ロルフィングのトレーニング中に絵画の写真がよく出てくる。身体と絵画史について、本ブログで過去に一度触れたことがあるが(「絵画史と身体(1)〜西洋絵画史からみる身体の見方」参照)、今回は第二弾として再度取りあげたいと思う。
セッション7では、顔・頭を扱う。顔は外の世界を認識するために重要な感覚器官。これをどう身体の内部(本ブログでは身体感覚と呼んでいる)とつながっているのか?学ぶセッションでもあり、ロルフィングの面白さを知る上で重要なセッションでもある。
主要なテーマである頭・顔に入る前に、アートにおける頭・顔の表現について、触れたい(この内容もGiovanni先生からのもの)。
ルネサンスの時代のジョットやラファエロは、身体を立体的に捉える見方をアートに反映させるようになったが(「絵画史と身体(1)〜西洋絵画史からみる身体の見方」参照)、Piero della Francescaは、頭・顔を含めて立体的に捉えることで、頭・顔とともに世界が広がっていくという感覚を捉えた。それは、心が安定しているという表現を顔を通じて表現しているといっていい。
実は、インドのガンダーラ美術(2〜3世紀)の仏像にもその表現法が認められる。頭の位置によりバランス、統一感、全体感が現れている。まるで、自分の心の中に入り内省し、安定した頭と足を通じて、手と手を合わせている姿を通じて仏教の教えを伝えているように見える。
最後に取り上げるのが、20世紀初頭のアーティストのアメデオ・モディリアーニ。モディリアーニの作品には、顔・頭を彼一流の描き方により、その人の特徴が現れるような表現方法を考えている。例えば、下記の作品は首を長く描いて顔を表現することにより、その人の人間としての美しさや知性など、身体の三次元によって現れる感情を表現することに成功している。
絵画から分かることは、頭の位置の描き方によってその人の考えていることや表情が変わっていくということ。絵画をこのように見るとまた面白いと思う。
2026年8月の注記
この記事は、頭の位置がその人の内面を表すという主題を、絵画を通じて扱っている。Piero della Francescaが顔を立体的に捉えることで心の安定を表現し、ガンダーラの仏像が頭の位置によって全体感を示し、モディリアーニが首を長く描くことで人物の質を表現する。
セッション7は、この主題を身体の側から扱う回である。
11年後の視点で見ると、この回が扱っているのは内耳(前庭系)だとわかる。内耳は空間の中での身体位置を感知するセンサーであり、姿勢のバランスと深く関わっている。内耳感覚が呼び起こされると、頭が脊椎の真上に自然と乗るようになる。視野が広がる、声が変わる、呼吸がさらに深くなるという体感が多い回でもある。
絵画史(1)で扱ったのは、身体と空間の応答関係だった(「絵画史と身体(1)〜西洋絵画史からみる身体の見方」参照)。2025年のアドバンスト・トレーニングでRay McCallが毎回扱うという「Eye of the Foot(足の目)」は、足裏から空間を捉えるワークである。それに対してセッション7は、頭の位置から空間を捉える。
足裏と頭。上下で対をなしている。
そして、この記事を書いた時点で、頭と首は自分自身の課題でもあった。セッション4のあと、大腰筋の力を抜くこと、鎖骨から胸で呼吸できること、そして首付近、特にAO関節(頚椎の1番目と頭蓋骨の関節)で動くことの3つを、今後の課題として挙げている(「セッション4〜骨盤底を調える」参照)。セッション6の段階でも「首付近の緊張がなかなか取れない」と書いていた。
絵画の中で頭の位置を見ていた同じ時期に、自分の頭の位置が課題として残っていた。セッション7は、その課題に正面から入る回になる。





