2016年9月2日(金)、午前7時45分。Paris Gare de l’Est(パリ東駅)のそばにあるレストランで待ち合わせ。クロワッサンと紅茶の簡単な朝食をとり、地下鉄4号線を使ってMontparnasse-Bienvenüe駅へ。ほぼ30分の乗車で、予定時刻よりも早く到着。少し周辺を散策後、午前9時にHubert Godard先生のパリ在住時のアパートへ。
Caryn McHoseがHubert Godard先生へのインタビューを行った「Phenomenological Space」によると、Hubert Godard先生はもともとコンテンポラリー・ダンサーとして活躍していたが、膝への怪我を通じて、オステオパシーやボディワークへ興味を持つようになる。ほぼ50年近い経験をお持ちという。Hubert Godardはスペース・空間に対して興味深い考えを持っているが、それについては「空間の感じ方は人によって違う〜Tonic Functionとパーソナル・スペース」をご参照いただきたい。
ミュンヘン・トレーニングのPhase Iで一緒だったSuzanneと、Phase IからIIIまで一緒だったArnaudと合わせて3名でMentoringに参加。複数でMentoringに参加するのは私にとって初だが、3時間という大きな時間枠をいただくことができるので、本当に充実した時間となった。しかも、初対面での先生の笑顔は、なんでも聞いてもOKという印象を強く受けた。
普段はミラノを本拠地としてロルフィングのセッションを行い、パリは教えるために滞在するとのこと。そのわずかな滞在期間でチャンスをつかむことができた。
今まで学んできたことを惜しみもなくシェアしてくれるだけではなく、名前も一人一人忘れないように、最初にパソコン画面でメモを取ってから、時々画面のメモを見ながら呼んでくれるという配慮まで。フランスの知人が驚くぐらいの気の遣い方に私も心が動かされたのと同時に、ロルファーへのリスペクトも感じることができた。

極めた人は、例外なく同じことを言う。それは基礎を大事にするということ。Hubert先生も例外ではない。
「ロルフィングで大事なのはグラウンディング(Feel the 2 feet on the ground)。足のつま先と踵を含め、全体的に使えること。その上で全身がその足に乗っている状態になるためには、矢状面(Sagittal Plane)に注目。身体の前後での動きが重要であり、呼吸を見る意味はそこにある。だから第1セッションがある」
と、わかりやすくロルフィングの基礎であるグラウンディングの考え方を話しながら、原理原則に触れつつ、その後必要とするテクニックを述べていくスタイルをとった。
また、body readingの基礎的な内容の復習も行われた。足が全身を支えているかどうかをチェックするために身体を観察するが、その際にどこを注目したらいいのか?肩帯、骨盤帯のどこに緊張があるのか?背骨はどうなっているのか?を含めた観察が、基礎からの説明から入るので、いい意味で基礎トレーニングの復習となった。三者三様、違ったタイプだったのも良かったと思う。
それから、テクニックへ。
私たちの質問の中で大きな比重を占めたのが、テーブル・ワーク(ベッドで寝ている状態で行う施術)よりも、シッティング・ワーク(起き上がったときに行う施術、椅子に座って行う施術がメイン)だった。
シッティング・ワークの際に、背骨を見たときに前後に注目。前の場合には後ろの動きを、後ろの場合には前の動きを取り入れながら、重点的に筋膜へアプローチしていくこと、側屈については、肩帯のローテーターカフを含めたワークを紹介していただけた。
今回明確になったのは、基礎を大事にするということ。学んだことを実践すること、それを積み重ねることによってのみ、スキルが上がっていくということの大切さだ。
基礎に忠実に、自分の学んだスキルをそのままやってみるという今までの姿勢が大事だということがよくわかり、今後ともその方向性でセッションを進めればと思っている。
Hubert先生のセッションが終わった後の食事を最後に紹介して、本コラムを終えたい。
2026年8月の注記
Rolf MovementとTonic Functionの源流にあたる人物に会って、返ってきたのは基礎だった。ロルフィングで大事なのはグラウンディング、両足が地面にあることを感じること。足のつま先と踵を含めて全体が使えること。
そこから矢状面へ、呼吸へ、第1セッションの意味へと降りていく。body readingについても、足が全身を支えているかを見るために身体のどこに注目するか、という基礎トレーニングの内容がそのまま復習された。
原理から入って技術へ降りる、というこの順序は、2年前にロンドンでKeithが取った形と同じである。太極拳の達人も、Tonic Functionの理論を作った人も、まず足の話をした。そして2025年のアドバンスト・トレーニングでNeutralを育てる方法として示されたのも、Shape the Hand、Finding Back Space、Haraという3つの基礎動作だった。上級の内容とは、より複雑な技術のことではないらしい。基礎が、扱う深さを変えて何度も戻ってくる。
この回の質問の中身にも、当時の位置が現れている。私たちが多く聞いたのは、テーブル・ワークではなくシッティング・ワークだった。ベッドで寝ている状態ではなく、椅子に座った状態での施術である。認定から1年半、実際にクライアントを持ち始めた施術者が必要としていたのは、トレーニング中に十分に扱われなかった場面への対応だった。
2年前のロンドンでは自分の首こりへの対処を聞き、その2年後には指の疲れを聞き、そしてここでは座位での施術を聞いている。質問が、実務の側から立ち上がってきている。
基礎を大事にするとは、学んだことを実践し、それを積み重ねることでしかスキルが上がらない、という意味だった。この一文を2016年に書いてから、10年が経った。書いてある通りのことをしてきたかどうかは、10回シリーズを終えた方の人数と、続けてきた年数のほうが答えている。





