Gael Rosewood WS(3)〜身体の意識について言葉を見つけることの大切さを学ぶ

2017年3月27日(月)。Gael Rosewood(以下Gael)のワークショップも無事終了した。

Rolf Movementのことをここまで集中的に学ぶのは初だったので、創成期から関わっているGaelから学ぶことができて、本質的なことを伝える大切さを身をもって感じている。

過去2回本ワークショップの模様について書いた。

今回初めてわかったことだが、Ida Rolfは、セッション中に頻繁に身体の動きを取り入れ、身体の動きを通じて、どのように身体が変化していったのか?セッション前後、頻繁にクライアントに実感させる工夫をしていたという。

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2日目は、セッション2の足を通じて土台を築く、3日目は、肩甲骨帯と骨盤帯との関係を、それぞれRolf Movementを使って、どのようにアプローチしていくのか?学ぶことができた。

Rolf Movementで動きを意識する際に、言葉のガイドが重要になる。

Gaelは、

  • Push(押す)
  • Reach(伸ばす)
  • Meet(出会う)

という3つの言葉を使って説明。

それぞれの言葉を使うことで、身体の部分がどのように反応するのか?言葉によって身体の力の入れ方が変わること、そして身体の言語というのは、人それぞれによって反応の違いがあることに気づいた。

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私の場合には、「地球と繋がりを感じる」「地面から頭頂まで力を感じる」という言葉を使うことで、身体の意識が深まっていった。他にも、Gaelは、横隔膜を地面まで押し出すという言葉をデモ中に紹介した。

Gaelは、ロルフィングのセッションを通じて、身体への意識を言葉にできない人に対しては、新たな身体についての言語を習得できるように、こちらから手助けし、導くということも重要な役割になるということも述べていた。

結果、ロルファーは言葉や手を使って、クライアントの身体の意識を深めるためのガイドとしてRolf Movementが役立つことはよくわかった。

しかも、工夫によって、普段行なっている筋膜へのアプローチに対して相乗効果をもたらすのが、興味深い。

今回、パートナーで組んだ肩甲骨帯と骨盤帯へのアプローチは、歩行の観察からスタート。身体のどこの部分を見たらいいのか?3人の参加者と比較することで、身体の観察の仕方が簡単に説明された。その後、テーブルワークに入り、肩甲骨帯と骨盤帯を整える際に、どこが緊張しやすいのか、Gaelは簡単な言葉で説明していった。

ほとんど筋膜へのアプローチを取らず、制限のかかった動きに対して新しい選択肢をどのようにクライアントに提供するのか?という視点でワークを進めた結果、最終的に、上肢と下肢の連動が改善されていった。

私の場合にはヨガのポーズをとっていると、左右差がはっきりと現れて、特に右側の股関節の硬さが、ポーズを取るときに影響が出る。今回のワークを通じてヨガの練習がどのように変化していくのか?本当に楽しみだ。

最終日は、TonicとPhasic Muscleについてのワークを行ったが、その模様については、本コラムの最終回として書きたい。

2026年8月の注記

この記事には、一行だけ性質の違う記述が混ざっている。

ほとんど筋膜へのアプローチを取らず、制限のかかった動きに対して新しい選択肢を提供するという視点でワークを進めた結果、上肢と下肢の連動が改善された。

手を使わずに構造が変わった、という報告である。ロルフィングの訓練を三年かけて受け、手技を学んで認定を得た人間が、手技をほとんど使わない方法で同じ結果に到達している。2017年3月のこの記事は、そのことを驚きとしてではなく、興味深い出来事として書き流している。

Phase IIIの二年前の回に、手技を超えて、という題をつけた記事がある。2015年2月、講師のJörgから言われたのは、body readingで情報が多くなって混乱したときは、深呼吸をして自分を落ち着かせ、身体を地につけ、頭で考えるのではなく自分の身体内で感じたことを大事にする、ということだった。テクニック面よりも精神面を学んでいる、とそこには書いてある。

同じ問いに対して、二つの答えが出ている。手技を超える方向として、Jörgが示したのは内側だった。施術者が自分の状態をどう保つか。Gaelが示したのは外側である。クライアントにどんな言葉を渡すか。

Gaelが使った三語はPush、Reach、Meetだった。同じ動作に別の語を当てると、身体の力の入り方が変わる。しかも反応の仕方は人によって違う。自分の場合には、地球と繋がりを感じる、地面から頭頂まで力を感じる、という言い方で意識が深まった。身体には言語があり、それは共通ではない、ということになる。

そしてGaelは、身体への意識を言葉にできない人に対して、新しい身体の言語を習得できるよう手助けすることも、ロルファーの重要な役割だと述べた。

11年後の視点で読むと、この一節はロルフィングの技法の説明を超えている。言葉を使って相手の身体の状態を変える技術のことを言っている。それは、いま自分がコーチングと呼んでいる仕事の中核と、ほとんど同じ場所を指している。2017年3月の時点では、ロルフィングのセッション内の技術として受け取っていた。

ただし、この11年で反転したことがある。

Gaelが教えたのは、適切な言葉を渡す技術だった。いま実際に最も使っているのは、言葉を置かない技術のほうである。コーチングの場で自分が最初の道具としているのは沈黙で、相手が自分の言葉を見つけるまで待つ。渡すのではなく、出てくるのを待つ。

とはいえ、これは反対のことをしているのではない。Gaelが強調していたのは、何が正しいかや是正することではなく、新しい選択肢を用意することだった。言葉を渡すのも、渡さずに置くのも、相手の側に選択肢を残すための操作である。どちらを使うかは、その人がすでに自分の言語を持っているかどうかで決まる。

最後に、この記事の冒頭に書いた、今回初めてわかったこと、について。

Ida Rolfはセッション中に頻繁に身体の動きを取り入れ、その動きを通じて身体がどう変化したかを、セッションの前後でクライアントに実感させる工夫をしていた。

2016年から2017年にかけて聞いたSharon Wheelerの話では、Idaには身体の見方を教える方法がなかった。水に放り込んで泳ぐか溺れるかに任せる、というのがIdaのやり方だったと伝えられている。

この二つは矛盾しない。区別できるのは、教える方法と、伝える方法である。Idaは、ロルファーを育てる方法は持たなかった。しかしクライアントに変化を実感させる方法は持っていた。前者の空白がその後の数十年の体系化につながったことは別の回の注記に書いたが、後者は空白ではなかった。この記事は、そのことを記録している。

この記事を書いた人

Hidefumi Otsuka