Phase IIIのトレーニングも5週目が終わった。セッション7まで終えたことになるので、合計で少なくとも各生徒、先生、自分自身のクライアント・セッションを合わせて42のセッションを体感したことになる。
クライアント・セッションを見ていると、自分の身体に対する意識を持っている人とそうでない人がいる。ヨガ・ピラティスの経験の有無によってこの意識に影響を及ぼす傾向があるが、必ずしもそうとは限らない。
ロルフィングは施術する前にもっていた古いパターン(old pattern)と新しいパターン(new pattern)という言葉を使うことは以前触れた(【RolfingコラムVol.34】参照)。その際大切なのは、施術した結果が「正しい」、施術前が「間違い」ということではなく、クライアントに対して選択肢を与えているということである。
「身体に対する意識をもつこと」についても同じことが言える。今回はこの意識をPerception(知覚すること)との関係を通じて考えてみたい。Perceptionを取り上げる理由は、単純でクライアント・セッションでJörg先生からフィードバックを頂く際にもっとも聞かれる言葉だからだ。
PerceptionをOxford Advanced Learner’s Dictionaryで調べると、下記のような意味が出てくる。
- the way you notice things especially with the senses.(感覚(五感)を通じて知覚する方法)
- the ability to understand the true nature of something.(本質を理解する能力)
- an idea, a belief or an image you have as a result of how you see or understand something.(人間が「見ること」や「理解すること」を通じて形成するアイデア、信念やイメージ)
Perceptionとは「知覚すること」であり、個人個人が身につけた信念やイメージと結びついているといえる。Perceptionとロルフィングとの関係を見る前に、ロルフィングの各セッションの目的を見てみよう。
セッション7までの目的を列挙すると、呼吸を整える(セッション1)、足を調える(セッション2)、体側面を調える(セッション3)、骨盤底を調える(セッション4)、大腰筋を調える(セッション5)、仙骨を調える(セッション6)、頭・顔を調える(セッション7)のような順番になっている。
筋膜を通じて余計な力を解放させることによって、それぞれの目的とする身体の部位を調える形をとる。その際、身体の部位をクライアント自身がどのように意識するか?その意識の仕方やどのように知覚するのか?こそが、その人のPerceptionとなる。
そう考えるとPerceptionは、
「自分の五感をつかって外の世界を理解し、知覚すること」
であると表現できるし、クライアントがもつ身体の使い方の習慣であるといえる。そしてロルフィングを通じて、新たなPerception(新しい選択肢)を知り、それを身につけていく。
Phase IIIで、Jörg先生は、クライアントがもつPerceptionに新たな選択肢を増やすためには、自分の身体から学ぶ・教育を受ける(educate)必要があるという。そして、そのなかで「動きを通じてクライアント自身が身体の使い方を学ぶこと」は一つの効果的な方法といえる。そのため、ロルフィングでは手による施術のみならず、身体の使い方を覚えていただくために動き(movement)のエクササイズを行う。
例えば、呼吸の仕方、骨盤の動かし方、仙骨の動かし方、背骨の動かし方、坐骨の使い方等いろいろとある。
Phase IIでは10回のセッションを覚えるのに精一杯だったが、Phase IIIでは、いかに動きをセッションの中に取り入れ、クライアントに対して動きを通じて身体の使い方を学ぶのか?一つの大きな課題として生徒は課されている。
トレーニングも残り3週間とわずかになってきた。引き続き、手による施術のみならず、動きを通じたエクササイズを通じて自分のクライアント・セッションでの選択肢の幅を広げていきたいと思う。