分は、普段のセッションではそういう時間を取らず、手早く済ませることが多かったと書いている。中断は無駄に見えていたのだと思う。

2025年のアドバンスト・トレーニングで最も学んだのは、ボディワーカーとしての在り方だった。Neutralの3要件、IntentionとIntentionalityの区別、Kind Indifference、Right Action。どれも、施術者が自分をどう扱うかの話である。

そして、その入口にあるのがNeutralだった。自分がNeutralでなければ、相手の身体は自己調整を始めない。

順序が逆になっている。手技を磨いてから在り方へ、ではない。在り方が先にあって、そこから手が出る。

Part 2の初日に、その順序が仕込まれていたことになる。セッションの途中で手を止めさせ、自分に戻らせる。それを何度も繰り返す。

もう一つ、この回に書いてある。身体観察を5人一組で行ったところ、4人がそれぞれ違った箇所を感じた。Ritaはそれでよいと言った。最終的にクライアントとロルファーのあいだでコミュニケーションを通じて齟齬が埋まれば、セッションとしてうまくいく、と。

観察が一致しなくてよい、という立場である。

基礎トレーニングのPhase Iでは、3人の教師が独立して評価用紙を書き、三者三様の言葉で同じ一点を指していた。あれは観察の一致だった。

ここでは逆のことを言っている。同じ身体を見て、4人が違う場所を感じる。それが正常である、と。

矛盾ではないと思う。Phase Iで一致したのは、生徒の状態についての教師の見立てだった。ここで一致しなかったのは、身体から受け取る情報である。

前者は評価であり、後者は知覚である。

知覚は一致しない。同じ部屋にいて、同じ人を見ていても、届くものが違う。だからこそ、誰から学ぶかで受け取るものが変わる。

この課程が7人の教師から学ぶ設計になっているのは、そのためだったのだと思う。

RISIの規定では4名から学ぶことが決まっている、とこの回に書いている。実際には7名になった。数が多いほうがよいという話ではなく、知覚が一致しないものだからこそ、複数から受け取る必要があった。

この記事を書いた人

Hidefumi Otsuka