Phase IIIトレーニングも6週間目の半ばとなった。ロルフィングに必要な施術や手順がだんだんと見えてきたのと同時に各生徒と先生がどのように施術を行うのか?どのように身体観察を行うのか?といった個性みたいなものを感じるようになってきた。
Jörg先生は、理学療法士出身のため機械的に単純な目で見るところが学べる。一方で、核心をつくため、各セッションの手順から外れることもある。そういうのを御構いなしに進めていくところが興味深い。長年の経験がものをいっていると思う。
Andrea先生は、もともと職人出身。そのため、各セッションで効果が出ているかどうかを明確にするため、施術前後で身体の動きのチェックを必ず入れる。施術の効果を見るのにAndrea先生のデモは非常に参考になる。
Giovanni先生は、施術の途中途中で間を入れる達人。相手を尊重しつつ、その場その場の状況に応じて自由自在にセッションを組み立てていく。
Phase IIのもう一人のPatricia von Weichs先生は、身体の情報をキャッチするのに時間をかけて身体を調えていく。デモでは分かりにくかったのはその理由。ただ、すべてわかりにくいわけではなく、特に印象的だったのが音の振動を使う調え方。これはEmile ConradのContinum Movementからきているそうだが、クライアントが発する音によって身体の変化(特に背骨を調整する際)が観察できたのは面白かった。
このようにロルファーの先生は十人十色。
なぜ、このような多様性があるのだろうか?以前多様性については本コラムで触れたが(【RolfingコラムVol.73】参照)、フランクフルト在住のロルファー、鎌田孝美さんの最新ブログ「セッションのカスタマイズ」によりわかりやすくそのことについて書いている。
そこには、ロルフィングのセッションについて以下のように述べている。
ロルフィングセッションの面白いところは、セッションをいま目の前にいるあなたにむけてカスタマイズするところ、だと感じています。マニュアルには従わなくていい、今のあなたに起こっているまさにそれだけが教えてくれる、というダイナミックな世界。
Phase IIIのトレーニングで生徒のクライアント・セッションを観察するようになって面白いと思うのは、生徒の中にもセッションに対する個性が徐々に出てきているところ。もちろん、人によっては試行錯誤を通じて個性が前面現れるケースもある。
身体を解剖学に照らし合わせながら考えていく人、身体情報をキャッチするのが上手い人、セッション中にうまく間を取り入れるのが上手い人等。そそして、 バックグラウンドも多様(大学で解剖学を専攻した人、デザイナー出身の人、IT企業出身の人等)、様々な国出身だということもあり、それぞれが自分の適し た手法を模索し始めているように見える。
私が、ERAの教育において素晴らしいと思うのは一人一人の人間を尊重し、強みを伸ばすことを考えていること。考えてみれば、それぞれのやり方に正解があるわけでもないし、それぞれに合った施術方法の確立が大切なのは間違いないわけだから。
どれくらい時間がかかるかわからないが、将来、自分も自分の強み・個性にあったロルフィングスタイルが確立できればと思っている。そのためにもトレーニング期間中は集中して学べることは学びたい。