【R#286】身体は答えを知っている〜姿勢を司る「筋膜」

はじめに

東京・渋谷でロルフィング・セッションと脳科学から栄養・睡眠・マインドの脳活(脳科学活用)講座を提供している大塚英文です。

私は、2015年6月から、ロルフィングのセッションを提供している。ロルフィングとは、筋膜へアプローチすることで、身体を整える方法と答えるようにしているが、残念ながら、「筋膜」によってなぜ身体が整うのか?がわかっていないと、このことを理解できない。

そこで、この意味を理解するために、今回は「筋膜」と身体の姿勢について語ってみたい。

身体の姿勢はどのように身につく〜社会や教育

人間は、生まれながらにして、その人独自の「身体(肉体)」と「姿勢(身体の動き)」をもつ。その人なりのユニークさ、個性を反映しているのが「姿勢」。例えば、その人の、顔、歩き方、頭の傾き方、姿勢を見ると、あああ、あの人の独特な動きだ!とすぐに認識するのは「姿勢」に「個性」があるからだ。

一方で、我々は社会的によって大きな影響を受けている。親、保育園、学校、職場から様々なことを学ぶ。礼儀作法(身体をどう動かすのか?)、どのように生きるべきか(人生の目的)、だけではなく、遭遇する事故(交通事故、骨折)、いじめ(精神的なトラウマ)によって、「姿勢」=「身体の動かし方」の「個性」に磨きがかかっていく。

私自身も、アメリカと日本と文化の異なる2つの場所に住んだ経験があり、アメリカでは失礼ではなかった「姿勢」が、日本に帰ってきてから、失礼だ、と言われ、姿勢を直すのに時間がかかった経験がある。

このような経験が、その人なりの独特な「姿勢」を作り上げていく。身体や心の奥底に記憶として残り、やがて動きも習慣化していくと考えると、身体と心は表裏一体と見てもいい。

身体の姿勢を形にするのが「筋膜」

「姿勢」を司るのに重要な役割を果たすのが「筋膜」だ。筋膜は、筋肉、内臓、骨、神経を含めた身体の各部位を配置し、身体のエネルギーを効率よく使えるようにする役割を果たす。ロルフィングの創始者のIda Rolfは、筋膜を、わざわざ、身体の構造を維持するための臓器(Organ of Structure)と名前をつけているのだ。

興味深いことに、身体は一生を通じて、外部の環境にうまく適応するために、柔軟に「筋膜」の構造を変えている。残念なことに、過去のトラウマの経験により「筋膜」が動きにくい身体へ変化。姿勢維持に莫大なエネルギーを使うことで、生きるためのエネルギーが枯渇してしまう。

そこで登場するのがロルフィングだ。

「筋膜」へアプローチする〜身体は答えを知っている

ロルフィングは手技を使って「筋膜」へアプローチ。「筋膜」へのアプローチするとは、「筋膜」が動きやすい場所に行けるよう適度な圧を加えることだ。ここでのポイントは、身体が動きやすい場所のことがわかっており、ロルフィングの施術者は、身体が反応することを待つこと。

要は、身体は答えをすでに知っているのであり、驚くべきことに、身体が反応すると、感覚的には筋膜の周辺が「温かく」なることで、答え合わせをすることもできる。

ロルフィング自体、心理療法ではないが、慢性的な痛みが、心理的なストレスに結びついている場合、「筋膜」へのアプローチすることで、一気に感情が放出されることもある。クライアントさんによっては、変化を恐れ、昔から自分をサポートしてくれた「筋膜」の緊張を手放したくないケースもある。

古い習慣から新しい習慣

ロルフィングの10回を通じて、クライアントさんは、身体の声を徐々に聞くようになり、「筋膜」の緊張を解くようになってくる。古い習慣を手放し、新しい習慣を取り入れる瞬間でもあり、新しい変化を取り入れる準備ができたと言ってもいい。

最終的に、ロルフィングは、「筋膜」を整えることで「重力」とのバランスをとり戻すことができる。あくまでも、これは、一生をかけて変化しつつけるプロセス。

Ida Rolfは、

When the body gets working appropriately, the force of gravity can flow through. Then, spontaneously, the body heals itself.

(意訳:身体が適切に働き出すと、重力は流れ出す。やがて、自然と身体は自己治癒に向かう)

と、重力との関係を表現しているが、ロルフィングの10回セッションを終えた後も、身体は変化し続ける(「重力」との関係については「身体が整うと、重力により自ずと身体は自己治癒へ向かう」をチェックください!)。

まとめ

今回は、ロルフィングの中でも「筋膜」について、姿勢と「筋膜」との密接な関係についてまとめた。

少しでも、この投稿が役立つことを願っています。

この記事を書いた人

Hidefumi Otsuka