Phase IIIに入ってJörg先生から
Rolfingの10回の各セッションのRecipe(手順、方法又はプロトコールという意味)を信じて進めれば物事はうまく進む
というアドバイスをいただくケースがある。Phase IIのトレーニングでは各セッションの方法(手順)について詳細に学んでいくのだが、実際にクライアントを受け持ち、クライアントと向き合うのは初めてとなる。医師や整体師を含めた医療従事者を経てクライアントがロルファーへアプローチしていくケースが多く、どうしても腰痛、首こりや様々な痛みを訴える以上、そこに目が向きがちで。そのため、せっかくRolfingの10回セッションと手順があるにもかかわらず、痛みの部分に目が向いてしまい、自分を見失ってしまうことがある。それに対してJörg先生は学んだ方法に従い、傷んでいる場所に焦点を合わせるのではなく、全体を通じてその場所に働きかけることで自ずとその痛みも引いていく。だからこそ10回シリーズの手順を信じて進むことが重要だと。
もちろん、急性な痛みである場合には医師に診断してもらうことは非常に大切なこと。しかし、何年に渡って痛みが続き、慢性化した場合には、局所的に組織が動きを抑えているのではなく、身体全体から見た結合組織による筋肉の動きの問題と捉えた方が適切であるため、局所的にアプローチするのではなく、全体から見る必要がある。
そして、Jörg先生も言っているが、局所的に働きが不十分になり、ある一定の限界を超えると身体は、別の方法でそれを補うような身体の使い方を考えるようになるとのこと(英語では、Compensationと呼ぶ)。そのため、本コラムで分析的な目でみるのみならず知覚的とのバランスを考え全体的なアプローチが求められる(【RolfingコラムVol.58】参照)。
ロルファーの第一人者、Peter Schwind氏はそのことを以下のように述べている。
One characteristic of the connective tissue system is that, as a three-dimensional network, it allows for compensatory changes in all spatial directions. So the altered tone pattern of one leg can affect the pelvis and thus involve the back as well. However, this process can occur in reverse as well: a structural weakness in the back forces one leg or both legs into a compensatory movement pattern and thus causes a long-term change to the fascial network.
日本語による意訳:
人間の身体を構成する結合組織のシステムの特徴は、3次元のネットワークを構成しているということ。即ち、それは身体の軸のすべての方向に対してCompensentory(補うような作用)な変化をもたらす可能性があるといってもいい。一方の足の筋肉の緊張度合いの変化は、骨盤や腰に影響を及ぼすこともある。しかしながら、このプロセスは逆に起きることがある。腰の構造的な弱さは、片方もしくは両方の足にその弱さを補うような動き(Compensentoryな動き)をもたらし、長期的な筋膜の変化の要因ともなる。
長期的な筋膜の変化が起きている場合には、Ida Rolfが開発した10回のセッションは有用となる。そのために、上記のJorg先生が述べたように料理にも手順があるように、身体にも手順がありそれに従えば、身体はいい方向へと変化していくというのだ。
ぜひ、Phase IIIのトレーニングでクライアントと10回シリーズの手法(手順)と大事することで、その威力を感じていきたいと思う。