Rolf Movement – Part 3(4)〜前半(4日間)が終了。どのような気づきがあったのか?

2019年10月13日(日)、Rolf Movement TrainingのPart 3の前半、その最終日である4日目、通算25日目を終え、エミレーツ航空のドバイ経由便で羽田空港に深夜、午後11時半頃に到着した。

海外に出るのは2018年2月以来となった(「Pre-movement、ヨガ、アレクサンダーテクニック」参照)。今回は、ドイツ人、スイス人、フランス人、イタリア人、スペイン人、イギリス人、オーストリア人と、ヨーロッパ中心に異文化の人たちに触れる貴重な機会でもある。

Embodimentを披露しているとき(Embodimentについては「身体感覚〜Embodimentとは何か?」参照)、言葉が明確に伝わらない、身体の感覚に不愉快な感じを受けたといった経験があると、ヨーロッパの人たちははっきりと伝える。日本人だったらもっとソフトに伝えるのに、と思うのだが、その後は笑って、わだかまりもなくみんなが話している。外国でワークショップを受ける面白さを感じられた。

最終日は、私もEmbodimentを2番目に披露した。パートナーと組み、背中合わせで、一人が動きを主導し、もう一人が動きをフォローするという簡単なムーブメントを行った。少し間を置きながら、ゆっくりと身体の感覚を意識するように歩く。15人に対して10分ほどのグループ・セッションとなった。

「声が通らないから、もっと大声で」と言われる一幕もあったが、途中から笑いもあり、最後には何も言わなくてもパートナー同士で意見交換する場面もあって、楽しかった。

フィードバックでは、生徒から「場のホールドがうまくいっていた」「指示がクリアだった」といったものがある一方で、「動いているときに背中の背骨が動きにくく、痛かった」という正直なコメントもあった。身体が硬い参加者もいたのだと思う。

今回のRolf InstructorのRita Geirola、France Hatt-Arnold、Hervé Baunardの3名からは、生徒を観察し、必要に応じてサポートをすることも大事だという改善点をいただいた。「背中に毛布をかけたほうがいい」「座るよりも立ったほうが動きやすい」といったコメントなどだ。その場での的確なフィードバックは本当にありがたく、後に述べるが、次のPart 3で行う50分の発表を準備していくうえでも改善点として考慮できる。

面白いのは、3名のInstructorたちが、安全な場を作るためにいろいろと工夫している点だ。Embodimentの情報量が多く、何人か脱落する人が出たり、Instructorが自ら生徒にセッションを行ったり、18人の生徒一人一人に声をかけたりしている姿が印象的だった。

他にも、次のような点がある。

  • 1)好奇心を促すようなワークをすると、身体が変わる可能性が高いこと
  • 2)失敗をしても許されるような雰囲気を作っていること
  • 3)Instructorの指示が提案型になっていて、押し付けがないこと

最近、Amy C. Edmondsonの『The Fearless Organization: Creating Psychological Safety in the Workplace for Learning, Innovation and Growth』を読んだ。企業がイノベーションを生み出すために必要なのは、失敗が許され、自由に発言が許されるような心理的に安全な場(Psychological Safety)を作ることだという。

どのように安全な場を工夫して作っていったらいいのか。Amyの本ではいろいろなケースが紹介されているが、失敗を許せるような環境を整えることを、ワークショップの中に仕組みとして入れることが大切だと述べている。

日本は比較的、失敗が許されない環境で窮屈になる傾向があるが、ヨーロッパ・ロルフィング協会で受けるトレーニングは、このような場が作られているところがいい。これらの体験を通じて、自分がセミナーやコミュニティを開催していく際に活かせる予感がある。セミナーを含め、先生と生徒という関係よりも、どのようにして安全な場を作り、一人一人の意見を引き出していくか。ぜひとも見習っていきたい。

余談だが、今回3人1組で組んだ相手の一人が、フェルデンクライス・メソッドのプラクティショナーだった。その縁もあり、フェルデンクライスとRolf Movementの違いを伺う機会があった。

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フェルデンクライスもRolf Movementも、それぞれ微細な動きを追究する。

ただ、フェルデンクライスにはRolf MovementのようなPhoric Function(「動きではどこに注目するか?〜Phoric FunctionとFixed Point」参照)、Tonic Function(「疲れる筋肉と、疲れない筋肉〜姿勢を支えるTonic Function」「2方向性が身体を調える〜Tonic Functionと歩行・座位」参照)、ロルフィングの5原則(「5原則」参照)といった内容は入っておらず、原理・原則が入っているところにRolf Movementの特徴があるのだと話していた。

フェルデンクライスのクラスはどこかのタイミングで受けたいと思っているので、Rolf Movementとどう違うのか、体感する機会を見つけていきたい。

全日程が終わり、次回の開催は11月27日(水)。12月1日(日)に認定を受けることになる。

次回の宿題として、50分のEmbodimentの課題が出た。

  • 1)What was your strategy to connect the specific to the general?(一般と具体をつなげるのに、どのような戦略をとったのか)
  • 2)How do you bring the session to an end and have the client bring it back to their everyday life?(どのようにセッションをクローズして、日常に応用できるようにするか)

この2点でEmbodimentを組み立てることが求められる。約1か月半、じっくりと考えながら進めていきたい。

2026年8月の注記

3人1組で組んだ相手がフェルデンクライスの実践者だった、と余談のように書いている。この余談には、当時気づかなかった折り返しがある。

同じ教室の前に立っていた Rita Geirola が、1992年認定のフェルデンクライス・プラクティショナーだった。1987年にロルファーの認定を受け、その5年後にフェルデンクライスの資格を取っている。Rolf Movement の認定はさらに5年後だった。フェルデンクライスの視点が自分の仕事の土台にある、と本人が公式のプロフィールに書いている。

つまり、二つの違いについて聞くのに、隣の受講生に尋ねる必要はなかった。両方を内側に持っている人が、その日クラスを進めていた。

このことは、Rita に限らない。Phase I の Movement を担当したのも Rita だった。基礎トレーニングの最初の週から、フェルデンクライスを通った人が教えていたことになる。さらに遡れば、Moshe Feldenkrais を Esalen に招いたのは Ida Rolf 本人で、二人は対立せず互いのワークを受けていた。Rolf Movement の成立そのものに、当時の動きの研究者たちとの交流が影響したとERAは説明している。

別系統として比べていたものが、最初から同じ系統の中にあった。

もうひとつ、この回で本人がやっていることがある。

安全な場が作られている、という観察を書いた後に、Amy Edmondson の経営学の本を持ち出して、心理的安全性という言葉を当てている。ロルフィングの外にある枠組みを借りて、教室で起きていることに名前をつけた形だ。

同じことを、これ以前にも何度かやっている。コーチングの傾聴の3レベルで神経系のワークショップを整理し、コーチングのResourceでロルフィングの構えを説明した。別の領域で学んだ枠組みが、まず説明の道具になる。

ここで名前をつけた「安全な場」は、その後、説明の道具では済まなくなった。2019年のこの時点では、ヨーロッパの教室で観察した性質として書いている。数年後、自分がセミナーやコミュニティを開く側になったとき、それは作らなければならないものになった。この記事の末尾に、活かせる予感がある、と書いてある。予感の側が先に書かれていて、実際に必要になるのはもう少し先だった。

この記事を書いた人

Hidefumi Otsuka