【RM#34】ヨーロッパのRolf Movement Practitionerまでの歩みについて〜認定までの道のり

2017年7月から、ERA主催のRolf Movement Practitionerの認定トレーニングを受けた。

全ての日程が2019年12月1日(金)に終わり、ANAの直行便でミュンヘンから羽田空港へ移動。無事、東京に戻った。
全てのトレーニング日程が終わったので、総括したい。

ミュンヘンで開催されたロルファーの認定のための、ヨーロッパロルフィング協会(European Rolfing Association、ERA)主催・基礎トレーニングの模様は、「ヨーロッパのロルファーとしての認定までの歩みについて〜ヨーロッパ・ロルフィング協会・認定トレーニング」に書いた。

Ida Rolfは、ロルフィングのクラスを提供し始めた時に、Rolf Movementのトレーニングを並行して行っていた。その歴史についてRolf Movementの創始者の1人Gael Rosewoodが日本でワークショップを行った際、その歴史について伺ったことがあり「MovementとAwareness」にまとめた。

Rolf Movementは、ワークショップに参加して30単位、積み重ねると認定を受けることができる。その際に4人の違った先生から受けることが推奨されているとのことだ。

一方で、集中してトレーニングを受ける選択肢もある。私は後者を選択。ERAで30日間のトレーニングを受けた。
集中トレーニングはPart I〜IIIの3段階に分かれ、6回に分けて行われる。

カルキュラムは以下の構成からなる(詳細は「どのようなカルキュラムで進んでいくのか?」)。
Part I「Functional Embodiment of 10 Rolfing Sessions(ロルフィングの10回セッションの機能的な側面の習得)」は、2017年7月7日〜9日(3日間)、8月31日〜9月3日(4日間)、10月19日〜22日(4日間)
合計4人担当:Pierpaola Volpones先生(以下Paola)、Rita Geirola先生(以下Rita)、Giovanni Felicioni先生、Herve Baunard先生(以下Herve)(「Rolf Movement Instructorの3人の印象とクラスの雰囲気」参照)

Part II「Strategy and Design of A Rolf Movement 3-Series(Rolf Movementの3回シリーズをどのように設計するのか)」は、2018年1月24日〜2月4日(1月27日、1月31日は休み)(合計10日間)
合計4人担当:France Hatt-Arnold先生(以下France)、Rita、Aline Newton先生、Nicola Carofiglio先生

Part III「Introduction to Leading Rolfing Movement Groups(グループレッスンでどのようにRolf Movementを使うのか)」は、2019年10月10日〜13日、11月27日〜12月1日(合計9日間)
合計3人担当:France、Rita、Herve

結局、7名のRolf MovementのERA教師から教わることになる。

Part I のトレーニングでは、セッション1〜10を1日1回取り上げた。
Paolaは資料を用意。
General Goals(一般的な目的)、Regional Goals(身体の部位の目的)、Structural Goals(身体構造的な目的)、Functional Goals(身体機能的な目的)がプリントで配布され、ロルフィング10回シリーズの各回の要点がまとまって、分かりやすかった。
Rolf Movementの考え方については「基本的な考え方についての紹介」で書いたが、4つの構造的アプローチと、4つのArticulation=空間の考え方、コミュニケーションの取り方を紹介。

Movementの手技、
1)Containing touch(身体の部位を容器としてイメージ、アプローチする)
2)Orienting touch(身体の2方向性(2方向性(Palantonicity)」)を意識した上でアプローチする)
3)Give support(身体をサポートするようにアプローチする)
の3つを実践で学び、イメージや言葉の使い方の大切さを身につけた。

Movementの考えには、Phoric Function(「動きではどこに注目するか?〜Phoric FunctionとFixed Point」)があるので、Fixed Point(固定点)又はReference Point(参照点)とDirection(方向)又Orientation(向き)の二方向性をどう伝えるのか?実践で学ぶ。

例えば、座位の場合、足と坐骨がFixed Pointとなることで、自由に上半身が動く=方向性(Direction)が決まっていくので、ここの心がけが重要になる(身体の2方向性(2方向性(Palantonicity)」)(「動きを通じて何が見えるのか?:言葉と方向性」)。

