Phase II(14)〜セッション4〜骨盤底を調える

いよいよセッション4からコアのセッションに入る。セッション4、5、6は、骨盤の上(大腰筋、仙骨や背骨)、下(骨盤底や内転筋)を整えていく(4は内転筋〜骨盤底付近、5は大腰筋、6は、背骨と仙骨)。

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セッション4は、骨盤底(pelvic floor)と内転筋(adductor muscle)を調えることが大きな目標。そのプロセスで身体の真ん中にある中心軸(medial line)が調っていく。

上半身は、頭、首、背骨、仙骨、骨盤まで中心軸が通っている。しかし、下半身になると突然消える。その代わりに身体が考えたのが、内転筋と骨盤底を発達させること。能楽師であり、ロルファーの安田登氏の著書「ゆるめてリセットするロルフィング教室」では、それをバーチャルな中心軸と表現した。

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もちろん、本来骨があるべきところに、筋肉でもっと支えることになることから、内転筋や骨盤底に負担がかかる。そこで、この2つに注目して施術を行っていく。

内転筋は、足を内側に内転(足を閉じる)時に使われる筋肉群。恥骨と坐骨から大腿骨まで伸びている筋肉で5つの筋肉群からなる。歩行や立位に関わり、内転筋が硬くなることで骨盤の前傾やX脚の要因となる。鍛えることで足が細くなり、歩きも美しくみえるようになる。デスクワークが多い世の中ではこの筋肉を使う機会が減ってきている筋肉群である。

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ロルフィングでは内転筋に働きかけるが、足と内転筋がしっかりと内側でつながっているのか?足の動きが回内か回外か?といった観点も取り入れて施術を行う。特に足の距骨、舟状骨と踵骨との筋膜を緩めることで足底アーチへの意識も高まり、回内・回外の動きが滑らかとなり、より足が地面についた状態になる。

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骨盤は、下半身の安定と上半身の動きを作る基礎。上半身の背骨は骨盤から伸び、下半身の軸となる内転筋の大部分は骨盤から出ている。骨盤は身体内の内臓を受けとめる容器の形をしていて、骨盤の底には骨盤底と呼ばれる筋肉群がある。鍛えるとお腹、背中、太ももに力が入り、中心軸が調う。しかも腹圧が上がって下腹部が凹み、背骨が伸びて姿勢が改善されていく。

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骨盤底への施術を行うためには、横隔膜(diaphragm)や胸腔の頂上付近(首回り、pleural dome)の深層への働きかけも必要となるが、これはセッション5へ繋げる意味合いが強い。

セッション4の目的(goal)をより明確にすると、以下のようになる。

  1. 中心軸(medial line)を調える。
  2. 脚のバーチャル中心軸を調える。
  3. 脚のバーチャル中心軸から脊柱への中心軸へつながるように身体を調える(セッション4は骨盤の下を、セッション5は骨盤の上を調える)。

身体の観察(body reading)は、体全体は重力をどのように感じているのか(前か後か?)、上半身は重力をどのように感じているか(前か後か?)、足の動きは回外・回内のバランスが調っているか?脚の動きに左右差があるのか?骨盤は前傾?後傾?等を観察していく。その結果、観察されたこととして

  • 胸が上下(上は首、下は腹直筋)圧迫を受けている状態で背中が丸まっている
  • 胸骨の下に筋肉の緊張を少々感じる
  • 脚の右が左よりも重力を感じる。余計な回転が右側で起きている
  • 胸椎の後彎(Kyphosis)が強い
  • 足が地面と対話し、背骨とつながった感覚がある

セッション4の結果

そこで、身体を肩を下にした状態で脚の足内側アーチ、腿、膝、骨盤底の施術が行われた後、仰向きになり首回りの施術が行われた。

その結果として、歩きに課題があることがわかった。私の歩きの特徴は、大腰筋に力が入る。そこに繋がる腹直筋が上向きに引っ張られ、かつ胸式呼吸よりも腹式呼吸(これはおそらく長年のアシュタンガヨガの練習)優位のため、首・鎖骨からの引っ張りで、胸が圧迫された状態となる。そのため胸椎が長く腰椎が短くなるので背中が丸まった状態になる。

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今後、歩行の際

  • 大腰筋の余計な力を抜くこと
  • 鎖骨から胸付近で呼吸ができること
  • 首付近、特にAO関節(頚椎の1番目と頭蓋骨の関節)で動くこと

が課題となりそうだ。

今回の収穫としては、足がより地について歩けるようになったこと(足の回外の意識が調った)、左側の股関節の可動性が増したこと、肩のバランスが整ったこと、右側の足の回転が軽減された。一方で、首付近の緊張がなかなか取れない。これから先の課題になりそう。

歩く

セッションが進むにつれて、だんだんと課題が明確になる。私の場合には、大腰筋、鎖骨から胸、首付近の動きが課題になりそう。セッション5は、骨盤の上に位置する大腰筋を扱う。いかにここの部分に余計な力が入らなくするかが課題となるので、楽しみだ。

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2026年8月の注記

この記事に、次の観察が書かれている。

「胸式呼吸よりも腹式呼吸(これはおそらく長年のアシュタンガヨガの練習)優位のため、首・鎖骨からの引っ張りで、胸が圧迫された状態となる」

腹式呼吸が優位だという自分の癖を、ヨガの実践と結びつけて捉えていた。ただ、それがなぜ胸の圧迫につながるのかまでは、この時点で説明できていない。

4ヶ月後、Phase IIIのトレーニング期間中に書いた呼吸シリーズで、この観察が枠組みの中に収まることになる。

呼吸には吸気型と呼気型という2つのパターンがある。吸気型はg’が股関節からみて前方に傾き、肩帯を後方にすることでバランスを取る。骨盤は前傾し、背骨は伸展する。呼気型はg’が後方に傾き、肩帯を前方にすることでバランスを取る。骨盤は後傾し、背骨は屈曲する(「吸気型の身体、呼気型の身体──重力から呼吸を見る」参照)。

この記事に記録された観察——胸椎の後彎が強く、背中が丸まり、胸の前側が圧迫されている——は、呼気型の特徴と重なる。呼気型では大胸筋、小胸筋、前鋸筋といった身体の前側の筋肉が緊張する。

そして呼吸シリーズ第1回で書いたように、吸気に関わる筋肉群はTonic muscle、呼気に関わる筋肉群はPhasic muscleにあたる。吸気の筋肉が収縮し、呼気に切り替わるときに弛緩しないと、Phasic muscleが働き出す(「息を吐くのに力はいらない──呼吸と意識・無意識」参照)。

つまり、ヨガで培った腹式呼吸そのものが問題だったのではない。腹式呼吸に偏り、胸郭の動きが使われないまま固定されていたことが、姿勢のパターンとして定着していた。

セッション1のbody readingで「腹呼吸は出来ているが胸式呼吸が出来ていない」と観察されていたのも、同じことを別の角度から見ている(「セッション1:呼吸を調える」参照)。

ヨガの練習が身体に何を残していたのか。それを見る枠組みを手に入れるまで、あと4ヶ月かかったことになる。

この記事を書いた人

Hidefumi Otsuka