【R#269】塩の活用法〜日常生活で塩分をどう補給するか?〜

はじめに

こんにちは!東京・渋谷でロルフィング・セッションと脳科学から栄養・タロットカウンセリングを提供している大塚英文です。

水は筋肉の7割を占める〜身体内に水を保持するには「塩」が大切

私は、2015年6月から渋谷にて、ロルフィング・セッションを提供している。手技を使ったロルフィングが、マッサージと整体と違って効果が持続する理由は「整体・マッサージとの違い〜症状か構造か?」に書いた。以前、筋肉の中を占める7割近くの水について触れた。なぜならば、姿勢を整えていく上で、身体の7割を占める水は重要なのだ。

ただし、水を取り入れるためには、もう一つ必要なことがある。「塩」を意識することだ。

なぜ「塩」か?
第一に、人間の血液は一定の「塩」濃度に保たれており、低くても高くても問題になる。
第二に、「塩」には保水の働きがあり、「塩」が多いと保水機能が高く、低いと水を失うから。
このため、いくら水を取っても、十分な「塩」がないと、水が排泄される可能性が高まってしまう。

ここで「塩」とは塩化ナトリウムを指すことが多いが、ここで「塩」とは、塩化ナトリウム以外、マグネシウム、カリウムを含めたミネラル分を含めて「塩」として話したい。

血液の「塩」濃度をモニターする脳〜どれほど「塩」を摂るのがいいのか?

まず、血液の「塩」濃度は、過去のブログに書いたが、OVLTと呼ばれる脳の部位によってモニターされている。血中の水分量の低下(血圧低下)、もしくは塩分量が少ない場合に、身体の水分補給を促す。逆に、血圧上昇、塩分量上昇の場合は、腎臓から塩分の排泄を行う。

では、塩分をどれだけ取ればいいのか?
もし、ご興味がありましたら、Huberman Labの下記の動画をチェックいただきたいと思う。

Hubermanが、James DiNicolantonio博士にお話を聞いたところによると、8-12gの塩/日(3.2 – 4.8 gの塩化ナトリウム、4gのカリウム)が求められ、アメリカで推奨されている量の1.5倍から2.0倍に及ぶとのことだ。これは小さじ1杯半から2杯の量だ。

塩分補給①〜ストレス軽減にいい

興味深いことに、塩分はストレスとのつながりがある。塩分(特に、ナトリウム)が不足すると、ストレスホルモンの一つコルチゾールが分泌され、身体に保管していた塩分が血中に出る。そのため、ストレスを感じた場合には、(ナトリウムを含む)塩分を取り入れると、ストレス効果が軽減する可能性が高まるので、ぜひ試していただきたい。

塩分補給②〜マグネシウムの摂取

「塩」を考える際、塩化ナトリウム以外に、マグネシウムの存在を忘れるわけにはいかない。マグネシウムは、600種類の酵素の反応に関わっており、筋肉の弛緩、心筋の形成、鎮静効果(神経の興奮を抑える)、そして下剤としても働く。マグネシウム不足は全身に影響を及ぼし、疲労感として現れる(ビタミンD、Kと一緒に働く)。

更に、マグネシウム不足は、脳(偏頭痛、脳梗塞、うつ、パニック障害、不安、神経質)、骨・筋(腰痛、肩こり、筋痙攣、インスリン抵抗性、糖尿病、骨粗鬆症、PMS、喘息)、心血管(高血圧、心筋梗塞、不整脈、心不全)等が知られており、マグネシウムは重要だが、全世界を見てもマグネシウム不足は指摘されている。

マグネシウムを多く含むのは海水塩や岩塩。海水塩としてマグネシウム含有量が多いのは、ぬちまーすや、雪塩等が挙げられる(ぜひ、岩塩については、色々と調べていただきたい)。

個人的には、にがり(天海のにがり)を食事に取り入れることや、入浴の際にエプソムソルトを入れる(皮膚によりマグネシウムが吸収される)ことでマグネシウムを補うこともある。

サプリメントとして、マグネシウムに興味を持つ場合には、鎮静剤として、クエン酸マグネシウム(Magnesium Citrate)、睡眠効果を示すトレイン酸マグネシウム(Magnesium Threonate)、筋肉痛を軽減するりんご酸マグネシウム(Magnesium Malate)等。使い分けるといいと思う。ぜひ、試していただきたい。

塩分補給③〜カリウム、ナトリウム、カフェイン摂取

「塩」の中で、ナトリウムとカリウムは、身体内で共同で働き、脳神経系から情報を伝えるときに、特に重要な役割を果たす。推奨される量は、どのような食事を摂るかによって決まる。面白いのは、炭水化物は、「塩」と同じく、身体の水を保つ機能を持つこと。糖質制限によって、炭水化物が不足すると、腎臓から水と共に塩(ナトリウムやカリウム)が排泄されやすいのだ。

更に、お茶やコーヒー、チョコなど、カフェインを含む嗜好品は、利尿作用がある。このため、カフェインを摂取した場合、1.5倍の水と少々の「塩」を取り入れるという意識が必要だ。

塩分補給④〜砂糖の摂取を抑えるためにも!

身体内の塩分と砂糖の調整は違うメカニズムが働くことが知られている。砂糖は、摂取すれば摂取するほど、もっと求め、多く取り入れようとする(ポジティブフィードバックが働く)。一方で、塩は、多く摂れば摂るほど、身体には摂取を減らせという指令があり、しっかりと調整できる(ネガティブフィードバックが働く)。

しかし、塩分と砂糖が混じっている加工食品(例えば煎餅等)だと、塩を摂る量の制限が砂糖が混じることで脳が塩の量を知覚できなくなり、無制限に加工食品を取ってしまう現象が起きる。現に、問題になっているのは加工食品と「塩」。だからこそ、減塩が問題になる。逆に、上記の仕組みを理解し、砂糖や加工食品を減らすことができれば、増塩する方が、砂糖の過剰摂取を抑えられるのだ。

まとめ

今回は、塩について日常生活で取り入れることのできる習慣を中心に取り上げた。少しでもこの投稿が役立つことを願っています。

この記事を書いた人

Hidefumi Otsuka