Phase II(13)〜身体感覚〜Embodimentとは何か?

毎回、ロルフィング・トレーニングの授業開始時にEmbodimentというセッションを行っている。身体感覚を養う上で鍵となる言葉なのだが、EmbodimentをOxford Advanced Learner’s Dictionaryで調べると

a person or thing that represents or is a typical example of an idea or a quality

であり、日本語に訳すと「具現化」。

私自身、最初にこの言葉を知った時、何を意味しているんだろうか?全くピンとこなかった。なぜならば、Embodimentのセッションの体験が「具現化」と結びつかないからだ。

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Embodimentのセッションでは、身体を動かす。各セッションのテーマとなる上半身と下半身の上下、前後、左右やセッション4で扱う中心軸をどう身体内で感じるのか?について動きを通じて学ぶためだ。興味深いのは動きには、動物の動きに模したものも出てくる。授業では進化論を通じて、軸がどのように発達してきたのかについても学ぶためであり、その経験を身体内で覚えさせるのだ。

sun in hands

そこで、Giovanni先生にEmbodimentの言葉の意味を伺った。彼がいうのは、Embodimentとは感覚(sense)もしくは経験(experience)であると捉えるとわかりやすいのではないかと言っていた。

Holding The Sky

確かに、Embodimentの語源(online etymology dictionaryを参照)を調べると、

  • em:in(内)
  • bodi:body(身体)
  • ment:名詞化の語尾

となり「身体内に取り入れる」といった意味になる。

ロルファーになるためには、身体感覚を研ぎ澄ませることが大切となる。その際、身体感覚を自分の中でも体験できていないとクライアントの身体内部で何が起きているのか捉えるのが難しい。これは、ヨガの先生がヨガを教える際に、どれだけ自分が練習したか?その範囲のことでしか教えることができないのと似ているように思う。

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Embodimentとは、いわば身体内に感覚や経験を取り入れるといった作業だと考えればいいと思う。そして経験の数が多ければ大きいほど、body readingにも磨きが入る。

Embodimentは手技の練習(授業では練習のことをPracticumという言葉を使う)とともにロルフィングのトレーニングの柱である。身体感覚をこのような形で養うのは、興味深いと思う。

2026年8月の注記

この記事では、Embodimentを「身体内に感覚や経験を取り入れる作業」と定義している。受け取る側の作業として捉えていた。

3年後、この言葉が別の意味を持つことになる。

2017年7月から2019年12月にかけて、ERA主催のRolf Movement Practitionerの認定トレーニングを受けた。30日間、7名の講師から学ぶ集中コースである(「ヨーロッパのRolf Movement Practitionerまでの歩みについて〜認定までの道のり」参照)。

そこでのEmbodimentは、自分で設計して他者に披露するものだった。Part Iの8〜11日目に10分のプログラムを自分で作成し、8人ずつの2グループに分かれて披露する。Part IIの最終日には、15人の生徒が一人10分ずつ。そしてPart IIIでは、Embodimentのクラスをどう開催するかが主題になり、前半で10分、後半で50分のクラスを組み立てて全員の前で行った。

Part IIIの正式名称は「Introduction to Leading Rolfing Movement Groups」。グループレッスンでRolf Movementをどう使うかを学ぶ段階である。

講師のRita Geirolaがクラスを組み立てる際の観点として挙げたものに、先生の在り方(Presence)、言葉の選び方、グループの変化への対応、そしてクラス全体の流れをどう読むか——個々の生徒の構造から、場全体のエネルギーのレベルまで——がある(「2019年11月27日〜12月1日(後半):何の宿題が出されているか?+教え方をどうするのか?」参照)。

この記事に書いた「経験の数が多ければ大きいほど、body readingにも磨きが入る」という理解は、そこでは一人の身体を超えて、場全体を読むことへ拡張されていた。

Embodimentは、身体内に取り入れる作業から始まり、それを他者に渡す作業へと続いていた。

この記事を書いた人

Hidefumi Otsuka