【R#264】脳は一生変化し続けるからこそ、楽な姿勢は見つかる

はじめに

こんにちは!東京・渋谷でロルフィング・セッションと脳科学から栄養・タロットカウンセリングを提供している大塚英文です。

手技を使ったロルフィングが、マッサージと整体と違って効果が持続する理由について「整体・マッサージとの違い〜症状か構造か?」に書いたが、今回は、脳科学の視点からロルフィングの効果についてまとめてみたい。

現代医学は「脳は変化するもの」という考え方が主流

ノーマン・ドイジの「脳は奇跡を起こす」によると、医学界では、長年「脳は変化しないもの」と信じられていたらしい。

その理由として、
1)脳に障害を持つと回復がほとんどできない
2)生きた脳の状態を顕微鏡で観察することができない
3)脳を機械的に見るという思想
等だが、大きいのは、脳を構成する神経細胞は一回障害を受けると、再生されないという事実があることだ。

脳は環境に応じて、自ら変化できる〜脳の「可塑性」とは?

1960年代から1970年代にかけて、「環境に応じて、脳は自ら変わることが出来る」ことが注目され、「脳の可塑性(Neuroplasticity)」
(脳(神経)細胞(neuron)と可塑性(plasticity)(=変化できる、修飾できる)の造語)が語られるようになった。

今では、外からの刺激によって、脳の働きや構造が絶えず変化することがわかってきている。

なぜ「環境に応じて、脳は自ら変わることが出来る」が面白いか?というと、神経細胞が減っていく老化や、神経細胞が変性して行く病気(パーキンソン病、多発性硬化症、痴呆症等)が起きたとしても、「環境に応じて、脳は自ら変わることが出来る」ことを利用すると、これらの疾患が改善する可能性があるからだ。

ロルフィングと脳の「可塑性」との関係

ロルフィングも、手技を使って「新しい身体の使い方を教えるために、脳へ働きかける」方法の一つといえる。人間の身体の動きは、記憶に関わっており、長年の習慣によって決まっている。ロルフィングが行なっていることは、脳に身体の場所を伝えることだ。例えば、ここに手・足、腰、肩、等。

大事なのは、手足を含めた関節を「呼吸と合わせて」「ゆっくり」「丁寧に」「身体を感じながら」動かしていくことだ。ポイントは、手や足に「力」を入れるのではなく、意識して動かすということだ。恐らく、人間が猿の樹上生活を送っていた時代の名残なのでしょう。手と足を使って、背骨を安定させないと木を登り、移動するためには、効率よく動かせないからだ。

意外と見落とされているのが、睡眠。近年の脳科学の研究から、深い「睡眠」(ノンレム睡眠、就寝後すぐに訪れる睡眠)が脳の可塑性が働くのに必要だということがわかっている。ロルフィングは、一定の間隔をとってセッションを行っていく理由の一つなのだが、新しい身体の習慣を身につけるには、リラックスする時間が重要になっている。

手と足がしっかりと使えると、背骨の深層にある筋肉群が安定する。例えば、手のひら全体が、力を入れずに「吸い付けられる」ように使えることで、背骨の筋肉(肩甲骨の前鋸筋、菱形筋、背骨を結ぶ深層筋)を意識して動かすことができるようになる。筋肉の動きは、脳の指令によって決まるので、適切な「環境」を与えると、如何に脳は自ら変わることが出来るか、ご理解いただけると思う。

このように、身体の動きの意識が深まると、楽な姿勢も理解が深まり、結果的に腰痛や肩こり、首こりの改善が期待できる。

まとめ

今回は、ロルフィングの効果を脳科学の視点から説明させていただいた。少しでも、この投稿が役立つことを願っています。

 

この記事を書いた人

Hidefumi Otsuka