Part Iの1〜3日目は、セッション1から3までの動きを取り入れた手技の練習。
4日〜7日目は、セッション4(「身体の気づきを促すために:ゆっくり、丁寧、言語化」)、セッション5(「動きではどこに注目するか?〜Phoric FunctionとFixed Point」)、セッション6(「身体の動きとTonic Functionをどう関連づけるか?」)、セッション7の「身体の動き」の側面からみたアプローチの練習を行った(「Rolf Movement Instructorの3人の印象とクラスの雰囲気」「ヨーロッパでトレーニングを受けるということ」)。
8〜11日目は、セッション1〜7までの復習をかねて、10分のプログラムを自分で作成したものを、8人からなる2つのグループに分かれ、各々の取り組んだEmbodimentを行った(「身体感覚〜Embodimentとは何か?」)。
セッション8〜10までの「身体の動き」の側面からみたアプローチの練習(「身体と脳:なぜゆっくりとした動きが大事か?」参照)と、11日目には、3人1組となって50分のロルフィングのセッション。ロルファー(施術提供者)、クライアント、サポーターの3人の役割分担で合計3回練習を行った(「総まとめ」)。

Part IIはクライアントへの施術へ。
最初に、生徒2人が組んでのセッションを行った。Phase 1で学んだ手技を中心に筋膜へのアプローチを行わないで、Active Participation Movement(AMP)やγタッチ等のムーブメントのみを用いたセッションを40分実施(「自分の身体の状態がセッションに反映される」)。
その後、クライアントに対してセッションを提供。どの点注意したらいいのかガイドと共に行われた(「直感と身体観察を通じて見えてくるものは・・・」)。

興味深いのは、3回シリーズを設計する際、今まで学んだようなロルフィング10回の手順で一つ一つ
「このように戦略を立て、手順はこうだ!」
といった細かいことは学ばない。
リスクを冒して、違う方法を取り入れることが求められる(テーブル(ベッド)で行うワークを少なくして、立位でセッションを行う等)。

環境を整備することに力点を置かれ(場をホールドするという意味)、
「こうしなければならない」
といったことが一切なかった(「いい意味での混乱+Tonic Functionについて」「クラスの雰囲気+クライアントとの関係作り」)。
一方で、基礎的なところは随所にシェアされていた(「Territorial BodyとBody of Action」「3つの情報収集系のバランスを整えること」「Pre-movement、ヨガ、アレクサンダーテクニック」)。
Part IIの最終日、Embodimentを一人持ち時間10分で合計15人の生徒が披露。4人が連続してEmbodimentをしてから、15分休憩。という順番で行なった(「グループにEmbodimentを披露」)。
テレビ取材が急遽入り、Part IIとPart IIIの間に1年半空いてしまった(「テレビ取材を受けました〜「金曜プレミアム」への出演:楽な姿勢は自分で見つけることができる」)

Part IIIは、Rolf Movementの考えをグループレッスンで動きのクラスを開催するときにどのように行ったらいいのか?を学ぶ(「2019年10月10日〜13日(前半)、ミュンヘンで開催のワークショップに参加」)。

Embodimentのクラス披露は実践あるのみ、ということで1〜4日目(前半)は、10分のクラスを全員の前で披露。毎日、フィードバックをいただきながらクラスは進行(「Embodimentのプレゼン披露。一人一人の意図と改善点を知る」)。
プレゼン後に必ずディスカッションの時間があり、どのような意図でクラスが行われたのか?生徒と先生からのフィードバックがあり、これが他の人たちのクラスを開催する上で役立ち、参加者のレベルアップにつながった(「クラスはどのように進行しているか?〜1日の流れ」)。

生徒が如何に話しやすいような安全な場を整えるのか?その点の配慮が素晴らしく、私もリスクを冒して新しいことをチャレンジすることができた(「前半(4日間)が終了。どのような気づきがあったのか?」)。
Part IIIの5〜9日目はいよいよ50分のEmbodimentの披露。事前に宿題が用意されているので、課題を提出した(「2019年11月27日〜12月1日(後半):何の宿題が出されているか?+教え方をどうするのか?」)。

後半が始まり、一人一人の上達度合いがよく理解できる5日間(「クラスはどのように進行するか?フィードバック+クラスの雰囲気」)。学ぶことも多く、生徒のクラスや自分のプレゼン(プレゼンの模様については「プレゼンが2日目の最後に。どのように進めていったか?」)、そして他人からのフィードバックは本当に貴重だった。

最終日。無事Rolf Movement Practitionerの認定を受けることができた(「トレーニング修了、亀のマインドとウサギ脳の違い、ゆっくりと学ぶことの意味」)。

30日間の密度の濃いトレーニングも無事終わり、ほっとしている。

今後、ドイツ・ミュンヘンや他の国でRolf Movementトレーニングを受ける方に少しでも参考になればと思っている。

この記事を書いた人

Hidefumi Otsuka