【R#335】AT(8)〜ニュートラルに身を委ね、変化を待つこと〜YIELDワークと心構え

はじめに

東京・渋谷でロルフィング・セッションと脳科学から栄養・睡眠・マインドの脳活(脳科学活用)講座を提供している大塚英文です。

先週(2025年4月8日〜)から、東京の市ヶ谷で日本ロルフィング協会主催のアドバンスト(上級)・トレーニング(AT)に参加している(講師は、Ray McCallと田畑 浩良さんの2名)。3週間にわたって、火曜日〜金曜日に行う。

第2週目(4月15日〜18日)は、月曜日、金曜日に外部クライアント(5回セッションの2回目、3回目)、木曜日に、生徒同士(3回セッションの2回目)のセッションを行った。そして水曜日は手技の練習に当たった。そして、昨日(4月18日)に無事、8日目を修了した。

外部クライアントの方は、Ray McCallから学んだ手技を中心に練習。一方で、生徒同士の練習の方は、田畑さんのYIELDワーク(YIELDING)の基本的な考え方を学んだ。

第2週目のトピックスは、ロルファーのJeff Maitlandの考え方と田畑さんのYIELDワークだった。前回、Jeff Maitlandの哲学について取り上げた。

今回は、「変化を委ねる」をキーワードに、田畑さんのYIELDワークと間、セッション間の変化をどう尊重し、プラクティショナーがどのような心構えで臨むのか?を中心にまとめた。

YIELDワークとは何か?

田畑さんは、2009年に日本で唯一のRolf Movementを教える立場、Rolf Movement Instructorの認定を受けている。

認定を受けるプロセスで、Rebecca Carl-MillsとCarol Agneessensの2名のInstructorから影響を受け、田畑さん独自のの「YIELDING(以下、イールド)」というボディワークの探求が始まった。

米国に生活していた際に、よく「YIELD」のサインを見かける。英語では、YIELDとは「とまれ」というサインでもあるが、田畑さんは「ゆだねる」という意味で使っている。

ベースは、

「Yield underlies all other developmental movements and our basic relationship to the world(Suzan Aposlyan)(イールド(委ねること)とは、すべての身体の発達的な動きの基盤であり、私たちと世界との基本的な関係に根ざしている)」

という考え方に基づいているという。

プラクティショナーがニュートラルを意識(前回取り上げたHARA(肚))し、身体・マインドの中心(Body Mind Centering)になることで、YIELDの場が整う。プラクティショナーとクライアントの間に適切な間(Ma)を取り、委ねることで適切な身体の変化が起きてくる。

分子細胞学では、接着細胞を培養する際に、接着面という土台(Anchor、アンカリングと呼ぶ)があることで、細胞内に変化が起き、細胞の生存や増殖が行われる。

田畑さんはこれを例えに、マッサージテーブルにクライアントが仰向けになる際、接地面に身を委ねることで、徐々に身体の変化が起き、適切な変化が起き、背骨を含め整えていくとのことだ。

ロルフィングの5原則にも当てはまるような変化が起きることを症例で示していたが、これは実感してみないとわからない印象を受けた。

セッション間の変化をどう尊重するか?

田畑さんのレクチャーの中で興味深かったのは、
「Emmett once said that sign of a good session is when the client changes more between sessions then during the session(エメットは、以前、いいセッションは、クライアントの身体の変化が、セッション中というよりも、セッション間で変化するかだ)」
と、Rayがコメントしていたことだった。

2名の講師共、セッションとセッションの間に、変化のスペースを用意することを強調していた。

実際、セッションが終わった後、あえて「クライアントには自己調整力」があるとクライアントに説明することがないそうだ。

Rayは、
「Leave their experience/felt sense on their own(クライアントの経験を彼ら自身に消化させる時間をする)」
と表現。

そのことで、
「Body wants the change to happen(身体がどのような変化を起こしたいのか?を起こさせる)」
と、プラクティショナーが変化を教えるのではなく、クライアントご自身で体験を味わう時間を設ける。

次回のセッションの際に、ご自身の言葉で体験を表現することで、それまで「待つこと」の大切さを感じた。

まとめ

今回は、「変化を委ねる」をキーワードに、田畑さんのYIELDワークと間、セッション間の変化をどう尊重し、プラクティショナーがどのような心構えで臨むのか?を中心にまとめた。

少しでもこの投稿が役立つことを願っています。

この記事を書いた人

Hidefumi Otsuka