【R#63】Phase III(9)〜Case Presentation(1)〜セッション3を終えて

Phase IIIのトレーニングでクライアントと最初の3回のセッション(表層セッション)が終わった。第3週目の初日、Case Pressentationという形で、各生徒が10〜15分。担当したクライアントの2人のうち1人のセッション1の施術開始前とセッション3の施術終了後の写真をクラスに提示しながらクラスの前でプレゼンを行った。そこで話題になった2つのエピソードを紹介しつつ、表層セッション及び施術の進め方について考えてみたい。
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一つ目は、受け持ったクライアントは、交通事故にあった、怪我をした等、過去に経験したことを話す場合には別に問題がないが、話さない場合にはどうするのか?が話題に上がった。ロルフィングの場合には、クライアントが話さない限り、過去の経歴(トレーニングではストーリーという言葉を使った)に触れない方針でセッションを進めていくことが大事になる。我々はカウンセラーではなく、身体と向き合うことによって相手の問題と向き合い、解決に向けて手助けすることが大事になるからだ。また余計な先入観を抱いてしまうと、ロルファーとして大切なニュートラルな状態の維持に影響を及ぼす(この点については【RolfingコラムVol.55】で触れた)。
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二つ目は、生徒の中で3回のセッションを終えた後、クライアントの身体内から反応がなかったというケースの場合はどうか?もちろん施術する側に問題がある可能性もあるが、手順通りに従って行っていけば、多くの場合、今までクライアントが自分の身体への理解度が不十分のため反応できていない可能性の方が多い。
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以前、Hubert Godard氏のTonic Functionを取り上げた(【RolfingコラムVol.42】【RolfingコラムVol.43】参照)。如何にしてγ運動神経系を活性化して、身体内のエネルギーの効率の高いTonic muscle(持続的にはたらく筋肉)を最大限生かしていくか?ロルフィングの10回シリーズはこれらを整えるためにあると言っていい(【RolfingコラムVol.42】参照)。Godard氏は、Tonic muscleは、下記の4つの側面によって影響を受けるという(Phase IIIにおいてJörg先生は4つ構成要素と呼び、StructureをPhysicalと呼んだ)。

  1. Structure又はPhysical(身体の姿勢や構成、重力等)
  2. Coordination(身体がどのようにして動くか)
  3. Perception(世の中をどのようにみるのか?)
  4. Meaning(どのように世の中に対して意味付けを行うのか?)

ロルフィングは上記のうち主にStructureに働きかけるが、Structureを通じて、身体の動かし方のCoordination、世の中に対する見方のPerception、世の中に対してどう意味付けを行うのか?のMeaningの3つの因子に影響を及ぼすといえる。最終的に、クライアントの4つの側面を再教育(又は新たな選択肢を用意するといってもいい)することによって、クライアントは、身体の状態や変化を徐々に理解できるようになってくる。それは、まるで瞑想やヨガのポーズをとっているときに身体の今、ありのままの状態のことを知り、去来する感情は一過性のものであることを知ることに近いことかもしれない。
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そう考えると、大切なのは、第一に、ロルフィングのできることに焦点を絞ること。第二に、クライアントと信頼できる関係を構築すること。第三に、クライアントに対して少しずつ身体と向き合うためのスペースを与えること(この点について【RolfingコラムVol.55】参照)になる。特に、第三のことを行うことにより、クライアントが自分自身と向き合う時間やスペースを与えることにつながっていく。
結局はCase Presentationを通じて学んだことは辛抱強さを身につけるということ。これはこれからも大事にしていきたい。
 

この記事を書いた人

Hidefumi Otsuka