【R#304】重力とは何か?〜姿勢を整えてくれる力を知る

はじめに

東京・渋谷でロルフィング・セッションと脳科学から栄養・睡眠・マインドの脳活(脳科学活用)講座を提供している大塚英文です。

私は、2015年6月から、ロルフィングのセッションを提供している。「筋膜」へアプローチすることにより「重力」が姿勢を整えてくので、効果が持続的に長く維持できると考えている。

地球上のすべての人間が感じる「重力」。あまりにも当たり前すぎて、「重力」について意識することがないかと思うが、物理学では「重力」をどのように捉えているのだろうか?今回は、大栗博司博士の「重力とは何か:アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る」を参考にまとめてみたい。

重力とは何か?〜古代ギリシャ

重力の歴史は、古代ギリシャから始まる。アリストテレスは、物質には「本来の場所の戻る性質」があると考えた。要は、上に投げた石も本来の場所(地面)に戻るという意味で使っており、力が働いているとは考えていなかった。

当時のアリストテレスは、四つの元素(火・風・土・水)で世界を説明しており、このうち土の成分の多い物体ほど地球の中心に戻ろとして早く落ちると想定。一方で、天体(太陽、月、星)は、周期的な動きを繰り返すが「本来の場所」を持っていない。天界は、第五の元素(エーテル)からできていて、地上とは違う法則によって支配されていると考えた。

アイザック・ニュートンの登場〜重力を体系化

中世まで支配していた、アリストテレスの考え方は、アイザック・ニュートンの登場によって変化。

物体の運動を変えるのは「力」であることを定義し「力学」という形で、以下のように体系化する。

1)力が何も働いていなければ、物体の運動が変化しない(慣性の法則)
2)力が働くと、運動の方向や速度が変化する(運動の法則)
3)押す力があると、押し返される力が生まれる(作用・反作用の法則)

このような形で、物体が地面に落ちる現象を「力」の働きで説明することができるようになった。つまり、地球からの引力という「力」(重力)によって石の運動が変化するという訳だ。

 

さて「重力」には5つの特徴があるので、以下説明したい。

特徴①〜重力は、地上と天界共通に働く

ニュートンの凄さは、重力(引力)は「万有」であり、地球上と天界と共通して働くことを解明したことだ。つまり、天界の太陽、月、星もお互いに引力で引っ張り合う、そのことで運動をしていることを明らかにしたのだ。そして、地上と天界には、同じ「力」が働いているということで、理論的に統一させることに成功する。

特徴②〜重力は、電気・磁気の力に比べ弱い

興味深いことに、ニュートンは「力」がなぜ生まれるのか?説明することができなかった点だ。実際、実験によって地上の物質同士に重力が働くことを証明したのは、18世紀の終わりと、100年かかることになる。

なぜ解明に時間がかかったかというと、重力は「弱い」力だからだ。この「弱い」とは電気・磁気の力に比べてだ。実際、テーブルの下に磁石をつけると、重力がかかっても落ちてこないことから、強いことが感覚的にご理解できると思う。

弱い力なのに、なぜ人間は「重力」を意識できるかというと、「重力」は「引力」だけで「斥力」がないかと言われている。一方で、電気、磁気は両方ある。

特徴③〜重力は、遠いところでも働く(遠隔力)

そして、何と「重力」は「離れている物体」を動かす力(遠隔力)を持つのだ。普通、ものを動かそうと思っても、物を手で押すか、歯車を使うなどで、直に触れて力を伝える必要がある。興味深いことに、磁石、重力は、離れたものを動かすことができる。例えば、リモコンとテレビに働くのが遠隔力。

実は、昔の人は「遠隔力」は「神秘的」なものであり、そんなものありえない!と考えていた。駿台予備校講師であり、科学歴史家の山本義隆著の「磁力と重力の発見」によると、磁石の力への理解が深まるにつれて、重力の考え方が徐々に受け入れられたことを歴史的観点から解明しており、世間的にどのように「遠隔力」が受け入れられてきたのか、知る上で好著になっている。

特徴④〜重力は、すべての物質に等しく働く

「重力」の特徴は、重いものと軽いものは同時に地面に落ちる。ということは、すべての物質に等しく働くことだ。普通は、重い物体ほど「地球に引っ張られる力」は強いが、実際、空気抵抗のない場所では、重さに関係なく、物体は同じ速度で落ちるのだ。理由として、「動かしにくさ」=重さ(質量)と「重力の強さ」という2つがピッタリとキャンセルされる為、このようなことが起こる。

特徴⑤〜重力の理論は発展途上

重力の理論は、アインシュタインの一般相対性理論によって発展したと考えられている。物体の質量(重さ)により空間が曲がる。空間が曲がることによって「重力」という引力が働く、更に、空間だけではなく、時間、光も曲がる等。しかしながら、それ以上のことがわかっていなく、しかも、重力を含めた統一理論は未だ確立していない。

ロルフィングは「重力」との関係を重視する

このように、誰もが感じる「重力」。意外と知られていないことが多いことが理解できたかと思う。我々人間は、母親から人間が誕生すると、真っ先に感じるのは「重力」であり、「重力」との関係を構築し、胎児から成人へ発達していくにつれ、姿勢を整えていくのだ。

ロルフィングは、重力を生かすために、身体はどのように姿勢を整えていくのか?筋膜に注目することで、重力を生かすのだ。

まとめ

今回は、科学的に「重力」についてわかっていることを中心にまとめさせていただいた。

少しでもこの投稿が役立つことを願っています。

この記事を書いた人

Hidefumi Otsuka