ミュンヘンでロルフィングのトレーニングを受けてから1週間が過ぎ、2週目に突入した。参加者は、ヨーロッパ各地から集まった様々なバックグラウンド(最年少25歳から最年長52歳、IT企業出身、ヨガの先生、ダンサー、オステオパシー施術者等)から構成されているため、楽しく学ぶことが出来ている。
ロルフィングとは、
「体の一つ一つの部位に働きかけ、慢性的な動きの癖を解放し、 その部位を「動き」を通じて他の体の部位と統合していき、”自分の体に優しい体の動かし方”を学んでいく」
施術のことで、米国人のアイダ・ロルフ(Ida Rolf)博士によって開発された。
アイダ・ロルフは、ニューヨーク出身で、専門は生化学。家族が問題を抱えていたことから、ヨガ、オステオパシー、カイロプラクティック、アレキサンダーテクニック等の手法を取り入れながら、解決を試みていく。30年代から40年代にかけて施術を他の人にも行うようになり、予約も一杯になった。60年代に入り、ゲシュタルト・セラピーの創始者であるフリッツ・パールズにより、カリフォルニアのエサレン研究所に招聘される。そこで、施術者と教師の養成を開始。後に、拠点はコロラド州のボルダーに置かれる。また、エサレン研究所で参加した最初のヨーロッパ人はミュンヘンから来たことから、ヨーロッパでは、ミュンヘンから広がっていった。
ワーク自体は、身体の部位を統合する、という意味のStructural Integrationと呼ばれていたが、やがて創始者の名前にちなんでロルフィング(Rolfing)と呼ばれるようになる。
ロルフィングのトレーニングは、三段階(Phase I、Phase II、Phase III)より構成され、現在3週間からなるPhase Iを受講している。
Phase Iは
第一週目:歩行の動き(Movement)
第二週目:解剖学(Anatomy)
第三週目:ボディタッチの方法(Touch)
より構成され、各週で異なる先生とアシスタントが担当(合計6名の先生)。最終日の最後に各生徒と10分間の面談で評価が行われる。
第一週目は、歩行の動き。動きから学ぶ楽な姿勢とはなにか?眠っている筋肉を起こすと歩行にどう影響するか?五感の意識の変化により呼吸や歩行はどう変化するのか?重力に逆らう歩行と、重力を活かす歩行の動きにどういったものがあるのか(実は、脊柱を活かした歩き方が一番効率がいい)?歩行の見方(Body Reading)等。様々な角度から歩行の動きを理論と実践を織り交ぜながら、分かりやすく教わることが出来た。
印象的だったボディワークとして、五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚)が呼吸・歩行に与える影響のワークをしたとき。実は、嗅覚(息を吸うときに自分が好きなにおい、吐くときにもとに戻る)を意識する時にもっとも深く呼吸が出来、生き生きと歩行が出来た。視覚(息を吸うときに視野を広げる、吐くときにもとに戻る)、聴覚(息を吸うときに遠い音を聞く、吐くときにもとに戻る)、味覚(息を吸うときに好物を意識する、吐くときにもとに戻る)に反応する人もいて一人一人の人間の違いも感じた。
文化の違いとして興味深かったのは、最終日に10分の面談を受けたとき。いろいろと質問をしたこともあり、授業への参加は積極的で好印象だったとのことだが、時々何を考えているのか?分からないという印象もあり、それは文化の違いか?と聞かれたことだった。腑に落ちないときには、ゆっくりと時間をかけて言葉にする傾向があるということを伝えて理解してもらえたと思うのだが、すぐに言葉にするヨーロッパ人の考え方の違い(第一週目の先生は、スペイン人とイタリア人)を知れて興味深かった。
あと二週間。新たなチャレンジでもあるが、新鮮な気持ちでトレーニングに臨めていると思う。これからもじっくりと学んでいきたいと思う。