ヨーロッパのトレーニングでは、Phase IIIとSupervision Workshop(最後のフォローアップ・トレーニング)との間(2015年3月25日〜2016年12月12日の間)に、メンタリング(Mentoring、Mentorは指導者の意味)と呼ばれるセッションを3回受ける必要がある。メンタリングの詳細については「ミュンヘンでのトレーニング(3)〜MentoringとSupervision Workshop」に書いた。
2014年8月〜2015年3月の間(Phase I〜Phase III)に一緒だったフランス人のArnaud Lelièvre氏から、Rolf Movementのカリキュラムを作るのに大きな影響を与えたHubert Godard先生のメンタリングをParisで受けないか?という誘いを今年の7月頃に受けた。Hubert Godard先生は、ロルフィングのTonic Functionの考えにも大きな影響を与えている。そのことについては「疲れる筋肉と、疲れない筋肉〜姿勢を支えるTonic Function」で触れた。
二つ返事で快諾し、2016年9月2日にParis行きが決まった。Parisに行くのならば、英国のLondonからParisへEurostarで前日入りして、メンタリングに臨むのがベストではないかと考え、2016年8月30日、ロンドンへ入り、9月3日、ロンドンを出るというスケジュールを組んだ。
二つ返事で快諾し、2016年9月2日にParis行きが決まった。Parisに行くのならば、英国のLondonからParisへEurostarで前日入りして、メンタリングに臨むのがベストではないかと考え、2016年8月30日にロンドンへ入り、9月3日にロンドンを出るというスケジュールを組んだ。
そこで、ロンドンで一人メンタリングを受けることを決め、Phase IIからIIIの間にロンドンで受けた2名のロルファーのうちの一人、Keith Graham先生(LondonのWaterlooでロルフィングのセッションを提供)にコンタクト。2016年8月30日にメンタリングを受けることを決めた。
Keith Graham先生の前回のメンタリング・セッションについては「英国での体験(1)」に書いたので参照いただきたい。
今回は、下肢を中心に身体へのアプローチを行う際、いかにして手に負担をかけることなく全身を使ったらいいのか?その手技について教えて欲しいということで始まった。
指を使うことに関しては問題ないと言われてホッとしたが、肘と前腕を使ったアプローチをメインに教わることができた。特に興味深かったのは、クライアントが動くことで、ロルファーの負担が減るということだ。
例えば、臀筋群へのアプローチの際の膝の動き、大腿筋膜張筋への同アプローチの際の踵の動き、これらを連動させることで指への負担が減る。また、腸脛靭帯(ITB)の周辺のアプローチは意外と強めに行っていたが、それほど力を入れることはなく、神経感覚を緩める形で施術をした方がかえって、ITBに与えるダメージを最小限にしつつ、効果を最大限にすることができるということを学ぶことができた。
もう一つ、セッション4で内転筋群へのアプローチを取るが、Ida Rolfの
「エネルギーは足の下から頭へ伝わる」
ということを引用しつつ、内転筋へのアプローチの際には筋肉の上向きと下向きに注目し、どちらの方がアプローチしやすいのか?を見極めた上で施術を行った方がいい、と教わり、前腕を使って骨盤底まで施術を進めるという手技も学ぶことができた。
その後、足には4つのエリアがあり、それぞれのどこが一番動きにくいのか?を見つつセッションを深めていく方法、Cranio Sacralのアプローチや簡単な骨盤調整法等についても紹介。濃密な1時間半となった。
前回に比べ、より具体的な質問になったと思う。特に、ロルフィング・セッション中で足へのアプローチで指が疲れることがあるので、時間をかけて施術することも大事だよ!ということも学べたので、ぜひ学んだことは日本に持ち帰って実践につなげていきたい。
Keith Graham先生とは色々と意見交換も行った。Brexitや為替の影響で2か月売り上げが落ち込んでしまったこと。英国では40人のロルファーが活動していること。11人がModular Training(数年かけて週末のみのトレーニングで終える方式。私が受けたのは集中的に行うIntensive Training)でPhase IIIの段階にあること(Keith Graham先生はアシスタントとして英国のトレーニングの指導に当たっている)。こうしたことを話し合うことができた。
1回のセッションは85〜95ポンドとのこと。為替のことを考えると日本よりも安く感じるが、私はこれは一時的なものと考えている。
さて、2016年8月31日はロンドンを満喫したのちに、9月1日はパリへ移動。9月2日のHubert Godard先生のメンタリングに臨む予定。楽しみにしていたい。
2026年8月の注記
この回の質問は、手にかかる負担をどう減らすか、というものだった。それに対するKeithの答えは、施術者の側の工夫ではなく、クライアントを動かすことだった。臀筋群へアプローチするときは膝を動かしてもらう。大腿筋膜張筋のときは踵を動かしてもらう。動きと連動させることで、指で押し込む必要がなくなる。
施術者が「する」量を減らすほど、施術が届く。この方向は、2017年から2019年にかけて受けたRolf Movementの本トレーニングの中心にあったものだった。動きを通じて身体が自ら組織化するのを待つ、という考え方である。
2025年のShape the Handも同じ向きを指している。自分の手で何かをしようとするのではなく、クライアントの身体に自分の手を形作ってもらう。2016年のこの一時間半に含まれていたのは、その最初の形だった。
同じことが、腸脛靭帯(ITB)についても言われている。それまで意外と強めに行っていたのを、力を入れずに神経感覚を緩める形にしたほうが、ITBに与えるダメージを最小限にしつつ効果は最大限になる。強く押すほど効くわけではない、という逆転がここにある。
11年後、この逆転は施術以外の場面でも確かめられた。ブラジリアン柔術で上位の帯の方とスパーリングをすると、まず力を感じない。押されている感覚がないのに、いつのまにか動けなくなっている。
そして、力を抜くのが上手い人ほど怪我をしにくい(「ブラジリアン柔術を2年続けて〜距離の取り方と、身体で覚えるということ」参照)。力が入っている身体は、想定外の方向に動かされたときに対応できない。施術する側でも、組み合う側でも、力を抜けることが技術の水準を決めている。
前回のメンタリングから2年が経ち、質問の中身が変わっていることにも触れておきたい。1回目は自分の首こりへの対処を聞いていた。2回目は、施術中に指が疲れることをどうするかを聞いている。受け手として聞いていたものが、施術者として聞くものに変わっていた。




