Phase IIIのクライアント・セッションも10回目に到達した。クライアント・セッションで一番学んだのは、間違いなくHold the spaceを心がけることの大切さだ。このことはタロットカードをリーディングする際に学んだことでもあるが、まさかボディワークの一つロルフィングでも重要であるとは思いもよらなかった。今回は、このHold the spaceについて取り上げる。
Hold the spaceについてどのように説明したらいいのか?ロルフィングでよく出てくる言葉にもかかわらず、Oxford Advanced Learner’s Dictionaryにも出てこないため、インターネットで調べてみた。そこで引っかかってきたのが、MindBodyGreenの’Holding Space: What Does It Mean & How Do We Do It?‘。
そこでは、Hold the spaceについて以下のように説明している。
It means when someone is going through something, you hold down the ground for them to have their own time and space to work out whatever they’re going through
You provide stable, solid ground for them to be completely where they’re at without judgement, criticism, or blame. A neutral territory for the other to just… be. You have faith in their intelligence to figure out of their own.
人が何かを経験する際、その人が安心できるような環境を整えるために、時間やスペース(間)を与えること。
大切なのは安心できる、安定した環境を与えることで、判断しない、批判しない、非難しないこと。いわば、その人が「あるがまま」になれる中立状態。そして、彼らの知性を信じ、自分で答えを導き出すことができるようにすること。
Hold the spaceにおいて重要なことは、相手に気づきを与える安心できるような環境を与えること。安心感というのは、何を話そうとも安心して話せるという環境であり、自分が相手から判断・批判・非難されないということもある。そのことから、本コラムで度々触れてきているようにロルファー自身がニュートラルの状態になることが大切なのだと思う。
今回、その上で、Phase IIIでは、Less is more(「どの部分を施術しないのか?」を意識すること)を心がける重要性について学ぶこともできた(【RolfingコラムVol.55】参照)。そのことで相手に身体内で何が起きているのかについて気づきを与えるための時間を与える。それは英語で言うところのTeach without teaching(教えることなく、教えること)を伝えることでもある。
例をあげたい。
Phase IIのGiovanni先生のクライアント・デモ・セッションをしていた時に感じたことは、クライアントの気づきを大事にそれに合わせて施術をしていた。
一方で、Phase IIIのJörg先生のクライアント・デモ・セッションは、同じ自由でもどちらかというと先生が主導して(英語で言うDecisive)身体の気づきを発見できるような環境を与える。その後はクライアントに合わせるのだが、力点が若干違う。
それは、Giovanni先生のセッションの時は生徒が飲食してようが、PC(Mac, iPad, iPhone)を操作してようが全く構わず、接近し、真正面で見学しても全く動じなかったというのに現れていると思う。しかも、身体を動かしてもいい(例、セッション中にヨガのポーズをとること等)というおまけ付き。
Jörg先生のセッション時になんらかのPCの音が聞こえた瞬間、厳しい態度でNOを言う。また身体を動かすことに対しても注意があった。もちろん、接近してみる場合もあるが、なにか学んでいる生徒とJörg先生との間に距離があるような印象が強い。
そうはいうものの、両先生において共通しているのは、クライアントと境界線を引きHold the spaceを心がけ、クライアントが身体と正面に向き合うための環境作りに専念していたことだった。
Hold the spaceは、今後とも取り上げていきたいテーマなので、また触れたいと思う。