【RM#24】Rolf Movement – ロルファー向けのセミナーを開催(2)〜MovementとAwareness

Rolf Movementのトレーニング(Phase 1と2)が修了してから1ヶ月半が過ぎた。

ロルファー仲間から、今まで学んできたことをシェアしてほしいということで、2018年2月24日と3月19日の2回にわたって、ロルファーやボディワーカー向けにセミナーを開催。

ロルフィング及びムーブメントの歴史や基礎となるロルフィングの考えについて、今まで学んだワークショップを含め、自分の知っていることをシェアした。

前回は、Ida Rolfの生涯を追った(「ロルファー向けのセミナーを開催(1)〜Ida Rolfの生きた時代」参照)。今回は、Rolf Movementの歴史について紹介したい。

1940年頃からIdaは、ボディワークを開始。1950年頃までにはカイロプラクティックやオステオパシーの治療家へ教えを伝授。そして、お弟子さんも徐々に増えていった。

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お弟子さんのDorothy Nolte((1925年〜2005年)、以下Dorothy)が1965年にエサレン研究所(エサレンについては「エサレン研究所(1)〜心理学とボディワーク」参照)で、ゲシュタルト療法のフリッツ・パールス(Frederick (Fritz) Perls、1897年〜1970年)のセミナーを受け、パールスにロルフィングのセッションを提供。これがきっかけとなり、Idaはエサレンで教えるようになる(詳細は「Jeffery J. Kripal ‘Esalen – America and The Religion of No Religion‘」参照)。

Dorothyは、ロルフィングのセッションを提供中、クライアントの中で、ロルフィングのセッション後にセルフ・ケアのエクササイズのニーズがあることを痛感。

そこで、Ida Rolfと共にエクササイズを考案。「Structural Awareness)」と呼ばれ、1962年にDorothyが教えるようになる。興味深いのは、Awareness=身体意識を高めるという言葉が入っていること。

「ロルフィングは身体の構造から身体内部の意識を高めるためにどうしたらいいのか?」
という視点から筋膜へアプローチをするが、その思想がAwarenessという言葉の中に入っているからだ。

実際に、ドイツで受けたトレーニングでも、
「身体をどのようにして「ゆっくり」「丁寧」に動かすのか?」
「頭で考えるのではなく、身体で考えるためにどのように身体を意識したらいいのか?」
に主眼が置かれているので、その思想は脈々と受け継がれていると思う。

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さて、この後の話については、2017年3月に参加したGael Rosewoodのワークショップで伺った話と、米国人ロルファーでRolf MovementのInstructorであるKevin Frankとのインタビュー記事(’Rolf Movement Integration‘参照)で、Rolf Movementの創成期についてHeather Starsongとと共に語っている。

その内容を中心にドイツで学んだ内容を加味した上で紹介したい。
ダンサーであり、パールスからエサレンでゲシュタルト療法を学んだJudith Aston(以下Aston)が60年代後半、Idaからロルフィング、Dorothyから「Structural Awareness」を含めたムーブメントについて学ぶことになる。

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当時のPhase IとPhase IIのトレーニングは一緒で、ロルフィングの理論と身体を見る目を鍛えることが主眼に置かれていた。
Body Reading(身体観察)のパートで、ダンサーのAstonが
Idaから
「あなたは何が見えますか」
と聞かれた際に、動きのパターンを含めユーモアを交えながら説明できたという。

そこで、身体を意識させるためのMovementのワークをAstonが教えるようIdaから依頼。

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1971年より、Astonによる最初のRolf Movement Trainingが基礎トレーニングが開催する前の2週間行われるようになる。そして、Gaelはアシスタントという形でそのトレーニングにも参加している(詳細は「Rolf Movementの歴史と基礎的な原理について知る」参照)。

IdaとAstonとの間でやがて意見の食い違いが認められるようになっていく。
1978年にAstonはIdaから離れ、Aston Patterningという形で独立していく。

残ったロルフィング協会のメンバー(Gealを含む5人)でRolf Movement Trainingとして存続、発展させていく。
その時の核となるメンバーはGael、Peter Melchior、Emmett Hutchinsを含めた5人だった。

Gealの教え子たちの中には、Hubert Godard(「Mentoring Session(4)〜パリでの体験:基礎を大事にすること」参照)、Pedro Prado、Monica Caspari、Carol Agneessensも含まれている。ヨーロッパはHubertが、ブラジルはPedroとMonicaがそれぞれ独自にRolf Movementを発展させていく。

さて、1971年にボルダーで米国ロルフィング協会(以下RISI)が発足。1979年にIdaがなくなった後も、組織として存続するが、1989年にGuild for Structural Integration(以下Guild)とRISIに分裂する。
Ida RolfがRolfingを教え始めた当初、カルキュラムを2つの段階にわけていた。

Auditing(観察者(知覚する)の段階、Phase 1)とPractitioner(施術者(施術経験)の段階、Phase 2)だ(詳細は「Seeingと知覚すること(1)」参照)。

Auditingは、
「どのように観察するのか?」
を教える段階で、身体を観察するところに力点がおかれている。
施術することを一切しないところが面白い。そして、実際に施術者を繰り返し観察し続ける。
そして、「Rolfingについて何を観察するのが大事なのか?」を身につけるまでそれが続く。

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準備が整うと、Practitionerの段階に至る。

RISIがRISIとGuildに分裂した後に、RISIのカルキュラムが見直される。Phase 1からPractitioner(施術の方法を教える)の段階が入ってくるのだが、それと同時に、Hubert GodardのTonic Functionの考え方も入ってくる。

次回、ロルフィングのカルキュラムの変化とRISIや欧州ロルフィング協会の特徴的なTonic Function、ボディイメージ、ボディスキーマ、Pre-movementの考えについて紹介したい。

この記事を書いた人

Hidefumi Otsuka