Neural Fascial Mobilization – Jonathan Martine(2)〜痛みと神経へのアプローチ

2016年9月28日。Jonathan Martine(以下Jon)のワークショップも1日目を終えた(1日目の内容については「神経系とロルフィング」参照)。

神経系に働きかけるワークも、本日は腕神経叢(Brachial Plexus)と腰神経叢(Lumbar Plexus)を中心に、そこから枝分かれする神経系へのアプローチを取った。

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腕神経叢の支配下にある鎖骨下筋、小胸筋、肩甲下筋に神経マニピュレーションの手技を行うとどうなるのか。首の回旋の可動域が広がる。それほど皮膚に触れているわけではないのに、深層につながっているという感覚があり、印象深かった。

腰神経叢からは、上殿皮神経、中殿皮神経、外側大腿皮神経へのアプローチ。これに背骨に沿った神経のワークと、長胸神経および外側肋間神経へのアプローチを組み合わせると、左右の動きの安定性が増して、突っかかる感じがなくなった。

ワークショップが終わった夜、クライアントのロルフィング1回目のセッションの予約が入っていたので、早速手技を試してみる機会があった。頚神経叢(Cervical Plexus)と腕神経叢の場所に注意して、神経へのアプローチから始める。その後に通常の1回目の施術を行ったところ、痛みが軽減したのみならず、それほど力を入れることなく筋膜へのアプローチが可能となった。

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Jonによると、新しい技術を学んだときは、とりあえずやってみたほうがいい。そして、やってみる過程で、以前から身についている技術と融合して新たな武器になる、と述べていた。せっかくの12日間のワークショップ。セッションも何回か入る予定なので、いろいろと試すつもりだ。

初日と2日目にJonが強調していたのは、身体は安全だと感じていないと、頭からの情報を通じて硬直してしまうということだった。特にボディワークの場合、少しでも痛みを感じることがあると、しっかりと施術を行えば行うほど効果が出てこなくなってしまうという。

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大切なのは、クライアントへの施術に集中しすぎるのではなく、一歩引いて変化を観察すること。そして手から情報を聞くこと。

身体が固まって警戒心が強く、身体へのアプローチが難しい人にこそ、皮膚を通じて行う神経へのアプローチは効果的だという。脳は絶えず身体地図を作っている。そこへ、脳以外の身体の側から「安全だ」という形でアプローチを行うことで、徐々に身体地図を書き換えていくことができるようになるということらしい。

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痛みについては、朝の質疑応答の時間で話題になった。たいていのケースで、痛みは組織の損傷の問題というよりも、脳が安全ではないから動くなという形で現れてくるという。

そこで、ここまでは動けるという形で少しずつ確認しながらセッションを行うと、不思議と痛みが取れてきて、動けるようになる。そのことを、Jon先生は具体的な臨床経験を例に説明していった。

神経系へのアプローチも、少しずつ細かくなってきた。ロルフィングの各セッションとどう関連づけるのか、という点にも興味が出てきたので、どこかでそれも整理できればと思っている。

2026年8月の注記

この12日間を教えたのが誰だったのかを、当時の自分は半分しか知らなかった。

主催者の資料には、1997年にアドバンスト・ロルファーとして認定され、1993年からロルフ・インスティテュートのファカルティー・メンバーである、と書かれている。師事した相手として、オステオパスのJean-Pierre BarralとAlain Croibier、David Butler、Michael Shacklock、Diane Jacobsらの名前が並ぶ。神経と内臓の筋膜に関わる仕事を、複数の源からまとめ上げてきた人である。

そこに書かれていなかったことを、9年後に知った。2025年のアドバンスト・トレーニングの最中、講師のRay McCallから、Jonが自分の教え子だと聞いた。

順序が逆だったことになる。2016年に弟子から受け取り、2025年に師から受け取っている。しかも前回の注記に書いたとおり、この受講はロンドンでのメンタリングの一言から決まったもので、米国の系譜に入るという意識は当時なかった。この年の11月にSharon Wheelerが来日し、翌年1月にはシアトルへ行く。米国のロルフィングに触れた最初が、ここだった。

Jonの位置は、一つの系譜に収まらない。教え方は解剖学に精緻で、用語をよく知っている。その点では、ミュンヘンで解剖学を教わったKonrad Obermeierの系統に近い。同時にRay McCallの教え子であり、アドバンスト・トレーニングの系譜に属する。さらに、オステオパシーの内臓マニピュレーションと、Diane Jacobsのような皮膚と神経を扱う手法が入っている。

この記事で印象に残ったこととして書いた、皮膚の最も外の層に触れるだけで深部に届くという話は、後者の側から来ている。そして、施術している相手に集中しすぎず一歩引いて変化を観察するという助言は、9年後にRayから受け取ったKind Indifferenceと同じ場所を指している。別々の源が、一人の教師の手で同時に渡されていた。

もう一つ、この日にJonが言ったのは、新しい技術は、とりあえずやってみたほうがいい、ということだった。やってみる過程で、以前から身についている技術と融合して新たな武器になる。ミュンヘンで受け取った教え方とは向きが違う。Phase IIのGiovanniは質問に答えず質問で返し、生徒が混乱するのを見透かしたうえで待っていた。答えを渡さない教え方と、すぐ試せという教え方が、同じ体系の中にある。

そして実際に、その夜の初回セッションで試している。学んだその日のうちに自分のクライアントで確かめられるというのは、基礎トレーニングにはなかった条件だった。認定の後に学ぶということは、学ぶ場と使う場が地続きになるということでもある。

この記事を書いた人

Hidefumi Otsuka