【R#18】力を抜くこと(2)〜空間を意識することの大切さ

ロルフィングのセッション4以降の説明に移る前に、再び「力を抜くこと(ここでは、余計な力を抜くという意味)」について取り上げたい。私自身、ヨガでは「力を抜くこと」が課題で、様々な西洋のボディワークを探究するきっかけとなった(「【RolfingコラムVol.11】力を抜くこと(1)」参照)。
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本ブログでは、ロルフィングでの「力を抜くこと」について考えてみたい。
ロルフィングのトレーニングを受けていると、Articulationという言葉がよく出てくる。解剖学の用語で関節を意味する言葉だが、関節には別の言葉でJointがある。では、なぜロルフィングではJointではなくArticulationの方を頻繁に使うのだろうか?
Jointは、joinという言葉が表すように二つを一緒にする(繋ぐ)というニュアンスがある。骨と骨を連結する部分を関節とすると一見、間違いではない。
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一方で、articulationという言葉は、「繋ぐ」よりも「空間」や「間」を意味し、文章に「間」をもたす、動詞のarticulate(明確にする)の派生語もある。
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ロルフィングは、身体内にスペース(空間)があることに意識を向ける(英語でevoke)ことで、余計な筋肉の力が抜けていくと考える。
articulation(=身体内のスペースを広げる意識をもつこと)
は、まさにロルフィングの特徴を現していると思う。
例えば、肩こりや腰痛がある場合には、肩や腰に関わる様々な筋肉が緊張していて、共同で筋肉が働けない状態(偏った使い方)になっている、又はある程度動くためのスペースが出来ていないために起きている。ロルフィングでは、筋膜の緊張を解くことによって肩や腰を含め、身体の全体を調える。結果として身体内のスペースが広がるような意識を持てるようになり、筋肉の動きが改善されていく。
スペースとセッション1〜3との関係についても見てみよう。セッション1は上半身のスペースを広げることで「呼吸を調える」。セッション2は、下半身のスペースを、セッション3は、身体の前後のスペースを広げる意識をもたせることで呼吸や歩行の改善が可能となる。
ロルフィングのセッションを提供する施術者も自分自身の身体内のスペースの意識を広げるために、足を地につけて、上半身の余計な力が抜けた状態で施術を行う。もちろん、自分が緊張していると、相手にも緊張感を与え、施術にならないというのもあるが、自分の身体内にスペースの意識を広げることで相手の情報を受信しやすくするというのが大きい。
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最後に、スペースと身体についてヨガの観点からも触れたい。日本で開催された、Leslie Kaminoffのティーチャー・トレーニング(2013年5月)に参加した時、ヨガ哲学についてduhkhaとsuhkhaの二つの言葉を対比しながら説明していた。「kha」は、スペースを意味するのだが、duhkhaとsuhkhaの意味は、
duhkha:スペースが窮屈な状態(suffering bad space):仏教における「苦」はここからきている。
suhkha:スペースが開いた状態(good space(freedom, space))
である。身体は十分なスペースがないと適切な呼吸ができないことを考えると、ロルフィングに考えが似ている。なお、Kaminoff先生は、「ヨガとは、sukhaを広げ、duhkaを狭める(=ヨガは、身体内にスペースを作り呼吸をしやすくする)」と言ってた。
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スペース作りのロルフィングは、ヨガの考え方に繋がるところがあって興味深い。これからどのようにトレーニングが進むのか?ワクワクしながら学んでいこうと思っているが、時々「力を抜くこと」については考えていきたいと思う。

この記事を書いた人

Hidefumi Otsuka