2015年3月23日、クライアント・セッションも最終セッション(セッション10)を迎えた。そのセッションを迎えるにあたって、各生徒が担当するクライアントの進捗状況、どのようにして最終セッションを行うのかについての情報シェアが行われた後、実際のセッションに臨んだ。

セッション8と9は、基本的に上半身(肩帯)と下半身(骨盤帯)をつなげるための2回のセッションである(「セッション8:肩帯・骨盤帯」参照)。身体観察(Body reading)を行った上で、上半身から始めるのか、下半身から始めるのかを判断していく。
各生徒のセッション8と9を見ていると、クライアントに応じて違いが明確に出てくる。今までのセッションを統合していく上で、一人一人の身体は違う上、課題もそれぞれ独自のものになってくるからだ。
主にクライアントがどのような状態にあるのかについて話し合いが行われた。例えば、どのように感じるのかという質問をしても全く答えない人、もっと施術をしてほしいという人、もしくは、やるべきことはすべて終えたのでこれ以上の必要性がないという人など、十人十色である。
Andrea先生は経験をシェアしてくれた。ある著名なロルファーが、あるクライアントに対して10回のうち7回が行われた段階で、必要なことはすべて終えたので、これ以上来なくてもいいと言ったらしい。そのクライアントは満足せず、Andrea先生のところに来たんだそうだ。もちろん、Andrea先生は時間をかけて10回セッションを行ったらしい。
一番興味深い質問は、10回を終えた後すぐにもう一度戻ってきたいという、より依存的なクライアントに対してどのように応えるかだった。
Jörg先生は、3か月から6か月まで様子を見ましょうと答えるのがいいと述べていた。身体でどのような変化が起きるかを時間をかけて見ることも、ロルフィングの一つのプロセスである。それによって、どの場所に問題があるのかがクライアントの中でより正確にわかり、その感覚を頼りに再びセッションを受ける方がいいからだ。
私のクライアントの一人は、すでに施術が不要なくらい調っている状態だったので、今まで行ってきたことの再確認(reconfirmation)を行った。具体的には、クライアントが率先して今まで学んだことをエクササイズとして復習した。そのことで自立を促す(英語で言うところのOwnership)。
もう一人のクライアントは、身体を動かすことよりも、モダリティを変えること、そして身体の今まで意識していない足に重心をおいて対処していった。足を通じて地面を感じないクライアントだったためだ。
このようにして、2人のクライアントのそれぞれの10回セッション(正確には、9回と10回の合計19回)を無事終えることができた。セッションが完全に終わった後、ミュンヘン近郊のレストランで打ち上げが行われた。
明日(2015年3月25日)は、Final InterviewとCertificationとなり、めでたく認定ロルファーになる。終わってしまうと、あっという間だった。そのことを含め次回に書きたい。
2026年8月の注記
この日の話し合いは、ほとんどが終わり方についてだった。もっと受けたいと言う人、もう十分だと言う人、何を聞いても答えない人。Andrea 先生が話したのは、7回の段階で必要なことは終えたと言われ、納得できずに別のロルファーを訪ねた人の話だった。
そして Jörg 先生の答えは、10回を終えてすぐ戻りたいと言う人には、3か月から6か月ほど様子を見るよう伝えるのがいい、というものだった。理由も添えられている。時間をかけて見ることで、どこに問題があるのかがクライアントの側でより正確にわかるから、と。
十年後、上級のトレーニングで Ray McCall が同じことを言っていた。セッションが終わった後は、あえて説明をせず、話も最小限にして帰す。余韻を味わってもらうために。そして次に会ったときに話す。
長さがまったく違う。片方は半年、もう片方はセッション直後の数分である。それでも、していることは一つだと思う。相手の中で何かが形になるまで、こちらから言葉を入れない。理由も同じで、本人の感覚のほうが正確だからというものだ。
同じ操作は、もっと短い側にもある。セッション中に、どの部分を施術しないかを決めること。Less is More として教わったことは、施術の技法ではなく、時間の空け方の最も短い形だったことになる。分単位から半年まで、長さの違う三つが並ぶ。
そして、この三つは別々のところから来ている。Jörg 先生は欧州の系譜にいて、Ray McCall はそれとは別の流れに属する。理論の体系は共有されていない。それでも、待つことについては同じ形に行き着き、説明の中身まで揃っている。系譜のあいだで何かが渡ったのではなく、それぞれの場所で同じところに着いたのだと思う。
この記事にはもう一つ、書いていないことがある。2人のクライアントを担当して、実施したのは合わせて19回だった。設計は1人10回ずつの20回である。片方が9回で終わっている。本文はそのクライアントについて、すでに施術が不要なくらい調っている状態だったので再確認を行い、自立を促した、と書いている。
Andrea 先生の話と、鏡像になっている。7回で終わりと告げられて納得しなかった人がいる一方で、こちらでは終える方向の判断が受け入れられた。同じ判断が、相手によって別の結果になる。10回という枠が絶対ではないという認識は、認定を受ける前の最後のセッションで、既に手元にあったことになる。
終わり方をどう決めるかというこの問いは、後に CLOSURE という名前を持つ。二年後の Rolf Movement の課程で、三回のセッションを設計するにあたって立てられる三つの問いのうち、最後の一つがそれだった。



