セッション4、5、6は、骨盤の上(大腰筋、仙骨や背骨)、下 (骨盤底や内転筋)を通じて(4は内転筋〜骨盤底付近、5は大腰筋や横隔膜、6は、背骨と仙骨)、中央軸を調えていく。
セッション6は、セッション4、5に引きづつき、中央軸を意識して調えていく。セッション6では、身体の後側の施術を行い、下半身を中心に行う。
セッション6での鍵となる場所は、身体の後側の中央に位置する仙骨。仙骨は骨盤の一部であるが、背骨の終わりに位置する場所でもある。背骨につながっているため、仙骨が歪むと他の背骨にも歪みを生じる可能性がある。また仙骨は靭帯を通じて下肢にもつながっている。
骨盤は、寛骨(腸骨、恥骨、坐骨)からなっている。仙骨は腸骨とちょうど仙腸関節でつながっている。
仙骨の場合には、腸骨に対してどの方向に向いているのか?に注目する。
座る場合には、腸骨の幅が狭まり、坐骨の幅が広がり、仙骨が腸骨に対して前傾(nutation、ギリシア語のnodding(お辞儀)の意味)する。
一方で、立位の場合には、腸骨の幅が広がり、坐骨の幅が狭まり、仙骨が腸骨に対して後傾(counter-nutation、counterは反対)する。
仙骨が後傾しすぎると問題が発生する。仙骨と靭帯が緊張しているか(仙骨と腸骨の間に様々な靭帯(下記の写真の白色)、仙骨の位置を維持している梨状筋が緩んでいる可能性があるからだ。
また、仙骨が後傾することで、真向かいにある腹直筋や腹斜筋にも影響を及ぼす。
このため、梨状筋、ハムストリングス、大臀筋を通じて骨盤に結合している余計な緊張を解いた後、仙骨の靭帯近辺の緊張を解いていく。
セッション6の目的(goal)をより明確にすると、以下のようになる。
- 足から骨盤・脊柱までの中心軸を調える。
- 上半身の中心軸を調える(後面):仙骨周辺の靭帯、腹筋、梨状筋等。
身体の観察(body reading)を行った結果は以下の通りだが、課題はセッション4、5から持ち越しであることが理解できると思う。
- 胸が上下(上は首、下は腹直筋)圧迫を受けている(セッション4と5と同じ)
- 胴体と足の左右差がある(セッション4と5と同じ)
- 中央軸を意識すると、上半身と下半身がバラバラになっている(特に肋骨と腹付近が意識が希薄、セッション5と同じ)
- 腹筋に力が入っているため、胸への圧迫を強くする(セッション5と同じ)
大切なのは、胸への圧迫。それは大腰筋の力がなかなか抜けないため、腹付近の緊張も出てきている。セッション4では、大腰筋への施術を通じて、主に腹直筋の緊張、そしてそこにつながる大腰筋のアプローチを行ったので、セッション6では仙骨の周辺をどれだけ緊張を解いていくか?それが全身にどういった影響を及ぼすのか?について関心を持って臨んだ。
今回の施術はうつ伏せになり、仙骨の周辺に入っていくために、足付近(踵からハムストリングスまで)や背中の表面上に現れる緊張を解いていった。その後、骨盤の仙骨付近の靭帯や筋肉(梨状筋、仙骨結節靭帯、前仙腸靭帯や上双子筋、下双子筋)への緊張を解いていき、うつ伏せのまま大腰筋、胸骨近辺の筋膜の緊張を解いていった。興味深いのは、左側の方が右側よりも力の抜け具合に時間がかかるということだった。
最後に、椅子に座ったワークを行った。仙骨の先端に意識を向けて、いかに仙骨の機動性を増すかの再教育のワークである。驚くべきことに、仙骨の機動性を増すことで、大腰筋の力が抜け、ぶら下がっている感覚が出てきた。坐骨がより地について(座っている時)、坐骨が広がった感覚も味わうことができた。仙骨が自由になり nutationの実感も多少ではあるが感じた。それほど努力しなくても胸で呼吸ができるようになってきた。腹と背中に力が入らなくても起き上がれるようになってきた。
胸式呼吸が仙骨の自由度に応じて深まるというのは興味深かった。ロルフィングのセッションを受けていて面白いと思ったのは、身体の変化に脳が追いついていけない点。例えば、歩きの課題については自分ではわかっているのだが、なかなか習慣づかない。おそらく、脳が身体の新しい動きを消化するのに時間がかかるからだと思う。ロルフィングのセッションをするときには、脳にも十分にスペースを与えて消化する時間を与えることが重要なんだと思う。
裏を返して言えば、
思考が身体への変化に大きく影響を及ぼす
と考えていいと思う。
次はセッション7。頭と身体全体をどう繋げていくかが課題であり、中央軸の最後のセッションとなる。