Neural Fascial Mobilization – Jonathan Martine(4)〜コーチングと全方位的傾聴

2016年9月27日から始まったJonathan Martine(以下Jon)のワークショップも、4日目が終わった。この後、土日を挟んで、月曜日から再開される予定だ。

本ワークショップについては、本コラムにて3回にわたって書いた。

Jonのワークショップは12日間にわたるのだが、本来は4日間のコースが基本だということで、4日間のコースを3回にわたって受講できるという素晴らしい機会になっている。

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本来ならばドイツで受講しようと思っていたものを、日本で学ぶことができた。しかもワークショップは午後6時までに終わるので、その後にお越しいただくお客さんからもフィードバックをいただける、貴重な機会になっている。手技というものは復習をすることで学びが深まるということも、改めて確認できた。

今回気がついたこととして、セッション数を重ねることによって、解剖学的な部位が少しずつ頭に入ってきたことがある。そのことでワークショップへの理解が深まり、学んだことを練習するときに目的をはっきりさせて、必要なところのみ先生に質問するという形が取れるようになった。自分にとっては大きな進歩なので、時々こういったワークショップにはぜひとも参加していきたいと思う。

さらに学んでいることといえば、セッションへの取り組み方である。

今回一番学んでいるのは、セッション中に一つの局所へ集中しすぎると変化が遅く、集中しつつ周りが見えるような状態で施術を行うと、相手に変化が出るためのスペースが生まれるということだ。そのことで、施術する相手に劇的な変化が出るのを、たびたび見ることができた。

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コ・アクティブ・コーチングを提供するThe Coaches Training Institute(CTI)の応用コースを2009年に修了している。コーチングの基本を学ぶことができたが、その基礎編で、話の聴き方には3つのレベルがあると教わる。

レベル1は、内的傾聴。相手の話を聞こうとしているのに、実際は自分の考えや感情、身体の状態に意識が取られてしまい、相手の話に100パーセント集中できない状態を指す。むしろ、相手のほうが内的傾聴の状態にならなければならない。相手の意識が内側に向き、どういった変化があるかを知っていただくためだ。

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レベル2は、集中的傾聴。相手の話を聞く状態になっている。すべての神経が、目の前にいる相手に注がれている状態である。ロルフィング・セッションを行う際にはこういった状態になることが往々にしてあるが、次のレベル3まで行くと、直感が働きやすくなると感じている。

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レベル3は、全方位的傾聴。相手の話を聞く際に、相手の発する言葉や目に見える仕草のみならず、目に見えない相手の感情やエネルギー・レベルにもしっかりと注目すること。周りに起きていることにアンテナを立てるような状態である。この状態になれば直感も働きやすくなり、ロルフィング・セッションやタロット・セッションの最中にレベル3になると、相手の身体の声や内面の声を聞けるような状態になりやすい。

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Jonがおそらく伝えたいと考えているのは、このレベル3だ。実際に身体に手を当てつつ、一歩下がってみましょう、手の裏を感じましょう、腕を感じましょう、背骨の裏を感じましょう、部屋全体を含めましょう、と、本人がセッションしているときにどこを意識しているのかをワークショップ中に説明していただいた。実感として、これらの意識を持つと、セッションがはるかに効率よく進んでいく。

そのように考えてみれば、人の話を聴くのと、ロルフィング・セッションで身体の声を聴くのとに共通点があることに気づく。

この後の8日間で、よりこの点を深めていきましょうとJonは言っているので、解剖学とともに、セッションへの臨み方をもう少し学べればと考えている。

2026年8月の注記

この回で使われている枠組みは、ロルフィングのものではない。2009年にコ・アクティブ・コーチングの応用コースで学んだ、話の聴き方の3つのレベルである。内的傾聴、集中的傾聴、全方位的傾聴。それを7年後、神経系のワークショップの場に持ち込んで、Jonが伝えようとしているのはレベル3だ、と判定している。

前職の時代に、別の目的で身につけたものだった。転職やキャリアを考える文脈で学んだ枠組みが、身体に触れる場の説明に使われている。しかも、教わった側ではなく、教わっている内容を整理する側で使われている。Jonは傾聴という語を使っていない。手の裏を感じましょう、腕を感じましょう、背骨の裏を感じましょう、部屋全体を含めましょう、と言っただけである。それをレベル3と呼び直したのは、こちらの側だった。

その後の順序が入り組んでいる。コーチングを先に学び、それをロルフィングの理解に使い、さらに後になって、コーチングそのものを提供する側に回った。11年経ったいま、コーチングは施術と並ぶ仕事の一つになっている。

この記事の最後に、人の話を聴くのと、セッションで身体の声を聴くのとに共通点がある、と書いている。当時は気づきとして書かれているが、いまはその二つを、別の看板を掲げた二つの仕事として並行して提供している。共通点があると気づいた地点から、両方を職業にする地点まで、11年かかったことになる。

もう一つ、この回には施術者の意識の置き場所についての記述がある。一つの局所に集中しすぎると変化が遅く、集中しつつ周りが見える状態で施術を行うと、相手に変化が出るためのスペースが生まれる。

同じことを、後に別の言い方で何度か受け取ることになる。翌年3月にGael Rosewoodから聞くSpaceがそうであり、2025年にRay McCallから受け取ったKind Indifferenceもそうである。相手に集中しきらないことが、相手のためになる。集中の不足ではなく、集中の質の問題として扱われている。

2016年のこの時点では、それをコーチングの語彙で理解していた。理解できる語彙を、すでに持っていたということでもある。

この記事を書いた人

Hidefumi Otsuka