ロルフィングの最初の3つのセッションは、表層(sleeve)の身体部分を調えることを主眼としているが、セッション4〜7は身体のより内面の部分、深層(core)に入っていく。セッション1〜3を通じて身体の表面の部分を開き、上下、左右、前後の身体を整えていく。
表層のセッションが終えると、セッション4〜7の深層(コア)への準備が調ったことになる。セッション4、5、6は、骨盤の上(大腰筋、仙骨や背骨)、下(骨盤底)を整えていく(4は内転筋から骨盤底付近、5は大腰筋、6は、背骨と仙骨)、セッション7は、頭部のバランスを整え、口や鼻の中に触れていく。最終的にセッション7までで全ての身体の場所に触れる。セッション4〜7の特徴は、深層の部分を扱うところにある。深層の部分は、奥にあるので鍛えることが難しい。そのため、深層筋に「意識」を向けることで活性化させる。そのため施術は、表層とは違ったアプローチが求められる。
例えば、身体感覚を研ぎ澄ませて、身体内へどのようにアプローチするのか?身体内の深層のスペースの意識をどのように広げていくのか?等。視覚のみならず身体感覚の能力がより求められるような印象だ。特に身体内の深層のスペースが広がっていくと、ロルフィングを受けている側の人間がより内面に入っていき、身体の整い具合もより改善していく。
アプローチとしては、手を聴診器にたとえるとわかりやすい。手で深層を探っていき、問題の箇所を特定する。問題の箇所が分かれば、手から刺激を与えて深層からの反応を待つ。大切なのは、内側から変化が起きるということ。ロルフィングでは、深層に対して、適切な刺激を与えると、経験的により適した場所に収まると考える。そして、深層のスペースに変化が起きると、無意識が意識化されるので、より効果が実感が体感ができるのだ。
コアを扱うということは、クライアントとの信頼関係ができていることも大切。心にスペースができていないと、コアも開かないというのもあるが、深層の部分はだいたい感情と結びついているからだ。これは、ヨガをやっていると実感できる。例えば、後屈系のポーズを行うと胸が開くようになるが、胸が開くと今まで深くに蓄積された感情が一気に出てきて、ヨガの練習者でなく人も出てくる。人間が感情的な動物であることを感じさせるのはコアのセッションの特徴だと思う。
セッション4〜7を通じて、その人の抱えている問題もより明確になっていく。その問題は、最終的にセッション8〜10の統合セッションで扱うことになる。