【R#150】Jonathan Martine WS(3)〜「教える」と「気づき」

2016年9月29日(木)。Jonathan Martine(以下Jon)のワークショップも3日目になった。2014年8月〜2015年3月のミュンヘンで集中的に学んだ時以来。長期にわたるワークショップでロルフィング・セッションをある程度経験した上での学びは、本当に実りのあるものとなっている。
Business people planing
3日目は、神経へのアプローチの際、大切となる主要な靭帯に手を触れて、その場所と実際に施術した時にインパクトを見ることができた。前腕、上腕、仙骨、臀部付近が中心だった。
今回のワークショップのいいところは、ビデオを一人が全てを収録してくれることもあり、よりクラスに集中できることだ。
business teamwork - business men making a puzzle
知識を身につけるというのは、自分の行なっている施術を言語化する上で重要だが、深く知れば知るほど、更に、知らなければならないという意識が働き、焦ってしまう自分もいる。
Jonのワークショップで、何度か
「身体の声を聞くことが大事だよ」
ということを例をあげながら説明している。
果たして自分はこういった意識でセッションに向き合っているだろうか?ワークショップの内容はテクニックも教えていただけるが、
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Phase IIIでJörg先生が話した(「Training Phase III〜今後について」参照)

The body knows better than anything…
身体は他の何よりも理解している

be open, be interested, be curious, avoid dogmatic concepts, have fun, enjoy work!
オープンになること、興味を持つこと、好奇心を持つこと、ある特定の考え方に縛られないこと、楽しむこと、そして仕事を心底エンジョイすること。

という言葉を思い出させられる。
個人で仕事を始めてから、1年3ヶ月。
「自分の武器は何か?」
「どういった長所があるのか?」
キャリアについての相談に際には、こういった質問をされることがある。
確かに、転職活動をして、人事の面接官と対峙する時には、過去の経験、どういった武器を身についていたのか?
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考える必要はあるが、個人で活動していく場合には、知識を知っていれば知っているほど、相手に教えるといったエゴや、上から目線になってしまう危険性があり、リスクになると思う。
特に個人セッションとなると、
必要に迫られない限りは
「教える」
弊害は大きく、
「相手から答えを出るのを待つ、違った視点を提供して、ヒントを与える。そして、温かく見守る」
方が、自分で判断できるようになれる。
ロルフィングの10回で、最終的に自立するのだから、
「教えることは何もない」
というまっさらの状態(瞑想状態又はクライアントと向き合った状態)で接することが大事だということもである。
これは、ミュンヘンのPhase IIで学んだGiovanni Felicioniの影響が大きい。Giovanniは、質問してもあえて答えを出さず、質問を質問で返すような指導をしていた。結果、生徒は大混乱するのだが、それを見透かした上で、答えるのを待つ。悩んだら、手を差し出すが、それでもあえて答えは出さない。そこが徹底していた。
それは、いわば相手のセルフイメージを上げながら、相手の判断軸で考えさせるようなもの。
厳しくいうことで、相手のセルフ・イメージを下げることで、自分の判断軸を押し付けることが多い世の中では、こういった教え方はすごく新鮮に感じた。
最近、スティーブン・デスーサとダイアン・レナーの「「無知」の技法(Not Knowing – The art of turning uncertainty into opportunity)」という本に出会った。
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マインドフルネスを調べている時に出会った一冊で、この本の面白いところは、知識を深めることによってどういった弊害が出てくるのか?無知でいることの難しさ、初心者にいることの難しさ、など、今までの様々な学問の世界からの視点を提供しており、面白い。
ロルフィング・セッション、タロット・セッション、セミナーを提供していても、対人との関係において大切となるのは、
この人に話したい!
と思わせるかどうかがだ。全く知らない状態で聞くのと、知った状態で聞くのとでは、知らない状態のが明らかに心が開きやすいし、人の話を聞きやすいのだ。
ロルフィングについての知識が増せば増すほど、知識の弊害のリスクが高まってくる。これからもそう言った点は気をつけながら、セッションに臨みたいと思う。

この記事を書いた人

Hidefumi Otsuka